さらばウェズレイ!
8月7日発:ウェズレイが日本から得たものは大きい。そしてもちろん、日本がウェズレイから得たものもまた大きい。それは単にウェズレイが挙げたゴールだけでなく、ゴールゲッターとしてのアプローチなどを含め、彼の日本への貢献は計り知れない。だからこそ私は、今週、大分トリニータから現役引退を発表した彼が、いつかコーチとしてまた日本に帰ってきてくれることを願いたいのだ。ただクラブレベルではなく代表レベルで、常勤でなくても構わない。決定力強化のスペシャリストとして、彼は日本サッカー界で非常に大きな役割を果たせると私は思う。
このような提案は、他の多くの国々からすれば少し変わっているかもしれない。なぜなら、ゴールを奪うという感覚は自然に備わっているものだからだ。しかし日本人選手は違う。日本人選手には、それを教えなければならないのである。それは技術的なことでなく考え方で、結果の如何にかかわらずゴールを狙える直感のようなものだ。もしも日本が、ある意味滑稽ともいえるこの問題の解決を誰かに求めるのであれば、臨時コーチでもよいからウェズレイをフォワードコーチとして雇い、彼がこの問題を解決できるかどうか見るというのも悪くないと思う。例えば南アフリカ・ワールドカップ直前の3ヶ月間なんてどうだろう?
いつ、いかなる場所においても、ボールを持ったウェズレイの頭の中には、“シュートを打ち得点を挙げる”、この1点しかない。彼のコーナーからのシュートはいつも私を興奮させたし、得意技ともいえるそのシュートをまったく予想していないゴールキーパーに私は驚かせられたものだ。まあ、左コーナーからのシュートというのは少々行き過ぎかもしれないが、ウェズレイは日本人フォワードにシュートを打つタイミングやネットが揺れるのを見る快感、そしてセレブレーションの喜びを教え込むことができるはずだ。
キーパーがシュートラインから数メートル離れていれば、ウェズレイはデビッド・ベッカムのようにハーフラインからでもためらわうことなくシュートを放つ。チャンスが巡ってきたときにパニックになり慌てた結果シュートを外すなどということはなく、彼は余計にリラックスできるという天性の才能を持っている。
ウェズレイは決して、世界で最も練習熱心だったわけでも、世界最高のチームプレーヤーだったわけでもなかった。以前、彼が当時グランパスの監督だったベルデニックと揉めたことを覚えている。彼の答えは、かの偉大なロマーリオが、監督から練習態度について批判された時の答えを彷彿させた。
「毎試合ゴールを決めているのに、どうしてもっと練習しなくちゃいけないんだい?」
まったく彼の言う通りだ。
年齢、ケガ、そしてブラジルにいる家族の事情が、ウェズレイに37歳でサッカーシューズを脱ぐ決断をさせたようだ(ブラジルでの37歳は、他の国のおよそ42歳にあたるだろうか)。
ウェズレイの引退は、Jリーグにとっての損失である。しかし私は、いつか必ず戻ってきてくれると信じている。彼はまだまだ日本のサッカー界に貢献できるはずだし、誰かそれなりの立場の人が、ウェズレイと交渉してくれないだろうか。
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コメント
ウェズレイじゃなくて、柳沢を、日本代表のFW専門コーチに、招聘して貰いたい。
投稿: | 2009年8月11日 (火) 23時54分
「フォワードコーチ」ってラグビーではあるみたいですね。
サッカーでは聞いたことはないけど、
ウェズレイを起用するならグッドアイデアかも。
投稿: ケン | 2009年8月11日 (火) 00時02分
サッカーは得点の多さで争う競技
決して運動量の豊富さを競う競技ではありませんよ岡田さん
投稿: | 2009年8月10日 (月) 15時53分