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2008年9月

ガンバ、レッズ、そしてイエローカード

2008/09/29(月)

2008年9月27日:完璧だ! 浦和レッズのゲルト・エンゲルス監督は、2戦合計4-3でAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝進出を決めた水曜夜のアルカディシア戦勝利(2-0)をそう表現した。
一方、吹田でもガンバ大阪がアルカラマを2-0で破り、2戦合計4-1として勝利を祝っていた。だが、小笠原を欠いたアントラーズはアデレードに0-1で敗れ、2戦合計1-2で敗退した。
前半にはアントラーズにもチャンスがあった。しかし、興梠もマルキーニョスも決めることができず、ロバート・コーンスウェイトが鹿島での無様なオウンゴールを帳消しにする貴重なゴールをヘッドで決めた。

それでも、準決勝に進出した4チームのうち2チームが日本のチーム。彼らは準決勝でぶつかるため、いずれかが決勝に進出することになる。今季のJ1を共に盛り上げているガンバとレッズにとって、シーズン終盤にJ1リーグ戦を含む大きな賞がかかった3マッチシリーズとなった。

埼玉スタジアムにはアジアサッカー連盟の首脳陣と彼らのマーケティングパートナーの歴々が勢ぞろい。眼前で繰り広げられたスペクタクルに大いに満足したようだ。4万1,000人をこえるファンが集い、死闘に決着をつけた素晴らしい2ゴール。AFCも、アジアにようやくプレミアクラブの大会が誕生したと感じたことだろう。

「浦和レッズが大会のレベルを一段上げてくれた」。AFCの役員がそう語った。
「昨年の成功により、彼らはアジアにも名門と呼ばれるクラブがあることを証明してくれたし、他のチームに“アジアチャンピオンのレベルとはこういうものだ”と知らしめてくれた」。
そしてその役員はさらに、規模が拡大されたFIFAクラブワールドカップにヨーロッパや南米の豪華なチームに混じってアジアチャンピオンが出場することが保証され、それが日本のチームをアジアレベルで躍進させ、そしてようやく真の実力を見せてくれたのだと続けた。
「おそらく彼らは、出場して勝てるわけではないと気づいたことだろう」。「大会のレベルはそんなものではない。勝ち抜くためにはとにかく良いプレーをしなくてはならない」。

確かにそうだ。ACLの注目度は年々上がっている。とりわけ、オーストラリアのアデレード・ユナイテッドの準決勝進出はCNNのエクセレント・ワールド・スポーツのヘッドラインニュースとして報道され、ガンバの山崎のゴールが“プレー・オブ・ザ・デー”に選ばれた。そして埼玉スタジアムでの光景は、世界のサッカー界のどのシーンにも引けをとらない。事実、何千という空席が目立つヨーロッパと、レッズファンの多さを比較するとなおさらだ。

相馬が25mの距離から左足のボレーで挙げたゴールは絶品だったし、闘莉王はバックポストでマーカーを振り切り、ポンテのフリーキックを胸でコントロール、そして右足アウトサイドのハーフボレーでネットへ叩き込むという、オールラウンドな能力を見せつけた。それは、レッズのホルガー・オジェック元監督が、闘莉王の優れた技術をドイツの名選手アンドレアス・ブレーメのそれと比較していたことを思い起こすものだった。

しかし、だ!
ロスタイムに入ってから2人にイエローカード? 一体何をやっているんだ。2-0でリードし、試合は終わったも同前。相馬がスローインの遅延行為でイエロー、そして都築が選手同士の諍いに巻き込まれてイエローカード。これで2人とも、準決勝の第2戦もしくは決勝戦のどちらかでの出場停止まで、あとイエローカード1枚となってしまった。
「まったくいらないものだった」エンゲルス監督はそう嘆いた。不必要というより、馬鹿げている。

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フラッグのゲート、アレックスと“サー・アレックス”

2008/09/25(木)

