自発的行動でエスカレーションの回避を
2008年5月21日:土曜日の埼玉スタジアムは、不穏な雰囲気となった。2組に分かれたファンの間で物が飛び交い、ファンを分離していたフェンスが押し倒された。そして、スタジアムの外側で待ち構える1万人のホームチームのサポーターがようやく散開するまでの3時間半、800人のアウェーチームのファンが安全上の理由によりスタジアム内に足止めされたのだ。
私は80年代の古き悪き時代を思い出した。当時はこのような出来事が、イングランド内でのサッカーの試合そしてイングランド代表がプレーするあらゆる場所において、日常茶飯事だった。ただし、現時点では日本のフーリガン問題は議論すべきほど大規模なものにはなっていないし、当局も早急な処置をとれる態勢にはある。
さまざまな制裁が課せられる可能性があり、状況をうまくコントロールできなかった浦和に罰金が科せられるのは確実だろうが、ファンも重要な役割をしっかりと果たす必要がある。
たとえばイングランドのサポーターは、選手の人種を誹謗した人物を見つけた場合、警備員に知らせるよう求められている。スタジアム内での人種差別と戦うためである。こうしたことがJリーグでもできないものか。相手側のファンが投げつけた物体が子どもに当たれば、その子は試合を観に来なくなるだろうし、母親も来なくなるだろう。それはJリーグの評判や将来にとって大きな痛手となる。
日本のサッカーは、家族で楽しめるというのが自慢で、それはまったく素晴らしいことでもある。70〜80年代にイングランドのあちこちで危険にさらされながら観戦してきた私には、Jリーグの試合会場の雰囲気は今でも新鮮なものに思える。
だから、責任感のあるガンバファンは、無責任なガンバファンが水風船を投げているのを見かければ、彼(または彼女)を叱責して欲しい(「または彼女」と書いたのは、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズの首謀的人物が女性であったことがよく知られているからだ)。
トラブルメーカーには勇気を持って意見を言い、必要とあれば彼(または彼女!)を当局に突き出そう。何かしよう――このような自発的な行動が問題の予防に大いに役立つのだ。
Jリーグが公認サポーターグループの代表を招集し、たとえば鹿島ホームでのレッズ戦あるいはガンバホームでのレッズ戦といった舞台でのエスカレーションを避けるためにとるべき行動をアドバイスするのも悪くはない。埼玉でのあのシーンが日本でのフーリガン行為の始まりではなく、終わりとなるように願おう。もっとも、この問題が済んだことだとは、私にはどうも思えないのだが…。
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