常識論が勝った俊輔移籍話
2008年12月5日:横浜F・マリノスにも、常識を取り戻した人がようやく出てきたようだ。1月の移籍解禁と同時に、マリノスが中村俊輔を呼び戻すため1000万ドルを準備するという話自体、そもそも私には理解できなかった。俊輔はどのみち、2009年6月30日には自由契約になるのだ。最新の情報によると移籍金は500万ドルまで下がったそうだが、それでも6ヶ月後にはタダで獲得できるのだから、ムダというほかない。
とはいえ、移籍話が立ち消えた今となっては、まぁもうどうでもよい。経済の冷え込んだ現在でも、日産がその気になれば500万ドルぐらいは用意できたに違いない。だが彼らは待つことにしたようだ。セルティックにしてみれば、この日本のスターが4連覇に貢献してくれるのはしあわせなこと。またマリノスファンも、7月には俊輔が戻ってくることがほぼ確実視されているのだから、それほどガッカリすることもないだろう。
莫大な移籍金の話は、一体何だったのだろう。1月の中村移籍のために、マリノスが本当にセルティックに1000万ドルを支払うと申し出たなら、セルティックは間違いなく受け取っただろう。いずれにしても、シーズン終了後には俊輔を失うのだ。受けない方がおかしい。
しかし、マリノスがそれを払うのは狂気の沙汰だと私は思った。
マリノスが獲得を急ぐ理由として思い当たるのはただ1つ。来年の夏、俊輔の移籍が自由になったときに日本の他のチームが獲得を防ぐことだ。例えば浦和レッズ、名古屋グランパスそして、ヴィッセル神戸までもが、俊輔に莫大な額の複数年契約をオファーする可能性だってある。おそらく、マリノスはそうした契約と同等のものをオファーできないことを危惧したのだろう。だからこそ、他のチームが躊躇しているときにそれだけ高額な移籍金を支払う必要があったのだ。
1000万ドルのオファーが届けば、契約が残りわずか6ヶ月となった中村をセルティックが手放すのはほぼ確実。中盤には良い選手が揃っており、スコットランド・プレミアリーグでの勢いを削がれることもない。
個人的には、俊輔がシーズン終了までセルティックに残ることを決めたのを喜ばしく思っている。来年早々のワールドカップ予選に向けトップコンディションを保つことができるし、日本代表でのプレーには間違いなく、セルティックで培った勝者のメンタリティが反映されるだろう。
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