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2008年8月

緑に塗られた東京ダービー

2008/08/28(木)

2008年8月27日:最近、Jリーグが積極的に取り組んでいる施策の1つに、ローカル・ダービーのプロモーション強化がある。ただし、東京ダービーの場合はJリーグもそれほど必死になる必要はない。両チームが、自らの手でやるべきことをやってくれているからである。

今シーズン、私はFC東京と東京ヴェルディのJ1での2試合をどちらも現地で観戦したのだが、いずれも信じられないような結末となり、それぞれのゴール裏に陣取っていた多数のファンは感動を得て帰路についた。
4月に行なわれた味の素スタジアムでのヴェルディのホームゲームは、不運な柴崎の終了間際のオウンゴールがあり、FC東京が2-1で勝利を収めたが、土曜日に行なわれた国立競技場でのFC東京のホームゲームでは、ヴェルディが復讐を果たした。

なんという幕切れだったことか!
後半の45分が過ぎロスタイムの3分に入ったとき、すべてが一変した。ディエゴがまたも前線に現れ、左足でFC東京のゴールにすさまじいシュートをお見舞いしたのだ。それは超人ハルク級の鋭さと凶暴さを持ったシュートだったが、GK塩田がなんとか外に弾いてコーナーキックに逃れた。

ヴェルディ・ファンの集まっていたコーナー付近の緑の密集の前から、ディエゴが東京のゴール前にボールを上げると、那須大亮が高いジャンプからヘッドで合わせ、スコアは2-1に。どうやら、那須はこのグラウンドのあの側のゴールが好きなようだ。5年ほど前のアテネオリンピックの予選でも、那須はこの国立競技場の同じ側のゴールに今回と同じような素晴らしいヘディングシュートを決めたのを、覚えている。

レフェリーが試合終了のホイッスルを吹くまでに、FC東京にはリスタートするだけの時間がまだ残されていた。だが、ヴェルディのボスである柱谷哲二が土砂降りの雨のした駆け寄って来た歓喜の選手たちと抱き合うなか、FC東京の選手たちはスタジアムを取り囲むファンの怒りにさらされ立ち尽くすしかなかった。
『復讐とは冷やすほどおいしくなる料理である』という諺があるが、今季初めに味スタで苦杯を喫する側に回ったヴェルディ・ファンは、まさにこの復讐の味を堪能したに違いない。ヴェルディがリーグ戦そしてカップ戦でダービーデイに勝ったのは、実に5年ぶりである。

那須の終盤の決勝ゴールの伏線となっていたのは、2つの素晴らしいゴールだった。
1つはカボレが決めたFC東京の先制点。ゴール前約25メートルから放たれた右足の驚異的なシュートが、あっという間に土肥の守るゴールに突き刺さっていた。
もう1つは、大黒将志が決めたヴェルディの同点弾。レアンドロから絶妙のショートパスを受けたあと、前進してきた塩田(仁史)の頭を越した、デリケートなチップシュートであった。

かつてFC東京に在籍し、現在はヴェルディのゴールを守っている土肥についていえば、後半の羽生のミドルシュートを見事にセーブしたのが印象に残った。羽生がジャストミートして放ったシュートはカーブを描きながらゴール上隅に向かっていたが、土肥は体をめいっぱい伸ばし、ボールを弾いてコーナーに逃げた。この試合の勝敗を左右した、決定的なプレーだった。

これらすべてのドラマに、さらに、長友の幻のゴールを巡る議論もある。それは今野のオフサイドが原因だった。ペナルティエリア付近から、この右サイドバックが強烈なシュートを放ったとき、今野が土肥の少し後ろにいたのだ。こうした経過を見れば、今シーズンの東京ダービーが自然発生的な人気を呼んだのがよくわかる。
これが2009年にも再現されますように――つまり、両チームが来年もJ1でプレーしていますように。

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基本を欠いた日本代表 ~ウルグアイ戦から~

2008/08/25(月)

2008年8月23日:キリンチャレンジカップ2008で、日本代表はウルグアイに1-3で敗れた。しかし、北京オリンピック開催中ということもありメディアの注目や分析も少なく、試合はひっそり終わった観がある。選手、チーム共に単調なプレーが目立ち、その試合内容には、9月6日にワールドカップ最終予選のバーレーン戦を控えた岡田武史監督も不安を覚えたに違いない。

