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2008年7月

国立競技場の尋常ならざる雰囲気

2008/07/31(木)

2008年7月30日:火曜日の国立競技場周辺は、雷と稲妻に見舞われる前から尋常ならざる空気に満ち溢れていた。おなじみのライトブルーと白のストライプのユニフォームを着たアルゼンチンが、4万3,000人以上の大観衆を国立競技場に呼び寄せたため、試合はカーニバルのような雰囲気のなかで行なわれた。
本人はいなかったのに、大物メッシのレプリカ・シャツがたくさん見られた。また、ベロンやバティストゥータ、サビオラ、アイマールのシャツも、もちろんマラドーナのシャツもあった。

スタジアムに向かう道中は、まるでアルゼンチンのサッカー史のなかを歩んでいるようだった。そして試合中止を余儀なくさせた天候状態さえも、雰囲気の盛り上げ役と感じられないこともなかった。

競技場の時計が83分と35秒を示しているときに選手たちがピッチから引き上げるとどよめきが、その後すぐに正式発表があるとブーイングが起こったが、この決定はまったくの正解だった。
第1に、閃光があちこちで見られるコンディションは、選手にも、ファンにも危険なものだったし、第2に、激しい雨によってピッチは瞬く間にプレー不可能な状態になっていた。
たくさんのものが賭かっていた土曜日のアントラーズ対レッズ戦とは違い、今回のオリンピック代表の親善試合は、試合終了まですべての人を立ち合わせなければならないほど重要なものでもなかった。

1-0というスコアには、ほぼ納得できる。アルゼンチンのほうが一枚上手だったが、日本も善戦し、何度かアルゼンチンを苦しめた。
私のマン・オブ・ザ・マッチはセンターバックの森重だ。前半の森重は、リケルメのデリケートなパスに走り込んで合わせようとするアルゼンチンのフォワードをうまく食い止めているように思えた。
良いディフェンダーは皆そうなのだが、森重はタックルしようと無分別に飛び込んで、自らを役立たずな存在とする代わりに、立ったままじっくりとボールを観察し、しっかりと地に足をつけ、体全体を使って相手プレーヤーを危険な地域に入れないようにする術を心得ているのだ。
森重は天性の積極性と集中力を持ってプレーしており、空中戦ではそれがより顕著になるのだが、同時に冷静で、勝負どころを理解しており、いつもマークする選手の内側にポジションをとるようにしている。
森重のポジショニングとプレーは、前半にアルゼンチンの攻撃を食い止めるのに大いに役立ち、キャプテンの水本と並んだ位置でのプレーは、吉田ではなく、彼がオリンピックでのスタメンの座を射止めたのではないかと思わせるほどであった。

アルゼンチンについて言えば、左ウイングのアンヘル・ディマリアのクールな右足のシュートに代表されるようなプレーで、たくさんのファンを何度も沸かせていた。
ガゴ、マスケラーノがサポート役を務める中盤は、リケルメがオーケストラの指揮者のようにチームのリズムを司っていた。試合を静かに進行させるときと、エネルギーを爆発させるときを織り交ぜながら、一貫した流れのなかで指揮し、チームを完全に掌握していた。残念だったのは、このコンチェルトが早めに終わってしまったことである。

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ホーム・スウィート・ホーム

2008/07/28(月)

2008年7月26日:先日の、ホームズスタジアム神戸での日本代表のプレーは素晴らしかった。単にオーストラリアを破ったからというのではない。猛暑の中、最後までスタミナ切れを起こすことなく戦えたからだ。このような自信をもたせる結果を出すことができ、オリンピックを目前に控えた監督も楽観的になれる。女子についてはこれでいい。

一方の男子もかなり良い試合をした。反町康治監督も、2-1の勝利に新しいチームや自身に対してかなり満足できたのではないだろうか。私としては、右サイドを何度も突破しオーストラリアを苦した右サイドバックの内田が一番良かったと思う。
日本の同点弾の起点となったのが、内田からのパス。李と森本がお膳立てし、香川がスムーズなゴールを決めた。この日の香川はとにかくシャープ。ピッチを自由に駆け回り日本の攻撃に大きく貢献していた。彼のパーフォーマンスは、代表入りが正当だったことを証明し、岡田武史監督と反町監督への信頼に応えるものだった。ただ、香川がテレビやメディアから、平山のような馬鹿げた特別扱いを受けることを恐れている。

