巻の起用が論理的
2008年6月11日:岡田武史監督は、思慮の深さで定評がある。しかし、出場停止処分となった大久保の代わりとして土曜日のバンコクの試合で使う選手については、あまり考え込まないで欲しい。はっきり言って、答えは簡単。巻を起用して空中戦での強さを活かし、この試合をモノにすればいいだけなのだから。
遠藤と俊輔という右利きと左利きのフリーキックのエキスパートが二人揃い、中澤と闘莉王がいる。このチームに巻が加われば、日本が勝利する可能性は大きく高まるだろう。ホームのオマーン戦で立証されたように、ゴール前にシンプルにボールを集めるのはまったく間違いではない。土曜日のタイ戦では、試合開始からこのアプローチをとって欲しい。
日本はタイに比べて体が大きく、強く、さらに敏捷性と経験があり、技術も優れている。つまり、実際にはあらゆる面で優位に立っているのだ。落とし穴があるとすれば、メンタル面だろう。タイに自由にプレーさせ、そのような状況で求められる対応力と冷静さが欠ければ、厄介なことになるかもしれない。
そのためにも、巻を起用すべきである。巻ならば、その空中戦の強さによって1人または2人の相手ディフェンダーを引き付けて他の日本選手がつけ込むスペースを生み出すことができる。ちょうど、羽生がジェフユナイテッドでやっていたみたいに。
ファーポストでマーカーより高くジャンプし、ボールをヘディングで危険なゾーンに落とすことができるのが、巻の最大の強みである。そうなれば、玉田がチャンスをモノにすることができる。
バックから強力な爆撃隊が加わるフリーキックとコーナーキックにさらに1枚戦力が加われば、日本は十分な数のチャンスを作り出し、楽々と勝利できるはずだ。
かっこいいサッカーにはならないかもしれない。岡田監督が究極の目標とするスタイルにもならないかもしれない。だが、今回のような相手では、そうすることが現実的で論理的なのだ。
勝点さえ取れば、それがどんなやり方だったかを気にする人はいない。それに、その夜の結果によっては、3次予選を1試合残した状態で最終予選進出が決定する可能性がある。
大久保が出場停止になっていなくても、タイ戦では、たとえ玉田をベンチに下げてでも体力的に優れた選手を前線に入れ必勝を期すべきだという意見が出ていたと思う。しかし今は、巻か矢野のいずれかを玉田と組ませるしか選択肢はなくなっている。となれば、経験豊富な巻を選ぶのが妥当だろう。
雪が降った2月の埼玉でのホーム戦では、日本はタイを4−1で破った(中澤と巻がともに得点したのをお忘れなく!)。セットプレーでの空中戦の強さという利点を生かしてプレーすれば、バンコクの湿気の中でも同じような試合ができるはずだ。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント