« ディフェンスにバランスをもたらした稲本の起用 | トップページ | 闘莉王がとるのは、金かサッカーか? »

世界のサッカーを損なうアンリの“神の手アシスト”事件

2009/11/23(月)

2009年11月20日:いつまでこんな馬鹿げたことが続くのだろう? いつになれば、FIFA(国際サッカー連盟)はビデオ判定を導入するのだろう? その気になれば容易に改善できる、あからさまな不正の、次の犠牲者となるのは誰?

ワールドカップの予選プレーオフ、ティエリ・アンリの“神の手アシスト”によるフランス勝利についてのアイルランドの怒りは世界中に広まり、結果として、サッカーへの信頼と品位を貶める結果を招きかねない。この現代社会においてFIFAがいまだにビデオ判定を採用しないとは信じがたい。まったくもって不可解であるし、結果、サッカー自体の評判を傷つけるだけだ。

1998年のワールドカップ決勝、フランス対ブラジルの前夜の記者会見でのこと。新たに会長に選出されたゼップ・ブラッター氏はビデオ判定を導入するかどうか尋ねられた。氏は断固としてそれを否定した。
「それはない」「レフェリーの権威を損なうようなことはしてはならない」。そう強く主張した。

彼の言った“損なう”という言葉は、私には非常に理解しがたいものだった。それはあくまで、権力者側にとっての強迫観念にしか過ぎないからだ。
個人的には、ビデオ判定の導入はレェフリーが正しい判定をする助けになると思う。レフェリーを助けるのであり、権威を損なうものでは決してないと思うのだ。そしてまた馬鹿げた言い訳、ビデオ判定が試合の流れを止めるだって?
試合の流れ? ファウルに、時間を稼ぐために怪我を装ったり、“怪我した”チームメイトの治療のためと称してボールをピッチ外に蹴りだしたり等々……。一体全体、いまのサッカーのどこに“試合の流れ”があるというのだろう。

現代サッカーは病んでいる。インチキ、ごまかし、ウソが蔓延しており、サッカー界は強力なリーダーシップを必要としているのだ。ブラッター氏は今回の件について、再試合を命じ新たな改革を行ない、強いリーダーシップを発揮すべきである。
それぞれのゴールの後ろに新しい審判――主審、副審2人、そして第四の審判員に加えて合計6人となる――をおくことはもちろん、ただ、最も効果的なのは第四の審判員がビデオリプレイをチェックすることだろう。
例えば今回のアンリの“神の手アシスト”のような場合、まずアイルランドが審判にアピールをし、それを受けて第四の審判員がビデオをチェック、ゴールを取り消す。非常にシンプルだ。誰も文句は言えまい。実際は、ゴール裏の審判がハンドをとればビデオ判定を使うまでもない。

ミスは起こるものだ。そしてそれもまたサッカーの一部だという。だがしかし、アイルランドはそのお陰で南アフリカへのチケットと、ワールドカップに彩りとお国柄を添えてくれる多くのファンを連れて行く機会を奪われたのだ。それだけでは不十分。あまりにも多くのものが懸かっている今日、サッカーの品位は損なわれ続けている。

“フェアプレー・プリーズ!”とは、FIFAが掲げるスローガンである。しかしスコットランド人の審判、レスリー・モットラム氏は日本滞在中に私に言った。
「今のサッカー界に、フェアプレーなんてものは存在しないよ。それもかなり前からね」。

固定リンク | コメント (8)

コメント

そこまでテクノロジーを忌避するならば、
逆にTV映像の方が意地悪なスローをやめるべきでは。
というより
FIFAやUEFAは各報道機関に理解・遠慮して貰うように
放送権料を負けてでもお願いすべきでは。

TV放送さえなければ絶対に騒ぎにならないのだから、
情報をキッチリ統制すべき。
少なくとも公式パートナー相手に売る映像については、
審判のミスを殊更煽らない理解を示してくれるところを選ぶべきだ。

選べないのならば、それは時代の要請なのだから
ビデオ判定の実験を自由に許可すべきだろう。
手を挙げるリーグはありうる。

投稿: | 2009年12月13日 (日) 11時21分

ビデオで超スローで見てもビミョーな場合なんてザラにあるしな

投稿: 超遅レス | 2009年12月 8日 (火) 04時25分

ビデオ判定をする基準は何?
ゴールキックかコーナーキックかどちらのチームのスローインなのかとかも試合の結果に影響するぞ。
まあ無理だろ

投稿: | 2009年12月 3日 (木) 21時25分

FIFAも柔軟な姿勢をみせて、試験的にU-20(U-17)ワールドカップやヨーロッパリーグなどで試してみればいいのに・・・

でも、そこまで厳密にするのであれば、痛がり屋などによる反紳士的な汚い時間稼ぎ行為を防止する為にロスタイムを廃止して、選手や観客に分かるような形で、アウト・オブ・プレイの時に、バスケみたいに時計を止めてほしい(前後半40分ずつの合計80分に変更して、80分が経過した後にボールがピッチの外に出た時点で試合終了とする)

それと、シンビン制度を導入して、イエローカードを貰った選手と3回目のファールを犯した選手は5分間程度退場にしてほしい。

現代サッカーの審判を騙すようなプレーや痛がり屋による時間稼ぎなどには、もう、うんざりです。

FIFAには、伝統に拘らず、クリーンな試合を促すように思い切った制度改革を行なってほしい。

投稿: | 2009年11月25日 (水) 17時51分

いや、なんでそこでアンリが辞退しなきゃならないんですか。
彼は選手としてボールをゴールに流し込んだだけ。
大人の見本うんぬんは筋違いも甚だしい。

投稿: | 2009年11月25日 (水) 14時25分

同感です。
通ぶってるのか
「主審の判定は絶対だ」
「一度くだされた判定は覆らない」
「悪しき前例を作るべきではない。再試合は有り得ない」
とか言ってる人を見ると、本当にサッカー好きなのかな?と疑ってしまう。
誰が見ても間違っている事は正すべきです。微妙な判定ではないのですから。

投稿: | 2009年11月25日 (水) 02時32分

ハンドだけじゃなく、先入観で判定するレフェリングにもウンザリ。
日本人は背が低いという先入観から、空中戦での競り合いで不当なジャッジを受けることが多い。
今回のもアンリの技術ならトラップできてるって先入観もあったんだろう。

投稿: | 2009年11月24日 (火) 01時15分

フランス代表が南アフリカに行くのは仕方ない、がアンリは辞退すべきだ。自分の非を認めれば何でも許されるのか?そんなの大人の見本じゃないよね。

投稿: | 2009年11月24日 (火) 00時46分

この記事へのコメントは終了しました。