皆が満足した、横浜でのゴール合戦
2008年12月20日:8つのゴール、そして世界のスーパースターによるプレー。サッカーファンが歓喜したのは当然である。
5ゴールを挙げ観客を魅了したマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)がガンバを下し、FIFAクラブワールドカップの決勝に駒を進めた。サー・アレックス・ファーガソンも満足したことだろう。
一方、西野朗監督が落胆するのも当然だ。3-5で敗れ、それも前半はコーナーキックから立て続けにヘッドで2点を失い、とりわけ2点目はロスタイムに入ってからの失点。さらに山崎がファンデルサールからゴールを奪い期待が膨らんだ直後に3失点目…。ルーニーが中澤を抜き去りいとも簡単に挙げたこの3点目は、まさに致命傷だった。
フレッチャーとルーニーの2ゴール目でリードを5-1と広げたユナイテッドが、さらに7点、8点とガンバを粉砕するのもたやすいことのように思えた。だが試合終盤になってからのアジアチャンピオンの2ゴールは、皆を満足させるものとなった。そう、とりわけFIFAにとって。
6万8000もの観衆がスタジアムに訪れただけでなく、世界211ヶ国で何百万もの人がテレビを通して、とかく軽視されがちな大会そのものの存在意義を確認したのである。7-1、8-1といったユナイテッドの勝利では何の意味もなくなる。
とはいえ西野監督にとっては、ギグスの左足から放たれたコーナーキックをそれぞれビディッチとロナウドに決められ0-2で迎えたハーフタイムは非常にフラストレーションのたまるものだっただろう。
ウェールズ人のコーナーキックを、セルビア人とポルトガル人が決める。こうしたゴールはいかにもイングランド的だ。ビディッチは山口よりはるかに高く、まるで木からリンゴを捥ぐ(もぐ)ようにいとも簡単にヘッドで決め、ロナウドはより華麗な技術に隠れて見落とされがちな彼のヘディング能力を見せつけてくれた。
2チームの格の違いか、試合が親善試合のように見えた瞬間もあった。ユナイテッドはプレミアリーグでは普段見せないようなプレーで雰囲気を盛り上げ、特にギグスは日本人の観衆を喜ばせようとしていたようだ。
決勝でエクアドルの“オールブラックス”、リガ・デ・キトと対戦するユナイテッドは、これまでより数段高いプレーをしなくてはならない。また、3位決定戦でメキシコのパチューカと対戦するガンバ大阪にとっては、彼らのプレーのクォリティを証明する絶好のチャンスである。
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