2009年10月28日:何ヶ月も前からそうなることは予想されてはいたが、降格という冷酷な事実はやはり胸を痛めるものである。そう感じたのは土曜日の西京極総合運動公園陸上競技場。京都と1‐1で引き分けた大分のJ2降格がとうとう確定した。
遠征してきた大勢のファンがトリニータの選手と一緒に涙を流していた、試合終了後の胸を打つようなシーンは、サッカーの世界における浮き沈みの激しさを如実に示していた。大分がナビスコカップ優勝という最良のときを過ごしてからまだ1年も経っていないのだから。
当時は監督のペリクレス・シャムスカがチームを掌握し、中盤中央のエジミウソンとホベルト、前線のウェズレイという影響力のあるブラジル人トリオがチームの核となっていた。このトリオを活用して、トリニータはその地道なポゼッションサッカーで相手を支配し、ウェズレイのゴールに対する嗅覚から生まれた先制点を守りきることができたのである。
しかし、今シーズンは主要な選手の故障によって、チーム状態が2008年の良かった頃と比べて弱体化してしまった。ホベルトとウェズレイが去って久しく、シャムスカも、事態を好転させようという絶望的な努力の半ばで解任された。
新監督のランコ・ポポヴィッチは、自らに課せられた「ミッション・インポッシブル」を明らかに楽しんでおり、臆することなく若手にチャンスを与えてきたが、それまでに奪ってきた勝点があまりにも少なすぎるため降格は不可避の状況であり、今回、4試合を残した時点でそれが確定したわけである。
今後、若手の日本人選手がどれくらいトリニータに残留するかは、まったく不透明である。ゴールキーパーの西川と攻撃的ミッドフィルダーの金崎はそれぞれガンバと名古屋への移籍が噂されているし、「三位一体」の鉄壁の3バックの1人であった、センターバックの森重も故障から復帰後にはさまざまな選択肢が生まれることだろう。
誰が残ろうと、あるいは去ろうと、忠誠心あふれる大分ファンは、来年にはまた事態が好転し、J1にすぐに復帰できるような体制が整うことを願っているだろう。なんと言ったって、去年の今頃には大分が2009年の降格第1号となるとは誰も思ってはいなかっただろう。
京都対大分の試合については、スカイパーフェクTVに満点の評価を与えたい。試合終了のホイッスルが吹かれたあと、ピッチで展開されるヒューマン・ドラマを淡々と映し出し、ピッチサイドでのせわしない選手インタビュー――たとえば京都のゴールを決めた林のインタビュー――によって貴重な瞬間の映像を台無しにするようなマネをしなかったからだ。
大分の選手のボディー・ランゲージ、とりわけキャプテンである高松のそれ、それからサポーターたちの表情は、降格による失望感とサッカーというゲームの明暗をよく表しており、言葉では語り尽くせないほどのストーリーが表現されていた。