キックオフの前から、スタジアムアナウンサーは甲高い絶叫で香川を“セレッソ・ファンタジスタ”と……ああっ、勘弁してほしい。そしてかつて平山相太がベンチに座っていても受けていたスポットライトのように、ビッグスクリーンに度々、香川の顔が映る。この狂騒はきっと火曜日のアルゼンチン戦をはじめ、オリンピックを通してさらに過熱していくのだろう。“和製メッシ”? あれは家長のことだったかな?

日本の4人のミッドフィルダーの中で香川が左サイドで輝く一方、右サイドの本田圭佑は全く精彩を欠いていた。フェンロ(オランダ)のMFはまるで水から出た魚のようで、その右足を満足に使うこともできなかった。特に頭に焼き付いているのは、52分、香川のスルーパスを左足のアウトサイドでシュートを放ったシーン。ボールは、右足で蹴ってくれと懇願していたというのに…。最高レベルの選手たちであっても、多くの左足のスペシャリストが右足が使えない、もしくは使おうとしないのはあまりにも滑稽である。

他の選手はというと、まず吉田。オーストラリアに先制ゴールを献上したあの軽率なトラップを、彼自身が悔いていることだろう。経験あるプロ相手に、草サッカーレベルのプレーをするのがどれだけ危険なことなのかよく分かったはずだ。
谷口は右ウィングからのクロスをスラムダンクでもするつもりだったのか、そのプレーでイエロー。後半からピッチに入ったのだが、その愚行で下手をしたらわずか12分しかピッチにいられなかったかもしれない。その後、たまたま誰かにファウルをしてしまい2枚目のイエローでももらおうものなら、チームは厳しい状況下、10人になってしまう。彼のイエローは、それだけ無責任なものだった。反町監督もきちんと指導するべきだ。
とは言え、全体的に日本は思ったより良いプレーをしていた。コンパクトでデンジャラス、そして自信を持ってプレーしていた。もちろん、なでしこジャパンもね。

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サッカー ―― 美しくて、残酷なもの

2008/07/24(木)

サッカーは「美しいゲーム」であるというのはよく耳にするが、「残酷なゲーム」であることも忘れてはならない。

月曜日の夜、FC東京とのホーム戦を西京極陸上競技場で観戦した京都サンガのファンは、それを実感したことだろう。ホームチームにとってはまことに残酷な幕切れであった。正規の90分と3分のロスタイム。そのうちの最初の2分は、うまくプレーできていたのだから。それから、すべてが悪いほうに転がり、同点ゴールを許し、1-1の引き分けという結果となってしまった。

京都の加藤久監督が試合後に話したところでは、ロッカールームは負けたときの雰囲気に近かったそうだ。
「選手はみんながっくりしていました。あと1分だけ辛抱すればよかったわけですから」。そう言ってため息をついた。
1分の間には色んなことが起こりえるが、その“色んなこと”が西京極で起こったのである。まず、京都の右サイドバックである増嶋竜也に、平山相太へのファウルが宣告された。それ自体が驚きだった。というのも、その夜の平山はレフェリーの奥谷彰男からひどい扱いを受けていたからだ。実際、呼吸をした罪でレフェリーが平山を罰しているのだと思える場面もあった。だって、それしかほかに理由が見当たらなかったのだ。

そんなわけで、東京が左サイドでフリーキックをもらい、疲労困憊した京都の選手たちは、最後の最後に行なうディフェンスのためにゴール前を固めた。
途中交代で入ったエメルソン(右利き)と大竹洋平(左利き)がボールのところにいるのを見ているうちに、試合はまだまだ終わらないのだという気がした。「終了間際の同点弾」というシナリオがいかにもありえそうな状況なのである。ゴール前にカーブをかけたボールを蹴ったのはエメルソンの方。しかし、その夜の東京のセットプレートで度々見られたのだが、ボールが強すぎるように思えた。