ウルグアイのフィジカルなプレーは予想通り。ゴールはこうして挙げるものだとホームチームに見せつけるかのように、日本はただただ圧倒されっ放しだった。日本がギクシャクとしたプレーをするなか、同じような状況でウルグアイはいともたやすくゴールを奪った。

この試合の感想をいくつか挙げてみよう。
(1)まず、日本は中盤でのボールの奪い合い、ポゼッション争いにあまりにも勝てなかった。特に前半は気のないタックルを繰り返し、ウルグアイのボールキープをあまりにも容易にしていた。
(2)次に、パスをもらうときに、ボールに向かって行くのではなくボールが来るのを待っている選手が多い。これも基本だ。したがって、ウルグアイ選手が簡単にカットしボールを奪うシーンが多かった。
(3)そしてこれまで散々言われていることだが、得点ができない(オウンゴールは別として)。何にイライラさせられるかって、とにかくシュートを打とうとしないことである。

今回の主犯は玉田だ。後半、左サイドから中へ切り込み、左足でシュートを放つ完璧なポジションにいた。にもかかわらず、玉田は何をしたか? トップスピードでヒールパス、そしてチャンスはあえなく潰えた。その直後に岡田監督は玉田を交代させたが、当然だろう。

数週間前、私は等々力で行なわれたグランパス対フロンターレ戦を観た。その試合でもグランパスの玉田と小川が絶好の機会にシュートを撃たなかった。玉田はとにかく球離れが悪く、フロンターレのDFが対応する余裕を与えてしまう。シュートコースを閉ざされてしまうのだ。そして小川は後半、右でシュートを打つチャンスに恵まれたにもかかわらずクロスを入れた。
等々力でのゲームの序盤、玉田がチャンスを逃した直後、マギヌンにまったく同じ状況でチャンスがめぐってきた。彼もシュートの前に体制を整えるためにもうワンタッチ必要だったかって? もちろんそんなことはなく、左足で放った強烈なシュートはネットに吸い込まれた。

試合後、私はグランパスのドラガン・ストイコビッチ監督に、玉田とマギヌンに表されるゴール前での日本人とブラジル人の違いについて聞いてみた。ストイコビッチ監督は、決定的瞬間に重要なことはあくまで選手個人の感覚の問題であり、監督には何もできないと言った。
とはいえ、玉田には2006年ワールドカップ、日本対ブラジル戦のDVDを引っ張り出してみることを薦める。あの試合での素晴らしいゴールをどのように挙げたのか、思い出してもらいたいものだ。

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ジェフのGK岡本が見せた、職責以上のもの

2008/08/21(木)

2008年8月19日:何年も前、ホワイト・ハート・レーン(トットナム・ホットスパーの本拠地)でトットナムとニューカッスル・ユナイテッドの試合を取材したときのこと――。
クリス・ワドルのハットトリックがあり、試合はスパーズが3-1で勝利したが、ニューカッスルのGKガリー・ケリーのプレーぶりも際立っていた。
試合後、自らもニューカッスルと北アイルランド代表でGKとしてプレーしたニューカッスルのマネージャー、ビリー・マクフォールにインタビューをした。

「ケリーは何度も素晴らしいセーブをしていましたね」私はそうたずねた。敗戦を何とか前向きに捉えようとして。
だがマクフォールは興味なさげな様子。「それが彼の仕事なのだよ」とマネージャーは答えた。
それは少々辛辣すぎやしないか……。私はずっと思っていた。GKはゴールを守るのが仕事だというのが真実だとしても、そのセーブが予想をはるかに超え、キーパーに求められる職責以上のものになっている場合もあるのだ。

この出来事を思い出したのは、土曜日、日立柏サッカー場でのレイソル対ジェフユナイテッド戦の終了間際だった。
千葉ダービーによくありがちな、タイトな試合展開で残り5分でスコアは1-1。勝敗がどちらに転がるかわからない状態のときに、決定的な瞬間が訪れた。
レイソルのマジシャン、フランサが左からクロスを供給。ジェフのディフェンスはボールをカットすることができず、鈴木達也がいい位置でボールを受け、ダービーのヒーローの座を奪取したように見えた。
しかし、ここでGK岡本昌弘(千葉)が登場。彼は俊敏に前に詰め寄り、鈴木の左足からの強烈なシュートを見事にブロックした。

ゴール裏のイエローモンキーズは、すでにゴールを祝っていたと思う。また、もう一方のゴール裏にいたジェフ・ファンは最悪の結果を覚悟していたことだろう。そのとき、岡本が自らの職責を超えるようなセーブをみせたのである。彼は1-0で勝利した神戸戦でも同じようなことをやってのけており、その勇敢さが信じられないようなプレーを生み出している。

