2010年2月22日:現在、日本のサッカーには盛り上がりが必要であり、中村俊輔がそれを提供してくれそうな雰囲気だ。ファン、メディア、それからひょっとすると選手たち自身も東アジアサッカー選手権での代表チームの低迷ぶりに意気消沈し、何か明るい材料、自尊心と自信を高めてくれるようなものを必要としている。
だから、スペインで期待に応えられなかったからという理由であっても、俊輔の帰国を歓迎するムードには変わりはなく、彼は帰ってきたヒーローなのである。
中村俊輔がセルティックを去る決意をした昨夏に彼の獲得に失敗したマリノスは、今度は同じ失敗を繰り返したくないだろうし、年俸や契約期間、契約金の交渉になれば中村サイドに席を蹴られないよう万全の体制を敷くだろう。契約はまだ成立していないが、両者が速やかな契約合意を望んでいるようなので、中村は余裕を持ってJリーグに帰り、試合に向けて体調を整えることができる。
それから、注意をワールドカップに向ければいいし、岡田武史監督とっては、俊輔をエスパニョールのベンチに座らせているより日本に戻す方が安心だろう。
スペインではうまくいかなかったが、かの地に移り、子供時代からの夢を叶えようとした中村を、誰も批判することはできない。私自身も、お金が一番の理由だったとは考えてもいない。31歳になった彼が大好きだったリーグでプレーするチャンスを受け入れようとしただけで、そのチャンスを見過ごしたなら彼は選手生活の残りの期間、ずっと後悔していたことだろう。
スコットランド――ヨーロッパの低レベルのリーグで、そこの2大クラブの一つでプレーしていた――から、スピードがはるかに速くて、競争も厳しく、チームもエリート・クラブではないスペインへの移籍は、選手生活の後期に差しかかってきた彼にとっては負担が大きすぎることが明らかとなった。
しかし、俊輔の評価は損なわれてはいないし、彼は今でもその経験を大いに活用することが可能であり、刺激を本当に必要とする現在の日本のサッカー界に彼のスター性が新風を吹き込むかもしれない。