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チャンスをつかめなかった松井

2009/02/16(月)

2009年2月14日:水曜夜の、横浜でのスコアレスドロー。日本とオーストラリアは勝点1ずつを加え、2010年南アフリカワールドカップに向けお互いに1歩ずつ前進した。しかしそうしたなか、一人の日本人選手にとっては大きな後退となった。そのことが、緊張とフラストレーションに満ちた試合において私には非常に残念だった。そう、私が言っているのは、大久保嘉人をベンチに引っ込めてまで岡田武史監督が左サイドで先発メンバーとして驚きの起用をした松井大輔のことである。

試合序盤の松井は、右ウィングでのボールの奪い合いに競り勝ち、その後、倒されてフリーキックを得たりと、なかなか良いように見えた。しかしそれ以降は派手すぎ、持ちすぎ、そしてその結果決められないという昔の彼に戻ってしまった。
これこそが、かつて京都サンガを指揮したピム・ファーベーク監督が一番気に入らなかったことなのだ。そんな松井を見ることはもうないだろうと思い、そして願っていた。

ヨーロッパバージョンの、進化した松井は、アシカショーのように大げさすぎて客の失笑を買う、いわゆる“サーカス・フットボール”とは異なり、より成熟し、より統制され、そして役割をきちんと果たしていく、そういうものだと私は思っていた。しかし水曜日、目の当たりにしたものはまったく違っていた。
もちろん、松井の技術とバランス感覚は天賦のもの。彼はフランスで、体力面にもより一段と磨きをかけた。松井をイングランドの選手と比較するとすれば、ペナルティエリア周辺での高度な技術と抜け目のなさでゲリー・リネカーに多くのゴールをもたらしたピーター・ベアズリーだ。松井はそうした選手になれる可能性を持っている。
松井もいまや27歳、5月には28歳になる。可能性について話しをするにはもう遅すぎる。彼はいま絶頂期を迎えているが、代表での実績はこのオーストラリア戦でわずか14試合である。これほどの能力、そして創造性を持つ選手であることを考えると、あまりに少なすぎる。

松井は何度となくボールを失った。松井のために、そしてチームのためにならないと見るに見かねた岡田監督は57分、ついに彼を交代させた。松井は岡田監督から大きなチャンスをもらった。だが彼はそのチャンスをつかむことができなかった。それはとても残念だし、またある意味驚きでもあった。私は最近の彼は“本物”だと見ていたが、どうやら違ったようだ。

この試合の2つの大きな見所は、遠藤による直感的でダイレクトなものだった。1つ目は70分、マーク・シュウォーツァーがアクロバティックなセービングで止めた素晴らしいシュート。そして2つ目はその直後、左ウィングからファーポストへの円弧を描く美しいクロス。見事だった。もしも日本に、速く、そして正確なストライカーがいれば…。

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コメント

松井選手どうこうより戦術面というかチーム全体の攻撃センス、連動性が無いために一人で打開しようとした結果な気がします。しかし、あんな試合をしててワールドカップ行けるのか、行ったとして大丈夫なのか疑問です。
岡田監督の采配や策の無さにも疑問が残ります

投稿: LILI | 2009年2月21日 (土) 23時44分

たしかにこの試合の松井は良くなかったけど、
それでも、使い続けて欲しい。
得難い個性だから。

投稿: ケン | 2009年2月18日 (水) 23時42分

最近の松井にはゴールの臭いがない。
前は技術だけじゃなく、2列目からの絶妙な飛び出しなども魅力だったと思うんですが。
そういうシャドーストライカー的な動きは全くなくなりましたね・・・。

投稿: | 2009年2月16日 (月) 23時19分

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