2010年1月25日:現在、名古屋グランパスのファンはマンチェスター・シティのサポーターにかなり近い感情を抱いているに違いない。多額のお金を払ってスター選手を獲得し、タイトル奪取が話題となっているからだ。
名古屋についてとても興味があるのは、野心的な投資というポリシーを導入した最初のシーズンにトップまで上り詰めることができるだろうか、ということ。今回は監督のドラガン・ストイコビッチと彼の雇い主が求めていたものがはっきりと達成されたことになる。2011年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を得られる3位以内というのはもはや目標にもならなくなり、狙うのはナンバー1だけなのである。
土曜日には、浦和レッズにいた闘莉王と大分トリニータにいた金崎夢生の二人の名古屋移籍会見が行なわれた。ストイコビッチ監督によれば、闘莉王は最近の数シーズンはサッカーを楽しんでおらず、監督しての目標は、練習やサポーターたちとの交流の場で闘莉王の顔に笑顔をとり戻すことだという。
また、ストイコビッチ監督としてはささいなケガでもすべて完治させて欲しいと思っているだろうし、ワールドカップ・イヤーにおける闘莉王の変身によって、天皇杯決勝で失ったACLの 出場資格が再び名古屋にもたらされるかもしれない。
私個人としては、闘莉王の名古屋移籍が決まったときには少しがっかりした。そもそも移籍先の話題はヨーロッパのチームばかりに集中し、とくにウィガン・アスレティックとFCトウェンテが有力視されていたからだ。闘莉王の野望はヨーロッパでもそれなりのリーグでプレーし、より高いレベルで自身を試すことであるのだと私は思っていたのだが、言うまでもなくピクシーはとてもカリスマ性のある、魅力的な人物で、さらに上記の2クラブでは、日本で提示されたようなサラリー(推定年俸1億5,000万円)を受けとることはできそうにない。
金崎の加入は、名古屋にとって大きい。彼のことを私は、岡田武史監督のワールドカップ代表メンバー入りのダークホースである、とみている。彼のスピード、ひらめき、意外性は日本の攻撃陣のオプションを増やしてくれるかもしれず、とくに厳しい試合の最後の20分間にベンチから送り込むと効果を発揮すると思えるからだ。
シーズンが終わった時にはアントラーズ、レッズをはじめ、ほとんどすべてのクラブが金崎を獲得したがっていたが、彼は名古屋を意中のクラブとしており、その思いを貫いた。
グランパスのファンにとっては心躍る時期だが、たくさんのお金をかけて作り上げたチームですぐに結果を出さなければならないピクシーにとっては、重責を負ったシーズンが前途に待ち受けていることになる。その気持ちはマーク・ヒューズ(マンチェスター・Cの監督であったが昨年12月に解任)ならよく分かるかもしれないね!