価値があったレッズ対バイエルン戦
2008年8月2日:果たして時間とお金の無駄なのか、それとも貴重なトレーニングなのか――。先日行なわれた浦和レッズ対バイエルン・ミュンヘンについては二通りの見方がある。私としてはなるべくポジティブに考えたいし、実際、費やした費用や準備に十分見合うゲームだったと思う。
観客数2万7292人というのは、浦和レッズにしては少ない。ただ、木曜夜の埼玉スタジアムでの親善試合ということを考えると決して悪くない。バイエルンも良い試合をし、4-2で勝利を収めた。前半20分までに2ゴールを挙げ、彼らは早々に試合を決めていた。
レッズはボロボロでまったくプレーできておらず、バイエルンは更にハーフタイム前に1ゴールを挙げ3点差とした。
後半に入るとレッズもやや活気づく。残り10分となったところで阿部勇樹が鮮烈なオーバーヘッドキックでゴールを決め、観客も満足して帰途についた。まあ、平日夜のお楽しみとして、強豪バイエルンのパワーと緻密さを垣間見ることができて満足というところだ。
試合前の話題といえば、誰が来日しないのかということ。リベリー、トーニ、ボロフスキー……それでもすべてのポジションにスターが揃っている。バイエルンはそれで十分だった。ただ、レッズがまずい守備と不用意なクロスでずいぶん彼らを助けていた。Jリーグの選手が自陣深くで、相手チームにカットされ反撃を食らうような不用意でリスキーなクロスパスを出すのは珍しくない。先日のバイエルンのように、容赦なくやられたことがなかっただけだ。
そうは言っても、浦和レッズにとっては悪いことばかりではなかった。鈴木啓太は以前のコンディションに戻りつつあるように見えた。梅崎のゴールを生んだ、彼の相馬へのパスは絶妙だった。セルヒオ・エスクデロもエネルギー溢れる積極的なプレーでトップチーム入りも間近だ。
ゲルト・エンゲルス監督は高橋峻希、そして5月9日に17歳になったばかりの原口元気の二人のティーンエージャーのプレーを褒めていた。右にスペースを見つけるや、走りこんでダイレクトにシュートを放つ高橋のプレーは清々しいものだった。願わくば、彼にはシュートを打つ前に不要なボールタッチをする悪癖をもたないようにしてもらいたいものだ。
ひとつ苦情を言わせてもらうなら、試合後の手順の悪さだろう。試合終了のホイッスルから表彰式までの時間が無駄に長すぎた。この間にもし、バイエルンの選手たちがピッチを歩きファンに感謝を込めて手でも振ってくれれば、観客も最後までスタジアムに残ってくれただろう。
バイエルンがトロフィーを、ポドルスキーがMVPと賞金3000ユーロを授与された時には多くのファンも帰途についていたとはいえ、それでもかなりのファンがスタジアムに残り彼らに声援を送っていた。両チームがピッチを回って声援に応えるのが、こういう試合の理想的な終わり方だったと思うが、ピッチ上で整理運動をしている5名を除いて、バイエルンの選手たちはさっさと退場してしまった。残念だ。ファンはもっと大切にされるべきだ。
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