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基本を欠いた日本代表 ~ウルグアイ戦から~

2008/08/25(月)

2008年8月23日:キリンチャレンジカップ2008で、日本代表はウルグアイに1-3で敗れた。しかし、北京オリンピック開催中ということもありメディアの注目や分析も少なく、試合はひっそり終わった観がある。選手、チーム共に単調なプレーが目立ち、その試合内容には、9月6日にワールドカップ最終予選のバーレーン戦を控えた岡田武史監督も不安を覚えたに違いない。

ウルグアイのフィジカルなプレーは予想通り。ゴールはこうして挙げるものだとホームチームに見せつけるかのように、日本はただただ圧倒されっ放しだった。日本がギクシャクとしたプレーをするなか、同じような状況でウルグアイはいともたやすくゴールを奪った。

この試合の感想をいくつか挙げてみよう。
(1)まず、日本は中盤でのボールの奪い合い、ポゼッション争いにあまりにも勝てなかった。特に前半は気のないタックルを繰り返し、ウルグアイのボールキープをあまりにも容易にしていた。
(2)次に、パスをもらうときに、ボールに向かって行くのではなくボールが来るのを待っている選手が多い。これも基本だ。したがって、ウルグアイ選手が簡単にカットしボールを奪うシーンが多かった。
(3)そしてこれまで散々言われていることだが、得点ができない(オウンゴールは別として)。何にイライラさせられるかって、とにかくシュートを打とうとしないことである。

今回の主犯は玉田だ。後半、左サイドから中へ切り込み、左足でシュートを放つ完璧なポジションにいた。にもかかわらず、玉田は何をしたか? トップスピードでヒールパス、そしてチャンスはあえなく潰えた。その直後に岡田監督は玉田を交代させたが、当然だろう。

数週間前、私は等々力で行なわれたグランパス対フロンターレ戦を観た。その試合でもグランパスの玉田と小川が絶好の機会にシュートを撃たなかった。玉田はとにかく球離れが悪く、フロンターレのDFが対応する余裕を与えてしまう。シュートコースを閉ざされてしまうのだ。そして小川は後半、右でシュートを打つチャンスに恵まれたにもかかわらずクロスを入れた。
等々力でのゲームの序盤、玉田がチャンスを逃した直後、マギヌンにまったく同じ状況でチャンスがめぐってきた。彼もシュートの前に体制を整えるためにもうワンタッチ必要だったかって? もちろんそんなことはなく、左足で放った強烈なシュートはネットに吸い込まれた。

試合後、私はグランパスのドラガン・ストイコビッチ監督に、玉田とマギヌンに表されるゴール前での日本人とブラジル人の違いについて聞いてみた。ストイコビッチ監督は、決定的瞬間に重要なことはあくまで選手個人の感覚の問題であり、監督には何もできないと言った。
とはいえ、玉田には2006年ワールドカップ、日本対ブラジル戦のDVDを引っ張り出してみることを薦める。あの試合での素晴らしいゴールをどのように挙げたのか、思い出してもらいたいものだ。

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コメント

ボクは玉田の独特の「間」がすきですね。
ドイツ大会ブラジル戦でのゴールは
いかにも玉田らしい変なタイミングでしたよ。
世界でもド田舎でも、自分の感性こそが最大の武器です。

投稿: ケン | 2008年8月25日 (月) 20時16分

概ね同感です!
日本人には「自分の間合い」じゃないと何もできないようです。
だから、走らない選手が多いし、敵もいないのに無駄なパスが多い・・

基本的にゴール前で「自分の間合い」はありえない。
なのにどこかで「点を取れる」と妄想している。
彼らは外国に行って勝てなくても、Jリーグでレギュラー。
よっぽどJリーグ自体を見直さなくては今後も変わらないでしょう。
若いオリンピック世代が結果を出せなかったことは、実は大変な事なんだと
認識している人が何人いたでしょうか?
まだ、「世界と戦える」と勘違いしている人がいるんじゃないでしょうか?

メディアはなぜ批判しないのでしょうか?
今回の反省する機会はあるのでしょうか?

五輪の女子ソフトボールの上野だって金メダル取れたからこそ美談であって、
本来は監督の無茶苦茶な起用であったことは間違いない。
他の投手を信用できなかったわけだから・・・・

話が逸れましたが、
協会に「おんぶにだっこ」の取材体制では、まさに心中ですね。
そういうことを考えると、まずはメディアを見直すことから考えなくては
なりませんね。今さら遅いかもしれませんが・・・・

投稿: max | 2008年8月25日 (月) 19時14分

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