2008年9月24日:火曜夜のフクダ電子アリーナ、そして名古屋グランパスを相手に見事な勝利(2-1)を飾ったジェフユナイテッドにお礼を言いたい。最高の雰囲気のなか、ピッチの内外でフェアプレーが実践される好試合を、実のところ私は切望していたのだ。
土曜に柏でアントラーズ・ファンの関わる見苦しい出来事を見たあとだったが、この試合により私は日本サッカーへの信頼を取り戻した。試合後の蘇我駅周辺には、まさに活気が満ちていた。そう、フクアリでの試合は、それほど良かったのである。

前半のグランパスはチャンピオンを目指すチームに相応しいプレーをし、小川の見事なロングシュートで先制した。しかし、後半開始直後の2ゴールでジェフが試合をひっくり返し、それからドキドキするような展開を、最後まで持ちこたえた。
その夜のジェフのヒーローは深井。決勝ゴールを決めたほか、ジェフの攻撃陣にスピードと気迫をもたらしていた。ジェフは新たな羽生を発見したのか? 左利きのミニ羽生を?
かつてグランパスでプレーしていた深井は、はるばるやって来たアウェーチームのファンから野次を浴びていたが、それ自体は何も悪いことでも、特別なことでもない。特筆したいのは、テレビの「ヒーロー・インタビュー」を終えた深井が“アウェー”側のエンドに駆け寄って1人だけのウィニングランを行なったとき、グランパスのファンが彼に暖かい拍手を贈り、深井も礼を返したことである。これこそが、日本サッカーの真の姿。土曜日の嫌な記憶を洗い流す助けとなった。

私は普段、柏レイソルのホームである日立台(日立柏サッカー場の所在地)で観戦するのが好きだ。陸上のトラックがなく、ピッチのすぐそばに観客席があるため、いつも熱狂的で、時折陽気な面も見せるファンがあらゆる試合を面白く演出してくれる、素晴らしいスタジアムだからだ。
しかし、土曜日の雰囲気はよろしくなかった。アントラーズがビッグマッチに大勢のファンを引き連れてきているのだから、本来は良い雰囲気になるはずであったが、場内には不穏な空気が立ち込めていた。

アレックスへの「フラッグによる攻撃」は見苦しく、結果的に鹿島ファン1名にスタジアムへの無期限出入り禁止の処分が下されたわけだが、私には、2度目の出来事のほうがさらに悪質に思える。プレーが再開され、レイソルがすぐに逆サイドでのコーナーキックを得たときのことだ。
もっとも、栗澤はコーナーキックをすぐに蹴ることはできなかった。フラッグのポールが彼の顔を突っついていたからだ。
アレックスのときはポールが頭に触れてすぐに離れたため、ケガにならなかったが、栗澤の場合は、大ケガになっていたかもしれない。警備の人間がこのナンセンスをすぐに止めさせようとしなかったのには、がっかりした。迷惑行為に対する処置を命じた、岡田レフェリーには満点を与えたい。

今シーズンのアントラーズ・ファンは、国立でのスーパーカップの試合後のように、いつピッチに乱入するかわからない。また、一部の愚か者がフェンスを破壊したり、フェンスを乗り越えようとしたりするような、日本ではあまり見られないような振る舞いもあった。スーパーカップでのピッチ乱入……埼玉スタジアムでアントラーズ・ファンが出した下品な言葉の看板……レッズ・ガンバ戦での観客トラブル……フラッグのポールによる攻撃……今シーズンは一体どうなっているんだ?

だから、火曜日のジェフ対グランパス戦が、どれだけ私を元気にしてくれたことか。両チームの監督にも最大級の賛辞を贈りたい。
もしもジェフが降格を逃れられたら、伝説的存在となっているファーガソンに続き、スコットランド人の2人目の“サー・アレックス”がサッカー界に生まれるかもしれない。千葉にサー・アレックス・ミラーあり!

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ACL、日本3チームにチャンスあり

2008/09/22(月)

2008年9月20日:AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝・第1戦を終え、結果はそれぞれ。しかし、日本の全3チームが準決勝進出を果たすことも、まだ可能だ。
最も有利なのが、ガンバ大阪。シリアでアルカラマを2-1で下したガンバは、水曜日にホームゲームを戦う。鹿島はホームでアデレード・ユナイテッドに1-1のドロー。だが彼らには経験もあるし、立ち直りも早い。そして、アウェーでの第2選でアデレードを破るだけの力を持っている。一方、タイトルホルダーの浦和レッズはクウェートでのアルカディシアとの第1戦を2-3で落とした。しかしアウェー・ゴールのルールがあるから、浦和はホームで1-0で勝てば良いのである。

アルカディシアが、埼玉スタジアム2002でどんな試合運びをするのか楽しみだ。試合開始のホイッスルから、スコアレスドロー狙いで第1戦の1ゴールのリードを守りきろうとするのか、それとも早い時間帯でゴールを挙げ、レッズにさらにプレッシャーを与えようとするのだろうか。私はおそらく、前者だろうと思う。レッズの選手、そしてファンにとっては我慢の午後になることだろう。

ゲルト・エンゲルス監督はACLについて、前回大会の優勝者もグループステージから戦うべきだと語っている。グループステージをシードされナビスコカップに出場するよりずっと良い、と――。まったくその通り。マーケティングのみならず宣伝という点から見ても、アジアサッカー連盟はこのグループステージでアジア最高峰の大会を宣伝するチャンスを逃しているのだ。タイトルホルダーは常に注目を浴びるし、収益も上げてくれる。にもかかわらず、水曜日に行なわれるアルカディシアとの試合が、彼らの今季初のACLのホームゲーム。そして、これが今年最後になるかもしれない。これだけ大きなファンのサポートとパブリシティを持つ前回大会の覇者がわずか2試合しかプレーしないとなれば、AFCは悔やんでも悔やみきれない。

サポートという面では、先週水曜日に鹿島スタジアムで行なわれたアデレード戦は観客数わずか7004人。ピッチの悪状況とあわせ、カメラがパンする度にお寒い光景が映し出されていた。そんな状況下ではあったが、チームはいいプレーをしていた。そして、ハインドマーシュ・スタジアムでの第2選への期待を持たせてくれた。

余談になるが――8年前のシドニー五輪・準々決勝で、日本代表はハインドマーシュ・スタジアムでアメリカにPK戦で敗れている。青木の頭をかすめた左からのクロスに新井場より素早く反応したトラビス・ドッドがヘッドで先制ゴールを挙げた後、ロバート・コーンスウェイトの不細工なオウンゴールで同点に追いついた。まあ、アナウンサーもあれほど大げさに笑うことはあるまいと思うが…。
第1戦ではゴールこそ挙げられなかったが、マルキーニョスが非常に元気だった。第2戦ではきっと、ゴールを挙げ鹿島を準決勝へ導いてくれるだろう。

準々決勝を戦った日本の3チームのうち、J1でも8位まで順位を落とし、ここ6試合で勝点わずか2しか挙げていないガンバ大阪が最も弱いと見られていた。しかし、サッカーはわからないものだ。シリアでのアウェーゲーム、ガンバは一度はリードを許しながらも逆転勝ちを収めた。
この結果、ガンバは第2戦を落としても0-1ならアウェーゴール・ルールのおかげで準決勝へ進むことができる。だが、準決勝進出を確実にするため、西野監督はあくまでゴールを狙っていくだろう。

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またも浮上してきた、俊輔の移籍話

2008/09/18(木)

2008年9月17日:新たなシーズンがスタートし、動き始めた。つまり、俊輔の移籍話のシーズンである。彼はグラスゴーに残るのだろうか? それとも日本、とくに初恋の相手である横浜F・マリノスにできるだけ早い機会に戻つもりなのだろうか?
この話題は目新しいものではなく、定期的に浮上してきているようだが、今回に限っては、彼のスコットランドでの滞在が本当に終わりに近づいているように思える。

家族の問題と国際試合に出るための過酷な移動スケジュールを引き合いに出すことで、中村は移籍市場が開く1月にセルティックを去り、横浜に戻ることを、これまで以上に強く示唆しているのだ。
セルティックとの契約は2009年6月までとなっており、中村にはもう1シーズン、セルティックに残るオプションが与えられている。その場合にはセルティックで1シーズンを終えたあとに、南アフリカで開催される2010年ワールドカップに出場することになる。もちろん、日本が予選を通過すれば、ということだが。

しかし、彼の最近のコメントを読むと、充分にやりつくし、母国での安らぎを求める気持ちがどんどん強くなっているのがよくわかる。
個人的には、中村にはスコットランドに残って欲しい。少なくとも、今シーズンが終了するまでは。
2005年にスコットランドに移って以来、彼は緑と白の横縞のユニフォームで大成功を収めており、待望していたUEFAチャンピオンズリーグに今年も参戦し、グループリーグで再びマンチェスター・ユナイテッドと2試合を戦う。

スコットランド滞在中に彼のプレーが成熟してきたのは確かで、勝つためのメンタリティも身につけ、日本代表でプレーするときにはチームメートに刺激を与えている。日本代表の選手は、中村を尊敬しているのだ。中田英寿タイプのリーダーではないが、代表チームの創造性を掻き立てる存在となっているのである。
これから数ヶ月、日本代表がワールドカップの最終予選を勝ち抜くためには中村の存在感が必要となるだろうが、1月に日本に戻れば中村は競争をする必要がなくなり、存在感が薄れる恐れもある。

スコットランド・プレミアリーグでは、どんな相手であれ中村はタフでなければならないし、集中力を欠くことができない。また、ゴードン・ストラカン監督が選ぶ先発メンバーに入るための競争も激しい。
そして何より、欧州チャンピオンズリーグに出場すれば世界が注目する中で自らを輝かせることができるのだ。選手生活の現時点で、このチャンスをあきらめるのはあまりにももったいない。Jリーグに戻るのは、もう少しあとでもいいだろう。

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大分の光、“聖トリニータ”

2008/09/15(月)

2008年9月13日:“時のチーム”として、九州のチームが注目される機会はそう多くはない。しかしここ数日、J1首位とわずか1ポイント差、さらにナビスコカップで初めて決勝に駒を進めた大分トリニータが俄然注目を浴びている。

若いブラジル人監督、シャムスカの下で、大分トリニータは2008年の大躍進を楽しんでいる。土曜午後の埼玉スタジアム2002、浦和レッズとの対戦は非常に魅力的なものになるだろう。なかでも3人の若い選手が“九州のスター”として注目を浴びている。ゴールキーパー西川、センターバック森重、そしてフットサルで培った足技に長けた攻撃的ミッドフィルダーの金崎だ。九州の熱烈なサッカーファンに希望の光を点す、この西川、森重、そして金崎のトリオを私は“聖トリニータ”と呼びたい。

期待はずれに終わった北京オリンピックだったが、私は森重が日本のベストプレーヤーだったと思う。今年前半に彼はめきめきと頭角を現し、オリンピック予選では日本のベストディフェンダーだったエスパルスの青山直晃から代表の座を奪ったのだ。その2人が11月1日、国立競技場でナビスコカップの決勝戦で対決する――これには不思議な因縁を感じる。
常に注目を浴びているわけではないこの2チームが、オープンで面白い試合をしてくれるだろうと、私はとても楽しみにしている。Jリーグの強豪たちが全ての大会の常連として出場するより、日本のサッカー界にとっては良い。

エスパルスの長谷川健太監督はナイスガイだ。そしてシャムスカ監督同様、チームには若い良い選手が揃っている。さらに私がエスパルスを気に入っているのは、彼らは多少距離があってもシュートを狙うことだ。準決勝・第2戦の対ガンバ戦、エスパルスを勝利に導いた山本真希が良い例である。
その試合では、面白いことがあった。後半中盤、エスパルスが3-1でリードしているときだ。
エスパルスの原動力、マルコス・パウロがタックルの後ピッチに倒れていたが、大したことはなかった。事実、チームメートがプレーを止めるためにボールを蹴り出したとき、マルコス・パウロは立ち上がろうとしていた。
そしてスローイン。ガンバはエスパルスにボールを返さなかった。エスパルスファンのブーイングのなか、彼らはプレーを続けゴールを奪おうとした。

