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ストイコビッチの中のオシム的要素

2008/11/20(木)

2008年11月19日:6試合で勝ち星なし。最大で勝点18が可能だったが、実際に獲得した勝点は4。最近3試合でのゴールは1つだけ……。降格の危機にさらされているチームにありがちな成績だ。
しかし、この場合は違う。この成績は名古屋グランパス――依然として3位につけ、3試合を残した時点でトップとは勝点差は2――のものなのである。
この状況は、混沌とした最近のJ1を象徴している。つまり、大詰めの重要な時期にさしかかっているのに、どのチームも連勝できず、混戦から抜け出すことができないのである。それゆえ、グランパスが今の順位を辛うじて維持することが可能になっている。

名古屋のドラガン・ストイコビッチ監督は、シーズンの終盤になりこのような不甲斐ない成績ではタイトル争いからの脱落は必至とわかっているが、同時にその長い経験から、サッカーでは、とりわけ日本のサッカーではどんなことも起こりえるのだということも知っている。
「我々は絶対にあきらめない」。土曜日、2-1で大宮を破った天皇杯の試合後、NACK5スタジアムからの去り際に、ストイコビッチは目を輝かせながらそう語った。
「この試合で最も大事だったのは、勝つための方策を見つけることだった。そうすれば、リーグ戦の残り3試合にも自信をもって臨めるからね。我々には自信が必要なんだ。アウェーで2点もとれるなんて、まったく驚きだね」

グランパスは、フローデ・ヨンセンの2つのヘディング・シュートで勝利をモノにした。最初のゴールは試合序盤に大宮ディフェンスからプレゼントされたものだったが、2点目は巧妙なシュートで、その前には左サイドで阿部とマギヌンの間で流れるようなボールの受け渡しがあった(実際、ライン沿いに阿部が出したパスは芸術的だった。大宮のディフェンスを迂回するようにボールがカーブし、それから左サイドを駆け上がってきたマギヌンにぴたりと合った)。ヨンセンは来シーズンはガンバでプレーし、その代わりに札幌からダビが来るという噂があるが、そのような移籍が成立したとしても、名古屋にとっては、空中戦での強さを誇るこのノルウェー人フォワードを失うのは痛手になるだろう。

いずれにしろ、グランパスはアウェーでの勝利という結果を出したし、その特徴とスタイルを十分に発揮することで、J1でのタイトルは手の届かないものではないという確信を監督に抱かせた。
さらに、かつてのボスであるイビチャ・オシムの言葉もストイコビッチを元気づけた。イビチャ・オシムは、ストイコビッチが名声を博した1990年のワールドカップで、彼が所属したユーゴスラビア代表チームの監督を務めていたのだ。
「グランパスのプレーはいつ観ても楽しい、と言ってくれたよ。彼からこのような言葉をもらえて、本当に嬉しいね」。試合終了後、オシムと数分間おしゃべりしたあと、彼はそう語った。

オシムと一緒に仕事をしていたときに彼から学んだことは何か、と私はグランパスの監督に尋ねた。すべての選手がチームのために仕事をするのが何より重要であるということ、と彼は答えた。
「選手は、自分勝手になってはならない。選手はグループのためにプレーしなければならないんだ」とストイコビッチは言った。
「彼(オシム)は、僕が優れた才能を持った選手だということを知っていたが、僕はその才能をグループの中で活かし、グループのためにプレーしなければならなかった。そうなれば、グループは試合に勝てる。代表チームの一員として、ワールドカップで一緒に仕事ができたのは、良い経験だったよ」。

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