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ジェフのGK岡本が見せた、職責以上のもの

2008/08/21(木)

2008年8月19日:何年も前、ホワイト・ハート・レーン(トットナム・ホットスパーの本拠地)でトットナムとニューカッスル・ユナイテッドの試合を取材したときのこと――。
クリス・ワドルのハットトリックがあり、試合はスパーズが3-1で勝利したが、ニューカッスルのGKガリー・ケリーのプレーぶりも際立っていた。
試合後、自らもニューカッスルと北アイルランド代表でGKとしてプレーしたニューカッスルのマネージャー、ビリー・マクフォールにインタビューをした。

「ケリーは何度も素晴らしいセーブをしていましたね」私はそうたずねた。敗戦を何とか前向きに捉えようとして。
だがマクフォールは興味なさげな様子。「それが彼の仕事なのだよ」とマネージャーは答えた。
それは少々辛辣すぎやしないか……。私はずっと思っていた。GKはゴールを守るのが仕事だというのが真実だとしても、そのセーブが予想をはるかに超え、キーパーに求められる職責以上のものになっている場合もあるのだ。

この出来事を思い出したのは、土曜日、日立柏サッカー場でのレイソル対ジェフユナイテッド戦の終了間際だった。
千葉ダービーによくありがちな、タイトな試合展開で残り5分でスコアは1-1。勝敗がどちらに転がるかわからない状態のときに、決定的な瞬間が訪れた。
レイソルのマジシャン、フランサが左からクロスを供給。ジェフのディフェンスはボールをカットすることができず、鈴木達也がいい位置でボールを受け、ダービーのヒーローの座を奪取したように見えた。
しかし、ここでGK岡本昌弘(千葉)が登場。彼は俊敏に前に詰め寄り、鈴木の左足からの強烈なシュートを見事にブロックした。

ゴール裏のイエローモンキーズは、すでにゴールを祝っていたと思う。また、もう一方のゴール裏にいたジェフ・ファンは最悪の結果を覚悟していたことだろう。そのとき、岡本が自らの職責を超えるようなセーブをみせたのである。彼は1-0で勝利した神戸戦でも同じようなことをやってのけており、その勇敢さが信じられないようなプレーを生み出している。

前半は、レイソルのキャプテン大谷秀和が中盤の奥深くからジェフの危険なゾーンに侵入する動きと、主にミシュウの動きを封じるタックルで注目を集めていた――ところで、ジェフが「Michael」という名の選手を獲得するという噂は本当だった。ジェフはついに「Michael」を獲得したのだ。「Michael」はマイケル・オーウェンではなく、ミシェウ・ジェファーソン・ナシメントだったけれど!――。

タックルといえば、戸田和幸も中盤のエンジンルームでキャプテンの下村東美と組み、ジェフの中盤に厳しさを加味していた。
土曜日の戸田については、最初にもらったイエローカードは文句を言えないもので、新居(辰基)が不用意にボールを取られたあとに大谷に侵したファウルが原因となっていのだが、ロスタイムの彼に対する2枚目のイエロー、つまり退場処分とする措置は厳しすぎる。
イエローモンキーズの目の前で李忠成ともつれ合ったとき、戸田が李の足を掴んだために李が芝居がかった転び方をした。このレイソルのFWの転び方は、サッカーよりも体操競技でオリンピックに出た方がメダル獲得の可能性が高かったのではないかと思わせるものだった。

吉田寿光審判のレフェリングはこの時点までは素晴らしく、ピッチに倒れた選手がフリーキックを求めても手を振って拒否、プレー続行を要求していた。李と戸田の2人に対しても「立ち上がって、プレーを続けろ」という注意を与えるのが、あの状況下では適切だっただろう。あれは暴力的なものではなく、単なるお笑いだ。

この試合は、今シーズン5試合が予定されていた、一連の「イエローシリーズ」の最終戦。レイソルがジェフの本拠で行なわれた最初のリーグ戦を1-0で勝ち、ナビスコカップのグループリーグの2試合と、今回の試合はいずれも1-1。プレシーズンにフクアリで行なわれた「ちばぎんカップ」もドローとなり、最後はジェフがPK戦を制した。
両チームにはそれほど大きな差はないはずなのだが、リーグ戦の順位はそうなってはいないのである。

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