« “ロスト・イン・トランスレーション”はなかった! | トップページ | グループ首位のグランパス、だが確信からはほど遠い »

ブーイングを浴びるまでに成長したチョン・テセ

2009/04/09(木)

2009年4月7日:相手チームの選手にブーイングを浴びせるファンというのも、あながち悪いものではない。通常、こうした状況が意味するのは、ブーイングの対象となっている選手が良い選手であるとファンに認められている(ともすると恐れられている)ということであり、その選手が自分の応援するチームにいれば…とファンが思っているのは間違いない。
他方、相手チームのファンに無視され、選手紹介でもなんの反応も示されない選手は、関心を引くような特別な何かを持っていないということでもある。つまり、ブーイングを浴びるかどうかは、その選手への評価を知るための興味深い尺度なのである。

たとえば、鄭大世(チョン・テセ)
川崎フロンターレに所属する、がっちりした体格のこの北朝鮮国籍のフォワードは、Jリーグでも屈指の個性派であり、アジア・サッカー界でもトップクラスの選手に成長しつつあるため、相手チームのファンからのブーイングも多い。これはまさに、彼が確たる実績を残している証拠なのである。
先々週の日曜日、フクダ電子アリーナで、チョンはジェフのオーストラリア人センターハーフ、エディ・ボスナーと激しい闘いを繰り広げた。ジェフのファンがホームチームのゴール裏に集まり、チョンに罵声を浴びせる場面もあったが、チョンは小走りで戻りながら、両手をジェフのファンに振るという対応を見せた。
主審の西村雄一にはこれが面白くなかったようで、その仕草をやめるようにチェンに命じた。ファンを刺激する行動だと考えたのかもしれない。
親愛の情とも考えられる罵声に対しチョンが大げさな対応をみせたことは、私にはとても面白かったし、Jリーグにおける彼の評判と地位をさらに高めるものであると思った。

以来、チョンはワールドカップの北朝鮮代表としての活動がちょくちょくニュースとなり、ピョンヤンでは自分の顔につばを吐きかけたとUAEのキーパーを批判し、さらにソウルでの韓国戦の前に起こった食中毒疑惑の被害者だとも報じられた。また、このコリア・ダービーでは、0-0の試合の後半序盤に彼のヘディングシュートを韓国キーパーの李雲在(イ・ウォンジェ)がきわどいところでセーブし、シュートがゴールラインを割っていないという判定が下され、議論を呼んだ。
チョンはそのプレーぶりとエンターテイナー性が日本向きであるばかりでなく、韓国でもそのパワフルさから“アジアのルーニー”という評価を得ている。
ブーイングは今後さらに激しくなるだろうが、それはまさにチョン・テセとフロンターレに対する賞賛と同じ意味を持つのである。

固定リンク | コメント (2)

コメント

鄭大世選手は、北朝鮮代表ではありますが、北朝鮮国籍ではなく、韓国国籍のようですよ。

投稿: . | 2009年7月18日 (土) 11時12分

チョン・テセが、日本代表を選んでくれたら、ワールドカップベスト4も、夢じゃなかったのにな~

投稿: シアラーパズル | 2009年7月 2日 (木) 23時53分

この記事へのコメントは終了しました。