前半は、レイソルのキャプテン大谷秀和が中盤の奥深くからジェフの危険なゾーンに侵入する動きと、主にミシュウの動きを封じるタックルで注目を集めていた――ところで、ジェフが「Michael」という名の選手を獲得するという噂は本当だった。ジェフはついに「Michael」を獲得したのだ。「Michael」はマイケル・オーウェンではなく、ミシェウ・ジェファーソン・ナシメントだったけれど!――。

タックルといえば、戸田和幸も中盤のエンジンルームでキャプテンの下村東美と組み、ジェフの中盤に厳しさを加味していた。
土曜日の戸田については、最初にもらったイエローカードは文句を言えないもので、新居(辰基)が不用意にボールを取られたあとに大谷に侵したファウルが原因となっていのだが、ロスタイムの彼に対する2枚目のイエロー、つまり退場処分とする措置は厳しすぎる。
イエローモンキーズの目の前で李忠成ともつれ合ったとき、戸田が李の足を掴んだために李が芝居がかった転び方をした。このレイソルのFWの転び方は、サッカーよりも体操競技でオリンピックに出た方がメダル獲得の可能性が高かったのではないかと思わせるものだった。

吉田寿光審判のレフェリングはこの時点までは素晴らしく、ピッチに倒れた選手がフリーキックを求めても手を振って拒否、プレー続行を要求していた。李と戸田の2人に対しても「立ち上がって、プレーを続けろ」という注意を与えるのが、あの状況下では適切だっただろう。あれは暴力的なものではなく、単なるお笑いだ。

この試合は、今シーズン5試合が予定されていた、一連の「イエローシリーズ」の最終戦。レイソルがジェフの本拠で行なわれた最初のリーグ戦を1-0で勝ち、ナビスコカップのグループリーグの2試合と、今回の試合はいずれも1-1。プレシーズンにフクアリで行なわれた「ちばぎんカップ」もドローとなり、最後はジェフがPK戦を制した。
両チームにはそれほど大きな差はないはずなのだが、リーグ戦の順位はそうなってはいないのである。

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日本代表、“鋼鉄のバラ”を粉砕!

2008/08/18(月)

2008年8月16日:日本サッカー界が明るいニュースを渇望していた、そんな金曜の夜。なでしこジャパンがオリンピックでやってくれた。“鋼鉄のバラ”中国代表を相手に2-0の勝利を収めて準決勝に進んだだけでなく、NHKをして“なでしこフィーバー”とぶち上げさせた。彼女たちのプレーは、その賞賛にふさわしい。素晴らしいチームワークと士気で試合を終始支配し、中国を寄せ付けなかった。女子サッカーチームの歴史に残る一戦だった。

女子サッカーを批判するのは、容易なことだ。だが彼女たちはサッカーを、そしてどのようにプレーすれば良いのか熟知している。ボールを持ったときの冷静さ、正しい判断、そしてリスクを確実に回避する試合運び。彼女たちが示した熟練とプロ意識は、このまま勝ち進んでメダルを獲得してもおかしくない。

月曜日、北京でアメリカとの準決勝が行なわれる。メダルへの最初のチャンスだ。
しかし、勝利を得るには彼女たちのベストパーフォーマンスが必要になる。アメリカはすでにグループリーグで日本を1-0で下している。さらに言えば、過去21回の対戦でまだ一度も日本に負けていないのだ。しかしながら日本も、大会が進むにつれ調子を上げてきている。自信に満ち溢れて準決勝に臨むことだろう。

秦皇島での初戦、ニュージーランド戦は彼女たちらしからぬ落ち着かないプレーで2-2のドロー。続いてアメリカ戦は0-1の敗戦、そして準々決勝への扉を開いたノルウェー戦、驚異の5-1の勝利を私は見てきた。今や、女子サッカーチームの将来には大きな空が広がっている。彼女たちのパフォーマンスは、帰国後の女子サッカー盛り上がりの原動力となることだろう。

彼女たちには中田英寿の引退以来男子チームに欠けていた、チームの顔、そして抜群のリーダーシップを持つ澤穂希がいる。そして、トルシエスタイルの自発性、そして効率的サッカーというチームプレーがある。一人の選手がピッチを出ても、自分の役割を完全に理解した新たなプレーヤーがピッチに入る。チームは体制を崩すことなく試合を戦える。

澤のずば抜けたヘディング能力、そして永里の中国にトドメをさす1発。そうだ、あの手ごわい“鋼鉄のバラ”を相手に素晴らしい試合だった。日本は、2008年北京オリンピックを誇りを持って振り返ることができる。今後の結果がどうあろうとも。

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谷口の姿に見た、チーム全体の失意

2008/08/14(木)

2008年8月12日:2008年オリンピックの忘れられない思い出は、私の場合、北島康介ではなく谷口博之になるだろう。ひざを折って崩れ落ち、両手で頭を抱え、悔しさにまかせて頭をグラウンドに打ちつけたりする姿は、日本のこれまでの成績を物語っていた――ゴールにはもう少しのところまで迫ったが、1次リーグ突破にはどうしても届かなかった。

0-1で破れた米国戦がそうだったし、ナイジェリアに1-2で敗れた試合でも同じことが繰り返された。ナイジェリア戦の谷口には、安田の左からの低いクロスを本当に決めて欲しかった。日本の敗退を谷口のせいにしているのではない。それらのイメージがいつまでも脳裏に残り、日本代表の(あるいは反町監督の)とても悲惨な(マッチソーリーな)物語の象徴となっているのだ。

おもしろいことに、日本対ナイジェリアの翌朝、天津空港の搭乗ホールで瀋陽行きの便を待っていると、反町監督に出くわした。日本チームとオランダチームが同じ便に乗ることになっていたのだ。
私は、反町監督と谷口について議論した。谷口のポジションは間違っていると思うと私が言うと、反町監督が笑った。私から見れば、谷口は中央のディフェンダーだ。頑健な肉体を持ち、空中戦に長けた彼は、直近のアルゼンチンとの親善試合でもヘディングでの見事なクリアを何回か披露していた。
すると反町監督は次のように話した。
「実際、谷口がフロンターレでプロとしてのキャリアをスタートしたのはそのポジションですし、その後に守備的なミッドフィルダーになり、現在のオリンピックチームではさらに前に移動して、ワントップの直後に位置するようになったのです」。
苦難続きのなかで、反町監督もふっきれたはずである。チームの早期敗退の責任を、彼ははっきりと感じているからだ。

とはいえ、いくらかのプライドを取り戻すチャンスはまだある。水曜日の夜には、瀋陽でのオランダ戦が控えているのだ。
もっとも、オランダのメディアは自国の代表に満足してはおらず、日本には勝って当然、という感覚は持っていない。そうであれば、日本にも希望はあるに違いない。たとえ、火曜日の練習に参加したフィールドプレーヤーは14人だけで、そのうちの1人の本田拓也が次戦出場停止となっていても。

内田と安田がケガに苦しんでおり、両者が出られないとなれば、反町監督に起用して欲しいと私が望むメンバーは次の通りだ
山本:森重、水本、吉田、長友:谷口、細貝:岡崎、李、本田圭佑:森本

第2GKの山本には、チャンスを与えるべきである。それは吉田も同じで、そうでなければ彼を連れて来たのは単なる時間の無駄になってしまう。岡崎が右サイドで先発すれば、本田圭佑が左側に移れるようになり、そうなれば右サイドのときよりもはるかにプレーしやすくなるだろう。
森重はディフェンスの中央から動かしたくない。過去2試合の日本のベストプレーヤーだと思っているし、反町監督が3バックに戻さないかぎり、吉田とコンビを組むのは彼しかいない。青山直晃、伊野波、水本が組んだ3バックは予選ではうまく機能していたが、反町監督はこのシステだけでなく、トリオのうちの2人(青山、伊野波)に見切りをつけ、その代償が今回響いてきたのである。

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印象の悪い日本サッカー

2008/08/11(月)

2008年8月8日・北京:中国に来てこの数日というもの、意気消沈してしまっている。まず、秦皇島でのなでしこジャパン、ニュージーランド戦でのドロー(2-2)。そして天津で行われた男子サッカー米国戦の敗戦(0-1)。
確かに、0-2から追いついたとはいえ2-2の引き分けはまるで敗戦のように感じる。あと5分あればおそらく日本が勝ったのだろうけど、実際のところ、ホイッスルが吹かれた時ファンの前で控えめにハカ(マオリの民族舞踊、ラグビーでニュージーランドブラックスが試合前に踊っている)を踊り祝っているようだった。

