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神戸の中盤を牽引するキム・ツネのベテラン・コンビ

2009/08/27(木)

2009年8月25日:前のクラブの選手層と比較すれば、ヴィッセル神戸での三浦俊也は恵まれている。同じことが現在のチームの置かれた状況にも言え、月曜日の夜には大分トリニータ戦で大きな勝点3をとって順位は13位となり、降格ゾーンとは勝点で8の差をつけた。
シーズンが終わるまでにはまだたくさんの勝ち点――正確には残り33――を奪い合わなければならないが、三浦監督には、厄介な状況への突入を回避するのに十分な能力と経験が備わっているように思える。コンサドーレ札幌の頃は状況がまったく異なっており、監督本人が認めているように、2007年のJ2脱出はタイミングが1年早く、昨年のコンサドーレはJ1で戦うだけの十分な準備ができていなかったのだ。

三浦監督はいつも中盤の中央を重要視しており、大宮を率いていた頃、駒場スタジアムでのリーグ戦のあとに大分の中盤を支えていたブラジル人コンビについて話をし、2人は冷静なボール・コントロールと正確なパスで試合をコントロールしていたと絶賛していたのを思い出す。
現在のヴィッセルでは、三浦は、中盤を支える2つのポジションにキム・ナミル(金南一)と宮本恒靖というワールドカップ経験者を配しており、そのために4バックの仕事が軽減され、同時に右サイドのボッティと左サイドの古賀の攻め上がりが可能となっている。

大分とのアウェー戦でヴィッセルが挙げた先制点を見れば、その効果がよくわかる。
大分が絶好のチャンスをモノにできず、ルーズボールが自陣ペナルティ・ボックス内にいたキムの足元に転がったとき、キムはあわてることなくボールを操り守備陣から飛び出し、ボールをボッティに預ける。ボッティは右サイドの吉田にボールをフィード。大分のディフェンスが追いつけないまま吉田がクロスを供給。2人のディフェンダーの間に走りこんできた大久保が鮮やかなヘディングシュートを決めた。

ハーフタイムには三浦監督が好采配を見せ、バックの右サイドを近藤から石櫃に交代。前半、近藤は大分の左サイドにいた家長のスピードに手を焼いており、石櫃の投入には家長の攻め上がりを阻止するという狙いが見てとれた。この采配が見事に功を奏し、51分に2点目が生まれた。ボッティが右サイドを駆け上がった石櫃にボールを流し、そこからの低いクロスを吉田が合わせて、ニアサイドに得点したのだった。

ヴィッセルには2-0からさらに点差を広げるチャンスもあったが、その後に訪れたフリーのチャンスをいくつか無駄にしてしまった。自チームの選手たちがゴール前のチャンスにいたずらに時間をかけ、シュートを打つという責任を果たそうとせず、チームメイトに頼る姿を見ていた三浦監督は怒り狂ったに違いない。ヴィッセルの選手たちがこう言っているのが聞こえてきそうだったからだ。「いえいえ、どうぞ、お先に。私は前のシーズンに点を入れていますので、今度はあなたがどうぞ」。
得失点差によって生き残りと降格が決まる可能性もある。アウェーの試合を2-0でリードし、勝点3がほぼ手中にあるときにシュートを打たない手は、さすがにないだろう。

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コメント

>「いえいえ、どうぞ、お先に。私は前のシーズンに点を入れていますので、今度はあなたがどうぞ」

笑ってしまった。
神戸に限らず、日本人選手の特徴ですね。

投稿:   | 2009年8月28日 (金) 10時05分

山本さんとかにも現場復帰してほしいが
色々言われても五輪に連れてった監督だし経験豊富だし

投稿:   | 2009年8月27日 (木) 15時25分

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