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谷口の姿に見た、チーム全体の失意

2008/08/14(木)

2008年8月12日:2008年オリンピックの忘れられない思い出は、私の場合、北島康介ではなく谷口博之になるだろう。ひざを折って崩れ落ち、両手で頭を抱え、悔しさにまかせて頭をグラウンドに打ちつけたりする姿は、日本のこれまでの成績を物語っていた――ゴールにはもう少しのところまで迫ったが、1次リーグ突破にはどうしても届かなかった。

0-1で破れた米国戦がそうだったし、ナイジェリアに1-2で敗れた試合でも同じことが繰り返された。ナイジェリア戦の谷口には、安田の左からの低いクロスを本当に決めて欲しかった。日本の敗退を谷口のせいにしているのではない。それらのイメージがいつまでも脳裏に残り、日本代表の(あるいは反町監督の)とても悲惨な(マッチソーリーな)物語の象徴となっているのだ。

おもしろいことに、日本対ナイジェリアの翌朝、天津空港の搭乗ホールで瀋陽行きの便を待っていると、反町監督に出くわした。日本チームとオランダチームが同じ便に乗ることになっていたのだ。
私は、反町監督と谷口について議論した。谷口のポジションは間違っていると思うと私が言うと、反町監督が笑った。私から見れば、谷口は中央のディフェンダーだ。頑健な肉体を持ち、空中戦に長けた彼は、直近のアルゼンチンとの親善試合でもヘディングでの見事なクリアを何回か披露していた。
すると反町監督は次のように話した。
「実際、谷口がフロンターレでプロとしてのキャリアをスタートしたのはそのポジションですし、その後に守備的なミッドフィルダーになり、現在のオリンピックチームではさらに前に移動して、ワントップの直後に位置するようになったのです」。
苦難続きのなかで、反町監督もふっきれたはずである。チームの早期敗退の責任を、彼ははっきりと感じているからだ。

とはいえ、いくらかのプライドを取り戻すチャンスはまだある。水曜日の夜には、瀋陽でのオランダ戦が控えているのだ。
もっとも、オランダのメディアは自国の代表に満足してはおらず、日本には勝って当然、という感覚は持っていない。そうであれば、日本にも希望はあるに違いない。たとえ、火曜日の練習に参加したフィールドプレーヤーは14人だけで、そのうちの1人の本田拓也が次戦出場停止となっていても。

内田と安田がケガに苦しんでおり、両者が出られないとなれば、反町監督に起用して欲しいと私が望むメンバーは次の通りだ
山本:森重、水本、吉田、長友:谷口、細貝:岡崎、李、本田圭佑:森本

第2GKの山本には、チャンスを与えるべきである。それは吉田も同じで、そうでなければ彼を連れて来たのは単なる時間の無駄になってしまう。岡崎が右サイドで先発すれば、本田圭佑が左側に移れるようになり、そうなれば右サイドのときよりもはるかにプレーしやすくなるだろう。
森重はディフェンスの中央から動かしたくない。過去2試合の日本のベストプレーヤーだと思っているし、反町監督が3バックに戻さないかぎり、吉田とコンビを組むのは彼しかいない。青山直晃、伊野波、水本が組んだ3バックは予選ではうまく機能していたが、反町監督はこのシステだけでなく、トリオのうちの2人(青山、伊野波)に見切りをつけ、その代償が今回響いてきたのである。

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コメント

反町だけじゃなくて、川渕までもが「このチームにOAは入れづらいな」と発言していたが、要するに協会初め日本の関係者には、ハナから全力で戦う気がなかっただけ。

投稿: パヴァーヌ | 2008年8月18日 (月) 09時09分

確かに谷口はボランチでこそ活きる選手で、前で使うのは明らかに間違った起用法。谷口がかわいそうでした。

オランダ戦、少し戦う姿勢が見れたのは良かった…PK献上までは良かった。
今回のメンバーは決して悪い選手ではないと思う、反町監督のジョークを借りるなら、素材はあるのにシェフが調理法を間違えて調理してしまった感じ。

唯一、長友に将来性を感じました!内田にも。日本の明るい希望、ただポジションがかぶっているのが皮肉(長友は左できますが

投稿: Liji | 2008年8月14日 (木) 21時36分

誰かのせいと言うより、最も低い次元でまとめた結果が
こういう妥当な結果、盛り上がることなく消えた北京世代だったと思う。
もし3戦全敗でも、A代表の主力の闘莉王、中村(どちらか)松井
などを連れて行けば、今後のA代表での融合に苦労しなかったはず。

トルシエがそうでしたね。常にA代表に近い形にする。
若手だけで行って3試合を全敗してもフィジカルや技術が大きく伸びる
事も無いだろうし、だったら最も良い経験は日本のトップと
サッカーも含めてより長く過ごす事の方が、現実的な経験だったと思う。

強豪国がそうやってクラブと揉めてでも欧州クラブから
スターを連れて行ってるのに、日本は妥協に妥協を重ねて
妥当な結果が出ました。

今後この世代が、最弱というレッテルを貼られると思いますが
そうじゃないと思いますね。出来る限りのベストメンバー
A代表に近い形で真価を問わせてあげたかったです。

結局、なんのリスクも負わずに選んだ人選、失点してからやっと切る
カードがFWの乱れ打ちという反町監督は失敗だったと思いました。

投稿: さよなら | 2008年8月14日 (木) 18時04分

谷口はかわいそうでしたね。
三人分くらいの重荷を背負わされてましたからね。
がんばっていたのは事実なんですけど。

反町氏はオランダ戦もほとんど戦術をかえませんでした。
残念ながらジェレミーさんの忠告はムダだったようです。

投稿: ケン | 2008年8月14日 (木) 14時04分

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