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完璧なスタート。最後の混乱以外は……

2008/09/11(木)

2008年9月10日:バーレーンで3-2の勝利という結果であれば、日本の誰もがそれなりに満足するだろう。試合前にはそう思われていた。スコアはまさにその通り。私自身は、最後の数分間の混乱ぶりをあまり深刻に受け止めるつもりはない。
もちろん、日本は3点をリードしたあとの残りの5分に緩んだプレーをすべきではなかったが、リードは十分に奪っており、終盤に得点をとられても、結果的に勝点3を奪取することに成功した。
つまり、使命――最終予選、最初のアウェー戦での勝利――は果たされ、日本代表は、抜け番となる水曜日の第2節で他の4チームがしのぎを削るのをじっくり観察できるようになった。

10月15日、ウズベキスタンが埼玉に登場するまでにはグループ内の力関係が明らかになりつつあるだろう。日本は、2戦目でさらに勝点3を得れば、ワールドカップ本大会進出が自動的に決まる、上位2チームの枠の1つを占めるのに有利な立場を築くことができる。

マナマでの日本代表は、キックオフからプロらしい、積極的なアプローチが印象的であった。また、終始一貫して試合を支配しようとする、その野心的で、自信に満ちたプレーにより、どちらがボスかをバーレーンに示していた。
今年3月、0-1で敗れた日本代表にはこのような姿勢がなかったが、今回のプレーはバーレーンが弱々しく見えるほどだった。

私は、松井が左サイドでバーレーン選手を翻弄する姿を見るのが楽しみだった。フランスで松井のプレーぶりがどれだけ成熟し、進化したかということは以前にも書いたが、彼はこのレベルではやりたいことは何でもできるように見えた。ボールを保持するだけの自信とテクニックを持っており、相手DFが突っかかってくるよう誘い出し、それから爆発的な加速により自由に駆け抜けるのである。見る者に喜びを与えてくれる選手であり、一連のワールドカップ予選における日本の主力兵器となった。

ただし、中盤の中央についての評価はまだ保留としておきたい。遠藤と長谷部のコンビは、とくに右サイドに中村俊輔、左サイドに松井がいるとユニットとしては少し安定感に欠ける感じがする。大柄で体の強いウズベキスタンが中央を突破してきたときに、このエリアの真価が問われることになるのだろう。
ウズベキスタン戦では、岡田監督は完全復調した鈴木啓太を起用し4バックの盾の役をさせるかもしれないが、それは勝っているフォーメーションを変えることにもなってしまう。このエリアの日本代表は軽量級。遠藤や長谷部を上回るような体の強さと守備能力が必要であると私は今でも思っている。

阿部ならその仕事ができるし、今野も大丈夫だろう。だが、今野はマナマでの出来事にショックを受けたにちがいない。バーレーンが1点目を挙げたとき、数分前にピッチに入ったばかりの今野を中澤が叱責し、ペナルティエリアの端からのクロスをなぜ止めなかったのかと詰問していたのである。
今野は自信を喪失するのだろうか? 私はそうは思わない。今野は素晴らしい選手だ。それに相応しい態度と人間性を持っているし、その実力は万人が認めるところである。

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コメント

『サッカーマガジン』で松井の採点が低かったのが不満です。
彼のおかげでどれだけバランスが改善したか!

自分のブログに「遠藤の相棒は啓太がベスト」と書いたのですが、
なるほど、それだと「勝ってるチームはいじらない」
という原則に反するわけですね…。
勝ち点3も、かならずしも良い面ばかりではないということか。

投稿: ケン | 2008年9月11日 (木) 23時09分

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