不可解なオリンピック代表選考
2008年7月16日:失望したかって? そりゃ、もちろん。 困惑したかって? とっても。 期待できそうかって? 微妙。
反町康治オリンピック代表監督が月曜日に発表した北京オリンピックの最終登録メンバーは、いくつかの点で私にはなかなか理解しがたいものであった。第1に、今回の陣容がこの年代グループにおける日本の長所を反映したものであるとはまったく思えない。第2に、中国で立派な働きをするであろうと思えた優れた選手を何人か、監督は選んでいない。第3に、反町監督はいくつかのポジションで実力が未知数の選手を招集するという、不必要なギャンブルを行なっているように思える。
予選のプロセスを振り返ってみれば、このチームの長所は、ディフェンスと両サイドという2つの領域にあるのがわかる。たとえば予選が終わったあと、ピッチの図面だけでメンバーが空白になっている1枚の紙を目の前に置き、メンバーが固まっているポジションを塗りつぶしてゆけば、塗りつぶした部分は馬の蹄鉄のかたちになるだろう。
右サイドは塗りつぶされ、バックも全体が塗りつぶされ、左サイドも塗りつぶされる。そして、中盤の中央と前線に大きな空白部分ができることになる。
しかし、監督は伊野波と青山直晃を落とし、強かった領域を弱くした。堅実で、闘争心のある守備的MF、チームに大いに貢献するタイプの選手である青山敏弘にも、同じことが言える。
創造性については、下の年代のチームでのプレー、それから浦和に入ってからの急成長ぶりから判断して梅崎が招集されれば、充分にチームのリーダー的な役割を果たせるだけの状態にあったと思える。
また、グラスゴーでは好調時の輝きが見られていないが、水野は魅力的な資質を持っており、彼のスピードとトリッキーな動きは中国でも相手チームを困惑させることができたはずだ。結果として反町監督は、予選中に彼に試され、よく仕えた信頼のおける選手たちを何人か見放した、というのが私の総合的な印象である。
振り返るのではなく、前進しなければならないと彼は言っているが、予選は11月に終わったばかり。このような短期間に件(くだん)の選手たちのプレーが急速に悪くなったというはずもない。バックに伊野波の成熟したインテリジェントなプレーがない、あるいは青山直晃の闘争的なヘディングがない状態では、水本―森重―吉田で構成された中央のディフェンス陣は安定性と経験を欠き……それにコミュニケーションとリーダーシップという点ではどちらかというとおとなしすぎるように思える。
ただ、フルバックには内田や安田、長友といった豊富な人材もいるにはいる。反町監督がギャンブルに走っているように思えるのは中盤である。
監督は梶山に多大の信頼を寄せているが、私には彼のプレースタイルはあまりにも大雑把で、危険なエリアでちょっとしたスキを突かれてボールを奪われるかもしれないという危惧を抱かせる。また、谷口にも同様の信頼を寄せているようだが、中盤を縦横に駆け回る、彼の稲本タイプのプレーを評価してのことだろう。
香川は、反町監督とA代表の岡田武史監督が才能豊かな選手という評価を与えているものの、見た目も、実際にも軽量級である。当分のあいだ、我々は反町監督と岡田監督がこの選手に与えた高評価を信用するしかない。
前線については、この年代の日本のフォワード――最終合宿に参加した20人のうちの5人と、最終発表された18人のうちの4人――が優れた人材揃いであるとは、最初から思ってはいなかった。だから私には、反町監督がこのチームの強固な基盤を取り外し、拙速に作り直すことで、うまくいかなかった点を無理に修正しようとしているように思える――そんなものはもともと存在していなかったのに。
予選でも、このチームは偉大なチームというわけではなかったが、とりわけ3バックと中盤横一列に配置された4人の選手による、よく訓練されたディフェンスで、なかなか負けないチームとなっていた。まさに、日本の特長を活かした、強固で、バランスのとれた守備的なチームで、しかも攻撃的な選手を3人配するだけの余裕もあった。
今回の選考から判断すると、反町監督はより積極的で、攻撃的な試合をするつもりのようだ。しかし、このようなポリシーは大胆とも、見当外れともとれる。現時点での私の見解は、後者である。
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コメント
I think so.
投稿: 第三期生 | 2008年7月21日 (月) 09時38分