京都のGK水谷雄一は、このボールをファーポストの外側に弾き出すつもりだったのだろう。これで終わったと私は確信し、持っていたノートを閉じて、その夜の京都で次に待ち受けていたビッグイベント、「お好み焼き」に思いを馳せていた。
しかし、水谷はバランスを失って、ボールを弾き出すことができず、東京の3人目の交代選手、赤嶺真吾が「毎度おおきに」と言いながら、ヘディングシュートを決めたのである。
ラッキーは続くもので、同点シュートが入ったゴールの後ろにいたアウェーチームのファンは、実はそれまで自チームのプレーぶりにあまり満足していなかった。赤嶺の同点ゴールと1-1という結果があったからこそ、東京の選手たちは自らのサポーターからの口撃からなんとか逃れることができたのだと私は思う。

京都のファンについて言えば、呆然とし、声も出ない状態であったが、最終的には元気を取り戻し、スタジアムを去るチームのメンバーに拍手を送っていた。最後にどんでん返しを食らったが、京都の選手たちのプレーは拍手に値するものだった。
加藤監督の話は続く。「確かにゴールキーパーのミスではありましたが、いつも彼はチームのためにたくさんのセーブをしてくれています。彼には、『これがサッカーだ』と言いました」。

サッカー。美しくて、残酷なゲーム。

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Jリーグのムーンライトシャドウ

2008/07/21(月)

2008年7月18日:多くのファンにとって、平日夜の試合開始時間が遅くなったのは喜ばしいことだったに違いない。そして、私が観た2試合とも良い試合をしてそれに応えた。まずは水曜夜、国立競技場のFC東京対ガンバ。そして木曜、埼玉スタジアムのレッズ対ヴェルディの2試合だ。
どちらの試合もキックオフは7時30分。ファンにとっては、競技場に行くのに30分余裕ができたということで、国立競技場に約2万8000人、埼玉スタジアムには3万5000人と、それは観客数に表れている。平日開催でこの数字は素晴らしい。また、平日の試合を2日間に分けるというのは、メディアやテレビでの露出、宣伝効果を考えると非常に良い。

国立競技場の試合を振り返ってみよう。まず、FC東京の石川直宏。かつてJリーグで最もエキサイティングな選手の一人だと言われていた頃のように、ウィングを駆けあがる彼の姿が見られたのは喜ばしい限りだ。カボレがゴール前でもう少しシャープな動きをしていたら…。そう、例えば赤嶺くらいシャープだったなら、FC東京は石川のダイナミックなウィング攻撃からゴールを挙げることができていただろう。しかし、FC東京の業師・赤嶺は81分までベンチ。ピッチに入った頃には、石川も後半早々にベンチへ下げられていた。

それにしても、前半にシミュレーションでイエローをもらうとは、平山相太は一体何をやっているのだ。シュートを放つ機会は嫌というほどあった。それなのにシュートを打とうとしない。そして、チャンスを逃した後のシミュレーション。オリンピックのダイビングチームに選ばれたいのかと思うほどだ。あれでは、前田拓哉主審も笑いながらイエローカードを出すわけだ。

1-1の引き分けはまあいい。ガンバを観てから数日の間、私はキャッチーな応援歌、マイク・オールドフィールド作曲(いや、サリー・オールドフィールドだったか?)の“ムーンライトシャドウ”を口ずさまずにはいられなかった。
余談だが、この曲の詩のなかで私には理解できない1行がある。
「朝の午前4時」
まるで昼の午前4時もあるかのように歌うのだ。英語を勉強している生徒には、類語反復の良い例だ。

話をサッカーに戻そう。
さて、次は木曜夜の埼玉スタジアム。満月の明るい光が闘莉王の野獣の血を呼び覚まし、ベストパーフォーマンスを引き出したようだ。時に、ピッチ上に3人の闘莉王がいるようにも見えた。バックに1人、ミッドフィールドに1人、そしてフォワードにも。ヘッドで競り勝ち、ペナルティをもぎ取り、PKを決め、ヘッドを決め、那須(茄子)を――多くの日本人は納豆を朝食に食べるが――朝食のおかずにしてしまった。

また、西村雄一主審も良い仕事をしていた。観客を盛り上げようと、ゴール裏へ走り不安定な広告板の上で派手なゴールパーフォーマンスをしていた闘莉王にイエローを出さなかったのは、良い判断だったと思う。FIFAのセップ・ブラッター会長がよく言うように、情熱と感情を見せる選手にイエローを出すのではないかと私は心配していただけに、西村主審がそのままパーフォーマンスを続けさせたのは嬉しかった。

2夜連続の、とても楽しいJリーグ。ただ1つ、困っていることがある。それは「朝の午前4時」、このムーンライトシャドウのフレーズが頭から離れないこと。YouTubeで見ていただければわかっていただけると思う。

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不可解なオリンピック代表選考

2008/07/17(木)

2008年7月16日:失望したかって? そりゃ、もちろん。 困惑したかって? とっても。 期待できそうかって? 微妙。

反町康治オリンピック代表監督が月曜日に発表した北京オリンピックの最終登録メンバーは、いくつかの点で私にはなかなか理解しがたいものであった。第1に、今回の陣容がこの年代グループにおける日本の長所を反映したものであるとはまったく思えない。第2に、中国で立派な働きをするであろうと思えた優れた選手を何人か、監督は選んでいない。第3に、反町監督はいくつかのポジションで実力が未知数の選手を招集するという、不必要なギャンブルを行なっているように思える。

予選のプロセスを振り返ってみれば、このチームの長所は、ディフェンスと両サイドという2つの領域にあるのがわかる。たとえば予選が終わったあと、ピッチの図面だけでメンバーが空白になっている1枚の紙を目の前に置き、メンバーが固まっているポジションを塗りつぶしてゆけば、塗りつぶした部分は馬の蹄鉄のかたちになるだろう。
右サイドは塗りつぶされ、バックも全体が塗りつぶされ、左サイドも塗りつぶされる。そして、中盤の中央と前線に大きな空白部分ができることになる。
しかし、監督は伊野波と青山直晃を落とし、強かった領域を弱くした。堅実で、闘争心のある守備的MF、チームに大いに貢献するタイプの選手である青山敏弘にも、同じことが言える。
創造性については、下の年代のチームでのプレー、それから浦和に入ってからの急成長ぶりから判断して梅崎が招集されれば、充分にチームのリーダー的な役割を果たせるだけの状態にあったと思える。

また、グラスゴーでは好調時の輝きが見られていないが、水野は魅力的な資質を持っており、彼のスピードとトリッキーな動きは中国でも相手チームを困惑させることができたはずだ。結果として反町監督は、予選中に彼に試され、よく仕えた信頼のおける選手たちを何人か見放した、というのが私の総合的な印象である。
振り返るのではなく、前進しなければならないと彼は言っているが、予選は11月に終わったばかり。このような短期間に件(くだん)の選手たちのプレーが急速に悪くなったというはずもない。バックに伊野波の成熟したインテリジェントなプレーがない、あるいは青山直晃の闘争的なヘディングがない状態では、水本―森重―吉田で構成された中央のディフェンス陣は安定性と経験を欠き……それにコミュニケーションとリーダーシップという点ではどちらかというとおとなしすぎるように思える。

ただ、フルバックには内田や安田、長友といった豊富な人材もいるにはいる。反町監督がギャンブルに走っているように思えるのは中盤である。
監督は梶山に多大の信頼を寄せているが、私には彼のプレースタイルはあまりにも大雑把で、危険なエリアでちょっとしたスキを突かれてボールを奪われるかもしれないという危惧を抱かせる。また、谷口にも同様の信頼を寄せているようだが、中盤を縦横に駆け回る、彼の稲本タイプのプレーを評価してのことだろう。
香川は、反町監督とA代表の岡田武史監督が才能豊かな選手という評価を与えているものの、見た目も、実際にも軽量級である。当分のあいだ、我々は反町監督と岡田監督がこの選手に与えた高評価を信用するしかない。

前線については、この年代の日本のフォワード――最終合宿に参加した20人のうちの5人と、最終発表された18人のうちの4人――が優れた人材揃いであるとは、最初から思ってはいなかった。だから私には、反町監督がこのチームの強固な基盤を取り外し、拙速に作り直すことで、うまくいかなかった点を無理に修正しようとしているように思える――そんなものはもともと存在していなかったのに。
予選でも、このチームは偉大なチームというわけではなかったが、とりわけ3バックと中盤横一列に配置された4人の選手による、よく訓練されたディフェンスで、なかなか負けないチームとなっていた。まさに、日本の特長を活かした、強固で、バランスのとれた守備的なチームで、しかも攻撃的な選手を3人配するだけの余裕もあった。
今回の選考から判断すると、反町監督はより積極的で、攻撃的な試合をするつもりのようだ。しかし、このようなポリシーは大胆とも、見当外れともとれる。現時点での私の見解は、後者である。

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国内外で混乱を極める五輪サッカー

2008/07/14(月)

2008年7月12日:日本は、早くも北京オリンピックの金メダル第1号を獲ったようだ。オーバーエイジ枠選考でのゴタゴタは、まさに金メダルに値する。
これまでの準備、そしてオリンピック候補選手が戦ってきた全てのゲーム、それらを台無しにするような、愚かともいえるゴタゴタ。遠藤保仁が正式に出場を辞退し、結局、日本代表にはオーバーエイジ枠の選手が一人もいなくなった。ダラダラと長引いた選考がようやく終末を迎え、世間を二度ガッカリさせたJFA(日本サッカー協会)の不手際。自ら墓穴を掘ったとしか言いようがない。

まず、大久保嘉人。何とか大久保の招集を確保するために採ったJFAのやり方に、ヴィッセル神戸は激怒した。JFAがきちんとした手続きの下に大久保を招聘したのではなく、裏口からコソコソと画策した、ヴィッセルはそう感じたのだ。
2月に受けた膝の手術後の状態を心配して、と言うのはあくまで表向きな理由にすぎないと私は思うが、いかなる理由であろうと、ヴィッセルにはJFAに「ノー」という権利がある。これはチームのワガママでもなければ、国に対する裏切りでもない。結論から言うと、J2降格ラインすれすれの所にいるヴィッセルには大久保が、チームキャプテンが必要なのだ。彼のゴール、そして勝ち点が必要なのだ。
ヴィッセルは大久保に年俸を払っている(かなりの額であることは容易く予想できる)。ヴィッセルは彼をチームに留まらせる権利がある。

遠藤についても然り。JFAは一体何を考えているのだろう。
彼はワールドカップ予選に4試合出場、精神的にも肉体的にもキツイ6月をすごしてきた。そしてガンバには、J1リーグ戦とナビスコカップ準々決勝と忙しい7~8月が待っている。9月にはワールドカップ最終予選が、さらにアジアチャンピオンズリーグの準々決勝も始まるのだ。
酷暑の天津と瀋陽で7日間で3試合、そして勝ち進めばさらに数試合の可能性がある。遠藤にこんな過酷なスケジュールは必要ない。体調万全の遠藤がオリンピック代表の中盤の柱となり、セットプレーやPK戦になった場合のペナルティキックの技術でいくらチームを引っ張れるとしても、JFAがこんなこにさえ考えが及ばないのが信じられない。先にも述べたが、オーバーエイジ枠選出についてきちんと対応できなかったJFAが、自ら墓穴を掘ったということだろう。
幸いにして、この問題は既に終わった。月曜日には、反町監督が18名の代表選手を発表する。これ以上は何も起こるはずがない。

明るい面も見てみよう。2012年のロンドン・オリンピックでは、23歳以下の選手しか出場できない。従って、こんなゴタゴタはもう生じない。とはいえ、率直に言うと、オリンピックのサッカーは混乱している。その証拠に、選手の招集についての抗議や詰問がヨーロッパのチームからFIFAに寄せられ、この時期になってようやく、今週FIFAがルールを明確にしようと記者発表を行なった。申し訳ないが、日本は自業自得というべきだ。

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昇りゆくレイソルの一戦必勝主義

2008/07/10(木)