ガンバがボールをキープしたことは、間違っていないと思う。プレーを止めるか否かは主審が決めることであり、エスパルスの選手ではないからだ。“ケガ”をしたチームメートの治療のためにボールを蹴り出すシーンを、いったい何度見たことだろう……。あまりにも多い。このようなプレーに対して、主審はあまりにも寛容すぎる。リードしているチームがあからさまにプレーを遅らせようとする行為に対しては、主審は断固としてプレーを続行させるべきだ。
ナビスコカップでは、こんな馬鹿げたシーンを見ないで済むことを望む。両チームの選手、そして監督は決勝でプレーできることを尊び、テレビの前の多くのファンに良いゲームを見せてもらいたい。

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完璧なスタート。最後の混乱以外は……

2008/09/11(木)

2008年9月10日:バーレーンで3-2の勝利という結果であれば、日本の誰もがそれなりに満足するだろう。試合前にはそう思われていた。スコアはまさにその通り。私自身は、最後の数分間の混乱ぶりをあまり深刻に受け止めるつもりはない。
もちろん、日本は3点をリードしたあとの残りの5分に緩んだプレーをすべきではなかったが、リードは十分に奪っており、終盤に得点をとられても、結果的に勝点3を奪取することに成功した。
つまり、使命――最終予選、最初のアウェー戦での勝利――は果たされ、日本代表は、抜け番となる水曜日の第2節で他の4チームがしのぎを削るのをじっくり観察できるようになった。

10月15日、ウズベキスタンが埼玉に登場するまでにはグループ内の力関係が明らかになりつつあるだろう。日本は、2戦目でさらに勝点3を得れば、ワールドカップ本大会進出が自動的に決まる、上位2チームの枠の1つを占めるのに有利な立場を築くことができる。

マナマでの日本代表は、キックオフからプロらしい、積極的なアプローチが印象的であった。また、終始一貫して試合を支配しようとする、その野心的で、自信に満ちたプレーにより、どちらがボスかをバーレーンに示していた。
今年3月、0-1で敗れた日本代表にはこのような姿勢がなかったが、今回のプレーはバーレーンが弱々しく見えるほどだった。

私は、松井が左サイドでバーレーン選手を翻弄する姿を見るのが楽しみだった。フランスで松井のプレーぶりがどれだけ成熟し、進化したかということは以前にも書いたが、彼はこのレベルではやりたいことは何でもできるように見えた。ボールを保持するだけの自信とテクニックを持っており、相手DFが突っかかってくるよう誘い出し、それから爆発的な加速により自由に駆け抜けるのである。見る者に喜びを与えてくれる選手であり、一連のワールドカップ予選における日本の主力兵器となった。

ただし、中盤の中央についての評価はまだ保留としておきたい。遠藤と長谷部のコンビは、とくに右サイドに中村俊輔、左サイドに松井がいるとユニットとしては少し安定感に欠ける感じがする。大柄で体の強いウズベキスタンが中央を突破してきたときに、このエリアの真価が問われることになるのだろう。
ウズベキスタン戦では、岡田監督は完全復調した鈴木啓太を起用し4バックの盾の役をさせるかもしれないが、それは勝っているフォーメーションを変えることにもなってしまう。このエリアの日本代表は軽量級。遠藤や長谷部を上回るような体の強さと守備能力が必要であると私は今でも思っている。

阿部ならその仕事ができるし、今野も大丈夫だろう。だが、今野はマナマでの出来事にショックを受けたにちがいない。バーレーンが1点目を挙げたとき、数分前にピッチに入ったばかりの今野を中澤が叱責し、ペナルティエリアの端からのクロスをなぜ止めなかったのかと詰問していたのである。
今野は自信を喪失するのだろうか? 私はそうは思わない。今野は素晴らしい選手だ。それに相応しい態度と人間性を持っているし、その実力は万人が認めるところである。

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マスター・ウェズレイの“決定力”養成学校

2008/09/08(月)

2008年9月6日:彼が初めて日本にやってきたのは、2000年のことだった。その彼もいまは36歳になり、Jリーグ3チーム目のクラブでプレーしている。そして、ゴールを挙げ続けている。
誰のことかって? もちろんウェズレイだ。名ゴールゲッターの彼は、今季好調の大分トリニータの原動力でもある。

水曜に行なわれたナビスコカップ準決勝・第1戦の対名古屋戦。ウェズレイはグランパスが先制点を挙げたわずか5分後に同点弾を決め、トリニータを救った。そのゴールはとても美しく、シンプルかつ決定的なものだった。正直なところ、名古屋のディフェンスもマズかった。まず、バヤリッツァがヘッドで高松に競り負け、そして阿部がヘッドでキーパーに戻そうとしたが、ボールがあまりにも弱すぎた。

それにしても、相手のミスにつけこむウェズレイのプレー、阿部の周囲に張り付きクリアミスのボールを奪ったときの完璧なポジション。名古屋のGK西村にはもう、セーブできるチャンスが残されていなかった。
エサを求めてエリアをうろつく猛犬の如く、まさにウェズレイらしいプレーだった。10回中9回、いや100回中99回、阿部のヘッドでのバックパスは無事にキーパーの手に渡るであろうが、ウェズレイは残された1回のチャンスを逃さずゴールを奪ったのである。
グランパス・ファン、そしてグランパスのドラガン・ストイコビッチ監督も、元チームメートである彼のこうしたプレーはイヤというほど知っている。

今シーズン、ウェズレイがキックオフ前にグランパスのベンチへ行きストイコビッチ監督と抱き合っていることに、私は気づいていた。二人が互いに尊敬しあっているのがよくわかる。
ウェズレイへのこうした敬意を感じる度に、彼がユニフォームを脱ぐ決断をした時にはきっと日本でコーチとして請われるだろうと思わずにいられない。若いストライカーのコーチとして、ゴールを挙げるという1点に彼らを集中させるのに彼は最適だろう。
ボールを持った時のウェズレイの頭にあるのはただ1つ。ゴールを挙げること。それ故、キーパーがラインから外れていると見れば、時としてセンターラインからでもシュートを狙っていく。常に考え、常に狙っている。
これは持って生まれた才能であり、決して教えられるものではない。だが彼なら、日本のFW陣に心理的、そして技術的な面でゴールの挙げ方を教えられるのではないだろうか。
ウェズレイが日本サッカー界に貢献できることはまだまだ多い。

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マナマの悔しさを忘れるな

2008/09/04(木)

2008年9月3日:土曜日のアウェー戦で打倒バーレーンを目指すのに相応しい人材を、日本は揃えた。彼らが相応しい態度をとれるかどうかはまだわからない。積極的に出て、ホームチームに襲いかかるのか? あるいはゆっくりと構え、カウンターでの得点を狙うのか?ポジティブな心を持って試合に臨んで欲しい、と切実に思う。3月にバーレーンで0-1で敗れたときは、心の持ちようが最大の問題であったからだ。

あの試合では、日本代表は鋭さと貪欲さに欠けたために、川口のミスが出てバーレーンにリードを許し、そのまま抑え込まれるという代償を払わされた。ただし、今回の日本は、負けられないという思いとプロとしての気構えをもって試合に臨むだろうし、最初から必死に勝ちにいくと思う。もちろん、ゴール前で殺し屋のような嗅覚を発揮する選手が必要だし、チャンスがあれば積極的にシュートを打たなければならない。ただし、この問題は昔からずっと言われてきたことでもある。

日本が他に改善できる点があるとすれば、それは広くボールを展開させる方法だ。日本代表は、いい動きをいくつか連携させてボールを広いスペースに送ることはできるが、その後にクロスをゴール前に上げるチャンスを放棄し、むしろボールを後ろに戻してやり直しを図ろうとし、相手ディフェンスを苦しませるチャンスを活かせないままになっている。

土曜夜のマナマでは、日本代表がボールをゴール前に集め、相手のゴールキーパーとディフェンダーにプレッシャーを与え続ける姿を見たい。巧妙な攻めではないかもしれないし、地味なパスを忍耐強く続ける必要もあるかもしれないが、それがバーレーンのミスを呼び、日本のチャンスを招くことになるだろう。
そのためには、私なら巻を前線に置く。彼はターゲット役が得意だし、ボールを持った選手は巻を探してボールを供給すればいいのである。ゴール前にボールを上げると、巻がそこにいて、何かが起きる、というわけだ。

