フクアリの呪いを打ち破れ
※ジェフ千葉は7日にヨジップ・クゼ監督の解任を発表していますが、本コラムは同日早朝に書かれたものです。あらかじめご了承ください。
2008年5月7日:現在のジェフユナイテッドの惨状をいかに表現すべきか。勝点の満点が33なのに対し、実際に得た勝点は2。マスコミではすでに監督の去就が大きく取りざたされ、舞台裏では新選手をテストし獲得しようとする必死ながらも実りのない努力が進行している。
それでも変わらないのは、千葉の忠誠心溢れる人々からのサポートである。
火曜日の埼玉スタジアム2002には、このような人々が数千人集まった。アウェーチームのスタンドを埋め尽くした黄色のサポーターの数は、初期の頃に市原臨海競技場に集まっていたその総数より多いくらい。
オーストラリア出身のセンターバック、エディ・ボスナーは言う。「僕がこれまでプレーしたクラブのなかでも、最高のサポーターだ」。
「ディナモザクレブでこんな成績なら、外で食事することもできないだろうね。絶対に無理。でも、このクラブには…素晴らしいサポーターがいる」
だが、もっとも気の毒なのがジェフのサポーターであることも確かだ。寄る辺となっていたオシム・ワールドが崩壊し、廃墟のなかに取り残されてしまったのだから。
私の見通しはごく少数派のものではあったが、正直言って、シーズンはじめにはこれほど事態が悪化するとは思っていなかった。
もちろん、レギュラーとして確固たる地位を築いていた水本、水野、佐藤、羽生、山岸の5人を失ったのは痛かったが、斉藤−下村−巻のバックボーンは残っていたし、それらの選手をサポートすべきオシム時代のベテラン、ハングリーな新獲得選手、そして右サイドバックの松本、中盤の米倉に代表される印象的な若手、さらに外国人選手も揃っていた。
また、等々力で快勝したナビスコカップの初戦も観ていたので、私は、ジェフはそこそこやれそうだと思った。
ただしリーグ戦では、フクダ電子アリーナの呪いがまたも襲い掛かった。シーズンの流れを決めたのは、ホームでのヴィッセル神戸戦だったと思う。この試合、ジェフは1−0とリードしたままロスタイムに入ろうとしていたが、鈴木規郎の1発のロケット弾によってすべてが台無しに。1−1の引き分けに終わったのだ。
ジェフがその試合をなんとか凌ぎきり、リーグ戦で4位の座と勝点3を死守していたなら、以降は順調に波に乗り、さらに成長することができていただろう。心からそう感じている。
いまは、シーズン当初のようなきびきびした動きが見られなくなっている。レッズに0−3で敗れたあとのキャプテンの下村は、まるで打ちひしがれた人だった。
自信を失っている、というのが下村の言葉。昨シーズンと比較すると攻撃時のボールを持った選手へのサポートが少ないので、ジェフはまるで10人でプレーしているようだった。また、レッズがボールを持ったときにも、ジェフは10人でプレーしているように見えた。横浜F・マリノスに敗れた(0−3)後には、選手同士の口論があり、キャプテンの自分が割って入ったとも下村は言っていた。
問題は山積しているが、私は今でも、ジェフにはこの状況から脱出してJ1に残留するだけの力があると思っている。夏の長い中断期間に入る前に、ジェフには2つのホームゲーム――相手は京都と大分――を控えている。そこで勝点6をあげれば、ジェフは息を吹き返すだろう。
そして、もしフクアリでまたも(これまでのように)躓くようならば、ジェフに必要なのは新監督ではなく、祈祷師(エクソシスト)かと思われる。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント