フラッグのゲート、アレックスと“サー・アレックス”
2008年9月24日:火曜夜のフクダ電子アリーナ、そして名古屋グランパスを相手に見事な勝利(2-1)を飾ったジェフユナイテッドにお礼を言いたい。最高の雰囲気のなか、ピッチの内外でフェアプレーが実践される好試合を、実のところ私は切望していたのだ。
土曜に柏でアントラーズ・ファンの関わる見苦しい出来事を見たあとだったが、この試合により私は日本サッカーへの信頼を取り戻した。試合後の蘇我駅周辺には、まさに活気が満ちていた。そう、フクアリでの試合は、それほど良かったのである。
前半のグランパスはチャンピオンを目指すチームに相応しいプレーをし、小川の見事なロングシュートで先制した。しかし、後半開始直後の2ゴールでジェフが試合をひっくり返し、それからドキドキするような展開を、最後まで持ちこたえた。
その夜のジェフのヒーローは深井。決勝ゴールを決めたほか、ジェフの攻撃陣にスピードと気迫をもたらしていた。ジェフは新たな羽生を発見したのか? 左利きのミニ羽生を?
かつてグランパスでプレーしていた深井は、はるばるやって来たアウェーチームのファンから野次を浴びていたが、それ自体は何も悪いことでも、特別なことでもない。特筆したいのは、テレビの「ヒーロー・インタビュー」を終えた深井が“アウェー”側のエンドに駆け寄って1人だけのウィニングランを行なったとき、グランパスのファンが彼に暖かい拍手を贈り、深井も礼を返したことである。これこそが、日本サッカーの真の姿。土曜日の嫌な記憶を洗い流す助けとなった。
私は普段、柏レイソルのホームである日立台(日立柏サッカー場の所在地)で観戦するのが好きだ。陸上のトラックがなく、ピッチのすぐそばに観客席があるため、いつも熱狂的で、時折陽気な面も見せるファンがあらゆる試合を面白く演出してくれる、素晴らしいスタジアムだからだ。
しかし、土曜日の雰囲気はよろしくなかった。アントラーズがビッグマッチに大勢のファンを引き連れてきているのだから、本来は良い雰囲気になるはずであったが、場内には不穏な空気が立ち込めていた。
アレックスへの「フラッグによる攻撃」は見苦しく、結果的に鹿島ファン1名にスタジアムへの無期限出入り禁止の処分が下されたわけだが、私には、2度目の出来事のほうがさらに悪質に思える。プレーが再開され、レイソルがすぐに逆サイドでのコーナーキックを得たときのことだ。
もっとも、栗澤はコーナーキックをすぐに蹴ることはできなかった。フラッグのポールが彼の顔を突っついていたからだ。
アレックスのときはポールが頭に触れてすぐに離れたため、ケガにならなかったが、栗澤の場合は、大ケガになっていたかもしれない。警備の人間がこのナンセンスをすぐに止めさせようとしなかったのには、がっかりした。迷惑行為に対する処置を命じた、岡田レフェリーには満点を与えたい。
今シーズンのアントラーズ・ファンは、国立でのスーパーカップの試合後のように、いつピッチに乱入するかわからない。また、一部の愚か者がフェンスを破壊したり、フェンスを乗り越えようとしたりするような、日本ではあまり見られないような振る舞いもあった。スーパーカップでのピッチ乱入……埼玉スタジアムでアントラーズ・ファンが出した下品な言葉の看板……レッズ・ガンバ戦での観客トラブル……フラッグのポールによる攻撃……今シーズンは一体どうなっているんだ?
だから、火曜日のジェフ対グランパス戦が、どれだけ私を元気にしてくれたことか。両チームの監督にも最大級の賛辞を贈りたい。
もしもジェフが降格を逃れられたら、伝説的存在となっているファーガソンに続き、スコットランド人の2人目の“サー・アレックス”がサッカー界に生まれるかもしれない。千葉にサー・アレックス・ミラーあり!
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コメント
私も、あの事件の後、気になって久々にJリーグの試合を見ました。下位に沈んでるとは思えないジェフサポーターの熱い声援に感動しました。そして一番印象的だったのが、試合後に各チーム同志が並んで握手をしているシーンでした。毎試合見ている人には当たり前の光景でしょうが、他国ではあまり見られないものではないでしょうか。
ついさっきまで戦っていた選手たちが健闘を称え合ってるのに、サポーター同志はいざこざばかり。Jリーグにはまだまだ素晴らしいものがあります。希望のあるサッカー文化をつくっていってほしいです。
投稿: tomo | 2008年9月26日 (金) 16時26分
フクアリで観戦しました。前回の試合もそうでしたが、名古屋のサポーター席は素晴らしいまとまりと態度でした。なんとかジェフが残留した暁には、是非、また「J1の試合でお越しください」と言いたい気分でした。
投稿: アウェイゴール近くから | 2008年9月26日 (金) 03時53分
ジェレミーさんと全く同じことを感じました。グランパスサポーターは立派でした。そして我ジェフサポにとって・・・いつ以来だろう・・・感動を伴うゲーム。無駄になるかもしれなくても仲間を追い越していく感動、球を持たないフリーランニングの相手を必死に追いかける感動、みんな頑張った!
投稿: ニースケンス | 2008年9月25日 (木) 22時30分
自分も栗沢への行為は一度目が存在しなかったとしても相当悪質なもので
あれがもし直撃していたら、その後彼のプレーへの影響が出ていたでしょうね。
柏側の警備員や運営の人間はもう少し強硬な態度に出ていても良かったと思いますが
幸い栗沢には当らなかったせいか、鹿島側が二度目の行為に触れないのは異常です。
自分は応援するクラブの試合がない時、近所ということもありたまに日立台に足を運んでいますが
一部の異常者のせいで、あの雰囲気が今後損なわれるのではないかと心配です。
投稿: | 2008年9月25日 (木) 12時55分