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マルキーニョス。その数字以上の価値

2008/12/11(木)

2008年12月11日:Jリーグアウォーズはシーズン末の12月22日にならないと決まらない。日本中のファンが議論をするための時間はまだたっぷりあるわけだ。
単刀直入に、私が選ぶMVPを紹介しよう。それは鹿島アントラーズのマルキーニョスだ。足技も鋭いが、頭脳はもっと鋭いこのブラジル人ストライカーは、鹿島が浦和レッズを土壇場で追い抜いた2007年にはチームのキープレーヤーの1人にすぎなかった。しかし、今シーズンの彼は疑いの余地なくチームの中心選手である。間違いない。
もしも小笠原がシーズン終了まで万全の状態でプレーしていたとしても、私はやっぱりマルキーニョスを選ぶだろう。9月20日の柏レイソル戦で小笠原が膝を負傷する以前から、マルキーニョスはチームでもっとも影響力のある選手である、と私は思っていた。

ただし、得点王争いで2位のダヴィ(コンサドーレ札幌)に5点差をつける、21ゴールを記録したからマルキーニョスを選ぶのではない。もちろん、30試合でこれだけの得点を叩きだしたマルキーニョスのゴール量産率は素晴らしいが、本当に際立っているのは、彼の全体的なパフォーマンスとチームに対する影響力。これらの特徴は、昨年から継続しているものでもある。
ピッチ上でのマルキーニョスは真の意味でのリーダーであり、その経験と技量が、2007年の田代、今シーズンの興梠の成長に大いに役立った。興梠との連携の取り方、そして1-0での勝利のみならずシーズン優勝をもたらした土曜日の札幌ドームでの野沢のファンタスティックなゴールをお膳立てしたプレーを見るだけでも、彼の貢献度の高さがよくわかるだろう。
確かに、野沢もよくやった。ボールをコントロールし、ゴール前25mから右足でゴール隅にシュートを決めたのだから。しかし、その野沢のシュートコースを作り出したのは、マルキーニョスの巧妙なパスだった。

鹿島がホームでジュビロに勝利した先頃の試合のあと、私はオズワルド・デ・オリヴェイラ監督に、JリーグMVPにふさわしいのは誰かと質問した。
オリヴェイラ監督は具体的な選手名を挙げず、チームとしての素晴らしさを強調したが、その時々で輝いた選手がいたことは認めた。大分で大きな勝利を収めた試合については内田の名前を挙げ、ジュビロ戦では終了直前に値千金のゴールを決めた岩政――昨シーズンの私のMVP――を引き合いに出したが、シーズン全体を通して、マルキーニョスが一貫して救世主の役割を果たしてくれた、とも話した。
21ゴールも挙げたのだからマルキーニョスにMVPをあげよう、という単純な発想もありえるだろう。しかも、その得点の多くが個人としての働きによるものであるのだから。しかし、彼のプレー自体には、そのゴール数をはるかに上回る価値があるのだ。
マルキーニョスがチームメートの内田、岩政、青木を抑えて、私のMVPとなった。ピッチの中央で、彼は一貫して成熟したプレーを見せ、チームを主導し、小笠原が抜けた穴を補ってきたのである。

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