« J2で際立つ難波と太田 | トップページ | オズワルドの情熱はさらに強く »

ハリウッド・レッズ

2008/12/01(月)

2008年11月29日:浦和レッズがバイエルン・ミュンヘンと提携しているのも、うなずける。彼らはかつて、ピッチ内よりピッチ外でのさまざまな出来事により“FCハリウッド”と呼ばれたバイエルンにそっくりなのである。
埼玉の昼メロドラマ(ソープ・オペラ)の最新の展開は、ゲルト・エンゲルス監督の後任として、同じくドイツ人のフォルカー・フィンケ氏が決まるという監督人事だ。舞台裏で繰り広げられる密談あり、噂あり、要求あり、否定あり、こじれた関係あり、そしてラストシーンでの犠牲者ありと、まるでハリウッド映画さながらの様相を帯びている。

今回、レッズの不甲斐ない成績のツケを払わされたのは、エンゲルス監督だけではない。これらの問題に愚かな対処しかできなかったクラブもである。社長から直々に解雇を言い渡される前から、こうなるであろうことはおそらく大多数の人が分かっていたようだが、エンゲルス監督の解雇が正当か否かは別として、少なくともこの温厚なドイツ人監督はもう少しマシな扱いを受けるべきだっただろう。
リーグ戦3試合を残した時点で、アントラーズと1差のレッズにはまだタイトル奪還のチャンスが残っていた。正直なところ、今シーズンの彼らは全てのポジションに良い選手が揃っていながらチームとしてはまったく良いプレーができていなかった。それでもレッズは2位、優勝するチャンスだってあったのだ。これが冷厳な事実だ。

ところが、経営陣は待つことができなかったのである。先週日曜日のエスパルス戦、フィンケ氏が埼玉スタジアムに来ていたのだ。試合の2週間以上も前から、代理人や監督らの間ではメッセージがやり取りされている。それにも関わらず、レッズは、エンゲルス監督がこうした事態を全く知らないだろうとタカをくくっている。信じられないことだ。
こんな居心地の悪い環境で、そして彼の監督としての命運も尽きたなか、エンゲルス監督はエスパルスとの重要な一戦より大きなものと戦っていた。そして、レッズは負けるべくして負けた。その3日後、クラブは契約が1年残っているにもかかわらず、今季限りでの解任をエンゲルス監督に言い渡すことを決定した。
ある英字新聞では今週、エンゲルス監督の処遇について“粗末”と表現していた。彼は少なくともそれなりの額はもらえるようだが、まさにピッタリの表現である。これで、日本でのエンゲルス監督の解雇はジェフ、京都、そして浦和と3度目。しかし彼は残り2試合を黙って耐え、今シーズンのレッズを最後まで見届けることになる。

今季はじめ、2試合終了時点でエンゲルス監督がホルガー・オジェック前監督のあとを継いだとき、私は彼を“サバイバー”だと書いた。あの日本語の能力とコーチ経験があれば他クラブでも十分コーチが務まるとは思うが、彼はどちらかと言うと、ナンバー2のポジションの方が合っているのかもしれない。
この哀れな状況のなか、エンゲルス監督はレッズよりはるかに大人の対応をした。エンゲルス監督は解雇されるべきだったのか?――それについてはここではあえて語らない。しかし、浦和ほどのクラブなら、もう少しマシなやり方があったはずだ。

固定リンク | コメント (3)

コメント

開幕以来のレッズサポの親爺ですが.一度サポも選手もJ2に降格したときの気持ちを
思い出してまた来シ-ズンをサポしなければ来期降格もありうる状況であると危惧しておるいますがレッズサポは辞められない!50歳。

投稿: | 2008年12月 8日 (月) 11時01分

本当に責任をとらなければならない人間は他にいますよね。これで浦和経営陣のやり方もはっきりしたし、残念なことに今の浦和は『勝利し続ける』ことでしか一つになれない。出来の悪い我が子を愛するような心はなくなったのでしょうか…エンゲルスは最後まで大人だった。

投稿: | 2008年12月 8日 (月) 08時01分

浦和は経営陣がアマチュアなのかもしれませんね。
監督だって人間なんですから、尊厳を持って扱うべきでしょう。

投稿: | 2008年12月 2日 (火) 02時02分

この記事へのコメントは終了しました。