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オールドボーイとカウボーイ

2008/12/25(木)

2008年12月24日:月曜のJリーグアウォーズの夜は、スタンド上部にいた少数の鹿島アントラーズ・ファンの歓声が響き渡っていた。とにかく、お祝いすることが山積みだったのだ。
マルキーニョスが、得点王とベスト11、それに最大の賞であるMVPを獲得するというハットトリックを達成。右サイドバックの内田篤人とセンターハーフの岩政大樹もベスト11に選出されたし、オズワルド・オリヴェイラ監督が2年連続で最優秀監督賞を受賞した。そしてさらに、アントラーズのOBである秋田豊、名良橋晃、黒崎久志の名が功労選手賞受賞者のなかにあった。
そのため、感極まったアントラーズ・ファンの歌が一定の間隔で流れ、まるでスタジアムのような雰囲気が会場に漂い始めた。場所は東京ドーム近くのMeets Port。念入りに計画された、蝶ネクタイ着用の徹底的にフォーマルなイベントだったというのに。

もっとも、彼らの声援が最高潮に達したのは、同じく鹿島のヒーローでありながら現在は京都サンガF.C.の一員としてプレーする選手が登場したときではなかっただろうか。言うまでもなく、その選手の名は柳沢敦。2名が選出されたベスト11のフォワードラインを、柳沢とマルキーニョスが占めることになったのだ。パープルサンガでの「アツシ・ゴール」は、直近のシーズンではリーグ戦32試合で14得点に達し、チームのJ1残留の原動力となった。ベスト11選出は3度目。鹿島から京都への転地をきっかけに再挑戦しようという気持ちが彼のプレーに火をつけたのは明らかである。

転地ということで言えば、アントラーズのオズワルド監督も翌日、まったく同じことをした。彼の場合は故郷のブラジルで1ヶ月の休養をとるというものだが、その間には愛娘の結婚というお祝い事も含まれている――ただし、お相手はサッカー選手ではなく、エンジニアだそうだが。

シーズン最終日、12月6日に札幌でチームが優勝を決めてからの数日間は、オズワルド監督には長く感じられたことだろう。Jリーグアウォーズは12月22日という遅い時期にあり、しかもアントラーズはすでに天皇杯で敗退しているため、監督はバケーションまでの日数を指折り数え、実際に自炊生活も体験してきた。
「16日間、鹿島で独りぼっちで暮らしていたんだ」。セレモニーの開始前、彼はため息をついた。
「選手と練習することもなかったし、ブラジル人スタッフはもうみんな帰国して、いない。やることといえば、料理だけ。家は農場みたいになっていてね、僕はカウボーイみたいな生活をしていたんだよ!」
おそらく、このカウボーイスタイルの生活は来シーズンに役立つことだろう。決闘、 PK戦という決闘に勝つために。

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