以前にも書いたが、彼の特徴的なプレーの1つは、ファーポストの空中戦で競り勝ち、危険なエリアにボールを落とすというものである。そこで玉田のような選手が待ち受けていて、ゴールを狙うのだ。
こういうプレーは高度な理論を必要とするわけではない。どちらかというと、シンプルにして、効果的なプレーである。また、ポジティブな戦略でもあるが、唯一無二の戦略というわけでもなく、選択肢の1つである。
前線にターゲット役がいなければ、ボールを持った選手はボールの送り先の選択肢が狭まり、結果的に失敗か、無意味なパス回しに陥ってしまう。

たとえアウェー戦でも、日本は、試合の立ち上がりから威厳と自信を持ってプレーしなければならない。そして自らペースとリズムを掴むようにしなければならない。
技術的には優れた選手が揃っている。しかし、予選もこの段階まで進むと、姿勢とスピリットも同じように重要になるだろう。日本代表はこの前のマナマで得た教訓を活かすだろうから、この試合は勝てる、と私は思う。予想は「1-0で日本」としたい。

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ポンテ復調について賭けにでたレッズ

2008/09/01(月)

2008年8月30日:レッズにとって、2007年度のJリーグMVPロブソン・ポンテをプレーさせることには危険を孕んでいる。ドイツ人のゲルト・エンゲルス監督はどうやらポンテをトップリーグの試合で使いながら復調させることにしたようだが、先日の東京ヴェルディの試合を見る限り、彼の調子はベストから限りなく遠い。復調もかなり遅れているようだ。

試合後、エンゲルス監督はポンテを90分フルでプレーさせるのは非常にリスクが高いことを認めた。しかし同時に、ポンテは常に才能の片鱗を見せてくれるとも語った。
「彼には90分間プレーしてもらわなくてはならない」。
「我々には次の試合まで2週間半の時間がある」。

水曜日は、5分のロスタイムが残り2分となったところで阿部の素晴らしいヘッドでなんとか追いついたとはいえ、ゴールラインを割ることこそできなかったものの、ヴェルディのディエゴと大黒にいいようにやられて負けるところだった。
ヴェルディの最後のチャンスは、ポンテが与えたFKによるものだった。ポンテはボールをコントロールできず、ファウルを犯すしかテがなかった。彼は、明らかに疲れていた。

試合をもう少しさかのぼってみると、ハーフタイムに高原と田中達也をエジミウソンと永井に代えたのも、エンゲルス監督にとってギャンブルだったと私は思う。前半彼らにはほとんどチャンスボールが、特にサイドから回ってこなかった。それはまるで、レッズが後半の猛攻に備えてエネルギーを貯めているかのように見えた。だが後半4分、ディエゴの目の覚めるようなゴールでヴェルディが先制点。レッズにようやくエンジンがかかった。
しかしエンゲルス監督にはもう、1つしか交代枠が残されていなかった。平川にしびれを切らしたエンゲルス監督は、平川に代えて山田を投入。この交代は、ベテランの冷静さに期待したという。

交代させるべき選手は他にもいた。ポンテもその一人だ。個人的には、梅崎かエスクデロが攻撃にフレッシュな力を入れるのを見たかったが、両選手とも出場機会はなかった。
エジミウソンにとっては、またしても不満が残る結果となった。来シーズン、彼がアルビレックス新潟に戻ったとしても私はまったく驚かない。アルビレックスではいつも素晴らしいプレーを見せてくれた彼の加入は、レッズにとって非常に良いと思っていた。サイドをしなやかに走り、前線を引っ張ってチームにゴールをもたらすだろうと。
しかし、レッズではまだ機能していない。ひじょうにナーバスに見えるし、ポンテ同様、体調も万全ではない。
後半、彼には右サイドを突破するチャンスがあった。新潟にいた頃ならためらうことなく突破しただろうが、今の彼にはまったくその気がなく、あっさりとインサイドへパスを出してしまった。

ポンテ、エジミウソン、そして田中の攻撃陣への不安はあるが、レッズはわずか1ポイント差で首位を追っている。11試合を残し、ライバル達にとっては頭痛のタネだろう。レッズFW陣が、シーズン終了までにゴールを量産するのは間違いないだろうから。

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