ロングボールで活路を開いたマリノス
2009年4月14日:絵に描いたような見事なゴールは確かに気持ちの良いものだけれど、状況によっては、ロングボールを多用する、お馴染みのスタイルを押し通したってかまわないのだ。
土曜日の午後の三ツ沢球技場ではこの実例が見られ、横浜F・マリノスがひどい出来のヴィッセル神戸に5-0と大勝した。
5点のうちの3点が単純なロングボールをきっかけとして、ヴィッセルのディフェンス陣の処理ミスによって生まれたのだ。ちなみに、残りの2点は左サイドから切れ込んだ山瀬の右足での鮮烈なシュートと、キーパーの榎本達也の頭上を越えて入った狩野健太のフリーキックであった。
試合開始直後の時間帯はいつも、ロングボールで相手チームを試すのが効果的だ。まず、まだ集中力が高まっていないときにいきなりプレッシャーをかけることで、相手のミスを誘うことができる。それから、自陣から離れた位置にボールを送り続けることで、自チームの選手が危険なエリアで致命的なミスを犯す可能性を減らすことができる。
純粋に面白いサッカーを指向する人には物足りないかもしれないが、ロングボール戦術は、マリノス・ファンがすぐに気づいたように、結果を出してくれるのだ。
松田からのロングボール。兵藤の巧妙なフットワークと、渡邉のスライディング・ハーフボレーによるスーパー・フィニッシュにより、開始2分で1-0。キムがロング・クリア。ゴール前で宮本とキーパー榎本の連携ミスを渡邉が突き、絶妙なタッチのシュートでこの日2つ目のゴールを決め、21分で3-0。田中からの何気ないロングパス。ご難続きの榎本に、またも災厄が訪れる。山瀬が楽々とゴールし、48分で4-0。
勝利が必要なチーム、たとえば開幕4試合で2分け2敗となっているマリノスのようなチームの場合、このような安全第一で、けれん味のないアプローチが好ましい結果を生み、未来に向けての自信を呼び起こすのである。
ヴィッセルのディフェンスにもかなり助けられたし、次回もこれほどのゴールが挙げられるとはマリノス側も思ってはいないだろうが、ヴィッセルのミスのほとんどが、ロングボールとゴール前へのダイレクトな球出しに誘発されたのは確かだ。
サッカーでは時と場所を判断することが重要となるが、シンプルな方法が最善の策となることが非常によくある。
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