2008年7月8日:「これからは、どの試合もカップ戦の決勝のつもりで戦う」
とはサッカーの世界でよく聞かれるセリフであり、通常は、降格を避けるため、あるいは優勝を勝ちとるために1つの勝点も無駄にできないチームがシーズン終盤の慌しい時期に発する言葉である。
もっとも、柏レイソルの場合は、ここ最近のリーグ戦での好調ぶりから判断するに、どうやらこの哲学を早めに導入したようである。柏は直近の6試合で5勝を挙げ、リーグ中断前に鹿島に1-1で引き分けた以外はレッズにも勝利しており、日曜日はガンバにも勝った。これだけの好成績。順位も首位と勝点3差の3位という高い位置まで駆け上がったが、自信の程も天井知らずになっているのかもしれない。

柏では今すべてが順調のようだし、上位にいるライバルチームと比べると、リーグ戦(J1)だけに集中できるとういう利点もある。レッズやアントラーズ、ガンバと違い、レイソルはナビスコカップではすでに敗退しているし、アジアチャンピオンズリーグにも参加していない。選手を休ませる必要もなければ、厳しい日程での消耗を避けるため大会ごとに選手を使い分ける必要もない。次に予定されているリーグ戦の試合だけに集中すればよいのである。
しかも、A代表に招集される選手もおらず、チームから抜ける選手といえばオリンピック代表の李忠成、1人だ。だから石崎監督はどの試合でもフレッシュな状態の、最強の布陣を組むことができるのだが、このような贅沢は他のほとんどのクラブでは不可能となっている。

スピードがあり、反応の鋭い李が欠けるのは確かに痛いが、アーティストのフランサが復帰するし、元気いっぱいの菅沼もいつでも先発起用に応えられる状態。レイソルのスタイルに問題なく溶け込むことができるだろう。
フランサは負傷による離脱が長いため万全の状態からは程遠いが、足と頭脳がいつも通り素早く回転していることは、太田の勝ち越しゴールのお膳立てをしたレッズ戦での何気ないスルーパスや、ポポのパスを胸でトラップして李の決勝ゴールを導いた、ガンバ戦でのプレーを見れば明らかである。
ガンバのGK藤ヶ谷は、ペナルティーエリアの角から打たれた李の低いシュートにもう少しうまく対応すべきだったが、それはレイソルには関係のないことだ。

選手個々を比較すると、レイソルはレッズやアントラーズ、ガンバには劣るが、チームのまとまりや、次のリーグ戦に向けての細かな準備といった点では勝っている。レイソルの場合、シーズンがまだ半ばにも達していない段階から、J1のあらゆる試合を、まさにカップ戦の決勝のように戦うことができるのである。

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グランパスの2人の明るい未来

2008/07/07(月)

2008年7月4日:ドラガン・ストイコビッチは現役時代、華麗な攻撃センスを持った選手として知られていた。それは、彼が一見で優れたディフェンダーを見抜くことができたからに他ならない。そして今、彼は名古屋の“優れた左足と頑強な体格を持つディフェンダー”に注目している。監督によれば、代表入りも間近だという。
ストイコビッチ監督が注目しているのは若干19歳の、センターバックの吉田麻也。すでにオリンピック代表候補の20名にも入っている。“優れた左足と体格を持つディフェンダー”、吉田はその条件にピッタリ当てはまる。

いや、ストイコビッチ監督が注目しているのはグランパスのレフトバック阿部翔平だ。ナビスコカップ、対ジェフ戦1-0の勝利の時も素晴らしい働きをしていた。
岡田武史監督が、100%信頼のおける左利きのレフトバックが必要になった時には、ガンバの安田の陰から阿部がいきなり浮上してくるはずだ。

水曜日のフクダ電子アリーナでの試合後、私はストイコビッチ監督に阿部について尋ねてみた。
「私の見るところ、彼の代表入りは目前だと思うよ」グランパスの監督はそう言った。
「彼は素晴らしい左足と勘を持った真のフルバックだ。体格的にも良いし、長所をたくさん持っているね」

