2009年9月25日:試合終了間際に同点ゴールを決め、ホームチームから勝点1をもぎ取れば、チームはある程度は満足する。普通はそう考えがちだ。しかし、ここ最近のサンフレッチェ広島は違う。先日の柏レイソル戦の1-1の引き分けは、彼らにとって勝点1を取ったというより勝点2を失ったと見なされている。これは、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の指揮下、この弱小チームが新たな野望を胸に驚異の躍進を遂げている証だろう。
事実、クロアチア出身のミハエル・ミキッチはJ1優勝を諦めていない。「勝点3を取れるチャンスだった。J1優勝への足掛かりだった」。「この試合に勝ててさえいれば、首位とのポイント差はわずか4になっていたんだよ」
サンフレッチェの流れるような3-4-2-1のフォーメーション、右サイドにバランスと一貫性をもたらしたミキッチの実に闘志あふれるコメントだ。
「今シーズンの俺たちはとても良い状態だ」彼は言う。「J2からJ1に昇格して、それが今優勝争いをしているんだ。夢のようだよ」「サンフレッチェは強豪チームじゃない。弱小チームだ。だが監督がこのチームにもたらしたもの、そして俺たちのプレーは今までの日本にはなかったものなんだ」。
レイソル戦、ボールの支配率で圧倒したものの、エリア付近では綺麗に決めようとし過ぎて結果を出せないという実にフラストレーションに包まれた午後、サンフレッチェはまるでアーセナルのようだった。ミキッチも、レイソル戦でのプレーは、いつもの彼らのプレーではなかったと認めた。
「16~20mの距離からのシュートチャンスがあれだけあったのに、パス、パス、パス。まるでアーセナルだったね。ゴールにボールをたたき込みたかった。ひょっとすると、16~20mの位置からももっとシュートを打たなくちゃいけないかもしれない。でもボスはパスで繋ぐ試合をしたいんだ」。
ミキッチは来日1年目のシーズンをめいっぱい楽しんでいる。そして、ヨーロッパの人たちが日本のサッカーはレベルが低いと思っているなら、それは大きな間違いだと言う。大きな違いがあるとすれば、それはサポーターだろうと考えている。ただし、そのことについてもミキッチは何の不満も持っていない。
「日本のサポーターは大人しいだけさ。彼らはいつだってサポートしてくれている。プレッシャーのきつさが、ヨーロッパのサポーターとちょっと違うだけさ」。「日本ではリーグの上位から中位に位置していれば問題はまったくない。ただ下位にいるとね……。もちろんサポーターは不満だろうけど、それほど大きなストレスではないのかな」。