日本のこの2試合に、私は非常にがっかりしている。ボールをコントロールする、パスするという基礎がまったくできていない。そして数え切れないくらい多くのチャンスを逃し続けた。
「私は知っているんだ。日本は3ゴール挙げるのに10回のチャンスが必要だってね」。ニュージーランド女子チームのジョン・ハードマン監督が言うように、チャンスを逃すのは今に始まったわけではない。悔しいが事実だ。男子に至っては1つのゴールに10回のチャンスだな。

決して強いといえないアメリカ合衆国に敗戦。正直私は、勝てる試合があるとすればアメリカ戦だろうと思っていた。そして今、がけっぷちでナイジェリアとオランダと戦わねばならない。願わくはチームが崩壊することなく踏ん張って欲しいとは思うが、それほど楽天的でもいられない。
アメリカに敗れた後、数人の日本人プレスと話をしたが、何人かは日本の方がずっと優勢だったし、少なくとも引き分けであるべきだったと考えているようだ。しかし私はその意見にはまったく同意できない。

右サイドバックの内田は、日本で最も鋭い選手。前半には右サイドからの突破やパスで何度もアメリカを苦しめていたが、後半にはアメリカがきっちり彼を抑えていた。また、反町監督はなぜ李を先発メンバーとして使わなかったのだろう。彼はコンスタントに、日本代表の中でもっとも活発なフォワードだった。それなのに、監督は元気のない森本を選んだ。
後半終盤になり、豊田が投入された。この豊田の18人の代表入りにも驚かされたが、やはりこのレベルでのサッカーは彼にはやや荷が重いように見えた。モーリス・エドゥーともつれた後にペナルティを与えられず彼は怒っがが、その時間帯にはピッチのあちらこちらで倒れまくっていた日本に文句は言えまい。日本サッカーの印象を悪くするだけだ。
一方、フレディ・アドゥーも長友のファウルでPKをもらえるはずだと思ったようだが、私はこの場合も主審の判断は正しかったと思う。

マーベル・ウィンの低いクロスを水本がクリア。ボールがこぼれた所をスチュアート・ホールデンの鋭いシュートが西川の脇をすり抜けゴール。結局、その1ゴールが日本に重くのしかかり敗れた。
もし状況が逆だったら、もし内田のクロスが寄せたMFの前にクリアされていたとしたらどうなっていか……考えずにはいられない。日本の選手は直接ゴールを狙っていただろうか? それともトラップして余計な1タッチをしてしまい、シュートコースを塞がれキーパーを試すことなく終わったのだろうか?
いやはや 気が滅入る。

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面白くなったJOMOカップ

2008/08/07(木)

2008年8月4日:柏レイソルには長年にわたり魅力的な韓国人選手がおり、その代表的な存在としてはホン・ミョンボ、ユ・サンチョル、ファン・ソンホンの3大選手が挙げられる。しかし、チェ・ソングッの場合は、柏が降格の憂き目にあった2005年のシーズン中に短期間在籍し、パッとした活躍もなく8試合に出場しただけだから、成功したとは言えない。
だから、土曜日のJOMOカップに臨む彼には、心に期するものがあったかもしれず、装いを新たにしたこの夏の祭典では、Kリーグ選抜が国立競技場でJリーグ選抜を3-1で粉砕した。

チェはKリーグ選抜の先制点となるきれいなゴールを決めたほか、3点目をお膳立てしたのだが、そのときの動きはこの試合の帰趨を決めるものであり、この日の両チームの違いを如実に示すものであった。
2-0でリードし、ゆったりと構える余裕があったのに、Kリーグ選抜はディフェンス中央のキム・チゴンがJリーグ選抜を急襲して攻撃を防ぎ、右サイドにいたチェにボールを渡した。
チェは広く開けたスペースに向かって駆け出し、Jリーグ選抜のディフェンダーが散り散りになっている隙に完璧なタイミングでエドゥーにパスを送った。エドゥーは自信満々で左足からチップシュートを放ち、ボールは楢崎を超えて3点目のゴールとなった。ゲームオーバー。

正直言って、自分がこの試合を非常に楽しんでいたのには驚いた。前のフォーマットはひどく退屈で、オールスターと銘打っていてもあくびの出るようなもの。選手たちも本当は出たくないのではないかと思える試合だった。JイーストとJウェストの試合は、延長戦やゴールデンゴール、PK戦、2ステージ制といった仕組と同じく欠点だらけの役立たずなもの。
しかし、Jリーグ選抜対Kリーグ選抜という新たなフォーマットが生まれた結果、このイベントが、スポンサーのジャパンエナジー社にとっても充分な投資効果の見込めるものとなったのは確かだろう。タフで、激しい試合であり、タックルが飛び交い、試合が進むにつれてあちこちで競り合いが繰り広げられていた。
端的に言えば、サッカーの試合はこうあるべきであり、27,629人の観衆のなかにいた韓国人サポーターの騒々しい応援がイベントを盛り上げていた。