今シーズン、この24歳の阿部について書くのは2度目だ。NACK5スタジアムでの大宮アルディージャ戦でも、ずば抜けたプレーをしていた。171cmのがっしりした体格と、監督もベタ褒めするテクニック。彼こそ“優れた左足と体格を持ったディフェンダー”である。ジェフ戦ではそのパワフルな左足で50mの距離をピンポイントでレフトウィングへボールを送り、サイドチェンジをしていた。彼は駒野のように積極的に動き、それを90分続けることができる。

その日、私は前述の左利きセンターバック、吉田をもう一度じっくり見たかったのだが、ストイコビッチ監督は彼をベンチで休ませ、バヤリッツァ-増川のコンビを中央で使った。それでも、ストイコビッチ監督は吉田(監督は彼をマヤと呼ぶ)を褒めちぎる。

「マヤはまだ19歳。これから先彼に起こることは皆を驚かせるだろうね。もちろん彼自身も」
「彼の将来は明るい。グランパスにとってだけでなく日本サッカーにとってもね。もちろんそれは彼にかかっているんだけれど、この半年の成長とサッカーに取り組む姿勢は驚くべきものがある。これは本当に序章にすぎない。いつか真のリーダーになるよ」

そして24歳の阿部にとっても、これはまだ序章に過ぎないのかもしれない。

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不運としか言いようのない伊野波と青山敏弘の落選

2008/07/03(木)

2008年7月2日:日本の優秀な若手選手に、アドバイスを少し。
2012年のロンドンオリンピック出場を目指すチームのキャプテンになって欲しい。そうJFA(日本サッカー協会)から頼まれても、引き受けないことだ。2004年の鈴木啓太と、2008年の伊野波雅彦。2人の共通点を見ればその理由がわかるだろう。
つまり、アテネの予選でキャプテンを務めたにもかかわらず、最後の最後に山本監督の選考から振り落とされた鈴木と同じ運命が、アントラーズの才能豊かな選手、伊野波にも訪れたのである。

実際には予選中に水本がキャプテンの座を引き継いだので、伊野波は最後までキャプテンであったわけではなかったが、私には、反町監督の20名の代表候補から彼が振り落とされたことが未だに信じられない。
日本を北京に導くうえで主導的な役割を果たしたのに落選した。これはまったくの不運だと、伊野波とサンフレッチェのMF青山敏弘は考えたほうがいいだろう。チームが3バックの布陣を採用する場合、青山直晃が右側、水本が左側の位置につき、伊野波がリベロとして招集されると確実視されていた。
だが、反町監督が4バックに切り替えると伊野波のスタメンの座が危うくなった。右サイドもできないこともなかったが、クラブでも代表でも、そのポジションでは内田のほうの評価が高かったのだ。
さらに森重と吉田という、高い潜在能力を持つ中央のディフェンダーが2人加わったため、入れ替わりで伊野波が落選となってしまったのである。

伊野波の落選は、私にはとても残念だ。彼は知性豊かな万能選手で、成熟した雰囲気と威厳をもってプレーする選手である。鈴木啓太のように代表に再招集されることも、伊野波なら可能だろう。
青山敏弘について言えば、オーバーエイジ枠の遠藤の選出に影響を受けたのは明らかだが、それが唯一の理由というわけでもないだろう。予選でも先発では起用されていなかったが、プレッシャーのかかる試合の終盤に素晴らしい働きをするはず、と私は考えていた。
それに、日本をスコアレスドローに導き予選突破を決めたサウジアラビア戦、ゴールライン上での信じられないようなクリアは今もみんなの記憶に残っていることだろう。

私は、中盤の中央は青山と細貝のコンビネーションがなかなか気に入っていた。正直言うと、ものすごく創造的なコンビというわけではないのだが、2人はタックルと激しいプレーで相手チームのプレーを分断することができた。細貝をDFとして招集し、青山敏弘を落としたことからみて、どうやら反町監督は4-2-3-1のフォーメーションを採用するようだ。
つまり、中盤の「2」の部分は遠藤と梶山に任せ、梅崎、谷口と本田圭佑 が「3」の部分に入り、李が務めると思われるワントップをサポートするのだろう。
さて、これが日本の長所を活かした布陣になっているかどうか?

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