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ゴールが再認識させた伊野波の価値

2009/08/20(木)

2009年8月18日:選手の注目度を高める必要がある場合、ゴールが損になることはない。その実例が伊野波雅彦。その巧妙なヘディングシュートが決勝点となり、大分トリニータを迎えた土曜日のホーム戦で鹿島アントラーズに1-0の勝利をもたらした。
このゴールのおかげで、伊野波は試合後にテレビのインタビューを受け、マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれ、試合の3日後に私が読んだ新聞では7.5の評価が与えられていた。端的に言えば、中央のディフェンダーとしてすでに実績を築いている選手が、その堅実で一貫性のあるプレーに見合うほどの注目をついに受けたのであった。

もっとも、伊野波ほどの能力がある選手なら、スポットライトを浴びるためにわざわざゴールを挙げる必要もない。オズワルド・オリヴェイラ率いる鹿島アントラーズに入団してからのここ1年ほど、彼の心身両面での成長ぶりは目を見張るものがあるからだ。
オズワルド監督はこの選手が大好きで、彼の試合を読む能力、冷静なボール捌き、試合でのインテリジェンス、それから何よりもスピードをいつも褒めている。とりわけスピードについては、先日、等々力陸上競技場でおしゃべりをしたときも嬉しそうな表情で、「伊野波には、チャンスがあればもっと積極的に攻撃に加わり、アントラーズの攻撃の幅を広げて欲しいと言っている。あれだけのスピードがあるのだから、前線から駆け戻り、守備のカバーも充分にできるはずだ」と語っていた。

このアントラーズのボスから聞いたところによると、伊野波は、北京オリンピックの日本代表チーム――予選の初期には彼がキャプテンを務めていたチーム。その後、キャプテンの座は異例の人事によって水本に引き継がれた――から外されるという失意を味わったあと、人間的に強くなったそうだ。

おかしな話だが、香港で行なわれていた日本代表のオリンピック予選を、大宮のパブで当時アルディージャの監督をしていたロバート・ファーベークと観戦していたときのこと。伊野波は3バックのリベロを任されており、彼の鮮やかなパス捌きと堂々としたプレーぶりを見ていた我々は、いつも自信満々で、ボール扱いの権威であり、正確なポジショニングをするロナルド・クーマンと彼を比較するようになっていた。
ファーベークはレンタル契約で伊野波を大宮に入団させ、FC東京のベンチ要員以上の活躍の場を与えてやりたいと考えていたが、最終的にアントラーズが彼をかっさらい、彼はJリーグ2連覇を果たしたチームの一員となった。また、浦和レッズも大阪の阪南大学にいた彼の獲得を望んでいたが、結局FC東京に先を越されてしまったと、ゲルト・エンゲルスがことあるごとに話していた。

オズワルド監督は時間をかけて伊野波の適正を見定め、最初はフルバックや中盤の中央で試し、その後、彼にもっとも相応しいポジションは大岩の後継者である岩政と組んだ中央のディフェンダーであるという決断をきっぱりと下した。
現在、伊野波はチームにとってかけがえのない存在となっている。もっとも、次の試合は、土曜日の試合の後半でイエローカードをもらったために出場停止処分となっているのだが。

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コメント

↑負け試合だけで評価するのはおかしい。
それだとどんな選手でも2流以下ってことになる。

鹿島の失点数はリーグ最少であることを考慮すべき。

投稿: | 2009年8月24日 (月) 13時02分

良い選手だとは思ってたけど、そこまで評価高かったのか。
つか評価高すぎじゃないの?
FCソウル戦なんか観てるとまだまだ酷い部分多いけどね。

投稿:   | 2009年8月21日 (金) 14時33分

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