« 若者たちを後方支援した浦和のベテラン勢 | トップページ | ブーイングを浴びるまでに成長したチョン・テセ »

“ロスト・イン・トランスレーション”はなかった!

2009/04/06(月)

2009年4月3日:先日の夜、ドイツの雰囲気溢れる六本木で私はゲルト・エンゲルス氏との再会を喜んだ。皿に盛られた、ドイツ直輸入の新鮮なソーセージ、マスタードやピクルス、そして黒パンを白ビールで腹に流し込みながら、ワールドカップを控えたドイツサッカー協会の技術委員会の会合より活発な議論をした。

ゲルトはレッズに解雇されたことは今も不満に思っており、契約2年目には結果を出せたはずだと考えている。しかし、現実にはトップチームやユースチームの監督として座るベンチもチームもなく、新しいシーズンを慣れない立場で迎えている。とはいえ、彼は決して腐ってはいない。次のチャンレンジを楽しみにしているようだ。ただ、彼は巡ってきた最初のチャンスに慌てて飛びつこうとはしていない。そうしたチームは、得てして低迷しているからだ。それよりは、若手選手を育て、目立たないチームを育てる方を熱望している。弱小チームにとって、ゲルトの日本語力、そしてコーチとしての経験は非常に役に立つ、また、経済的にも得であると証明できるはずだ。

職を失うという不安真っ只中とはいえ、彼は遅ればせながらようやく年始休暇のためにドイツに帰国する時間ができた。そして、ボルフスブルクに所属する2人の日本人プレーヤー、長谷部大久保について非常に面白い話を聞かせてくれた。
1月末、ボルフスブルクはエンゲルスの故郷、デューレンに程近いケルンとのアウェー戦を戦っていた。エンゲルスはチームのホテルで長谷部と大久保に会う約束をしていた。
2人を待っているあいだに、練習場では選手たちに軍隊式の正確さと秩序を求める鬼指揮官、ボルフスブルクのフェリックス・マガト監督が通りかかった。エンゲルスはマガト監督に自己紹介し、2人は長谷部と大久保が現れるまで話をしたという。

「失礼する前に…」マガト監督が言った。「彼らに私のメッセージを日本語で伝えてくれないか?」。エンゲルスはもちろん喜んで引き受けた。
最初のメッセージは大久保宛。「サッカーはサーカスじゃないと大久保に伝えてくれ」。「それから長谷部には、相手からボールを守るための体の使いかたを覚えろと…。それだけだ」。
エンゲルスは大久保へのメッセージを聞いて笑った。彼は必要でもないのになぜバイシクルキックのようなプレーをするのか、ドイツのファンを悩ませていた。エンゲルスには、その理由がよく分かる。彼は、多くの日本人選手が地味で確率の高いプレーより観客ウケする華やかなプレーを多用するシーンをイヤと言うほど見てきたからだ。
エンゲルスがサッカーへの姿勢を絶賛する長谷部は、これから訪れるチャレンジのために中盤中央でのフィジカルの強さを身につけなくてはならなくだろう。そしてそのことは、このずんぐりと頑強な体格のマガト以上に知る人間はいない。もちろん、エンゲルスは2人にきちんとメッセージを伝えられたと確信している。

固定リンク | コメント (0)

コメント

この記事へのコメントは終了しました。