そう、このイベントには2つのプロリーグのやる気を掻き立てるものがある。MVPのチェは、来年も出場したいと意欲を示した。
2005年のJリーグ在籍は短いものだったが、この25歳のミッドフィルダーの今回の日本遠征は、賞金の100万円と新車のメルセデスベンツを獲得し、笑いの止まらないものとなった。いろいろ噂を聞いたところでは、彼はまたJリーグでプレーしたいという希望を持っているそうだが、土曜日の彼のパフォーマンスは、クラブのスカウトたちも見過ごすことはできないだろう。
私のお気に入りの選手は、大柄のディフェンダーのイ・ジョンス。この選手は、右のバックで先発したあと左側に移ったのだが、試合開始早々3分に金崎夢生に激しいタックルを浴びせ、いきなりイエローカードをもらっていた。

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価値があったレッズ対バイエルン戦

2008/08/04(月)

2008年8月2日:果たして時間とお金の無駄なのか、それとも貴重なトレーニングなのか――。先日行なわれた浦和レッズ対バイエルン・ミュンヘンについては二通りの見方がある。私としてはなるべくポジティブに考えたいし、実際、費やした費用や準備に十分見合うゲームだったと思う。

観客数2万7292人というのは、浦和レッズにしては少ない。ただ、木曜夜の埼玉スタジアムでの親善試合ということを考えると決して悪くない。バイエルンも良い試合をし、4-2で勝利を収めた。前半20分までに2ゴールを挙げ、彼らは早々に試合を決めていた。
レッズはボロボロでまったくプレーできておらず、バイエルンは更にハーフタイム前に1ゴールを挙げ3点差とした。
後半に入るとレッズもやや活気づく。残り10分となったところで阿部勇樹が鮮烈なオーバーヘッドキックでゴールを決め、観客も満足して帰途についた。まあ、平日夜のお楽しみとして、強豪バイエルンのパワーと緻密さを垣間見ることができて満足というところだ。

試合前の話題といえば、誰が来日しないのかということ。リベリー、トーニ、ボロフスキー……それでもすべてのポジションにスターが揃っている。バイエルンはそれで十分だった。ただ、レッズがまずい守備と不用意なクロスでずいぶん彼らを助けていた。Jリーグの選手が自陣深くで、相手チームにカットされ反撃を食らうような不用意でリスキーなクロスパスを出すのは珍しくない。先日のバイエルンのように、容赦なくやられたことがなかっただけだ。

そうは言っても、浦和レッズにとっては悪いことばかりではなかった。鈴木啓太は以前のコンディションに戻りつつあるように見えた。梅崎のゴールを生んだ、彼の相馬へのパスは絶妙だった。セルヒオ・エスクデロもエネルギー溢れる積極的なプレーでトップチーム入りも間近だ。
ゲルト・エンゲルス監督は高橋峻希、そして5月9日に17歳になったばかりの原口元気の二人のティーンエージャーのプレーを褒めていた。右にスペースを見つけるや、走りこんでダイレクトにシュートを放つ高橋のプレーは清々しいものだった。願わくば、彼にはシュートを打つ前に不要なボールタッチをする悪癖をもたないようにしてもらいたいものだ。

ひとつ苦情を言わせてもらうなら、試合後の手順の悪さだろう。試合終了のホイッスルから表彰式までの時間が無駄に長すぎた。この間にもし、バイエルンの選手たちがピッチを歩きファンに感謝を込めて手でも振ってくれれば、観客も最後までスタジアムに残ってくれただろう。
バイエルンがトロフィーを、ポドルスキーがMVPと賞金3000ユーロを授与された時には多くのファンも帰途についていたとはいえ、それでもかなりのファンがスタジアムに残り彼らに声援を送っていた。両チームがピッチを回って声援に応えるのが、こういう試合の理想的な終わり方だったと思うが、ピッチ上で整理運動をしている5名を除いて、バイエルンの選手たちはさっさと退場してしまった。残念だ。ファンはもっと大切にされるべきだ。

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