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レッズを生き返らせたのは、やっぱり闘莉王

2008/05/01(木)

2008年4月30日:ゲルト・エンゲルス率いる浦和レッズが劇的な復活を果たしているが、その最大の要因の1つは、ディフェンダーからミッドフィルダーに転向した田中マルクス闘莉王の活躍である。闘莉王を前に配置するのは当初、彼のエネルギーと積極性でチームに刺激を与えようとする、応急的な処置のように思えた。
しかしこの策が成功しているため、闘莉王はまだしばらく中盤の中央でプレーする可能性が高い。ご難続きの鈴木啓太がウィルスと数キロの体重減と戦っている現状では、なおさらである。

レッズはシーズンの早い時期に立ち直りのきっかけを必要としていたが、闘莉王がそのリーダーシップ、他の選手の良い部分を引き出す能力、そしてピッチにおける空中戦の強さによりチームを立ち直らせた。
火曜日の埼玉スタジアム2002でのコンサドーレ札幌戦、4−2という慌しい展開の試合をモノにしたチームのなかでも、闘莉王の働きは際立っていた。レッズでは、闘莉王は高原やエジミウソン以上に危険な選手。レッズを止めたいのなら彼を自由にプレーさせてはならない。コンサドーレの三浦俊也監督はそう認識していた。

「フリーキックのときにどのディフェンダーがマンツーマンでマークしても、闘莉王にはまったくかないませんでした」と三浦監督。
「これが、J2とJ1の大きな違いですね。J1では、コーナーキックやフリーキックの精度が高く、どのチームにも空中戦が得意な選手がいます。新潟の矢野とか、鹿島の田代、それから浦和の闘莉王…」。

コンサドーレ戦で、闘莉王は今季リーグ戦5ゴール目を記録した。アウェーチームのディフェンス陣をなぎ倒しながら、梅崎の左サイドからのコーナーキックをヘディングでファーポストに決めたのだが、コンサドーレにはなす術がまったくなかった。

しかし試合終了後も長く議論の対象になったのは、無効となったゴール、つまり0−1で追いかけていたレッズの前半19分における幻のゴールの方だった。そのときもやはり、梅崎から完璧なパスがきた。梅崎はフリーキックでシュートを狙っていたが、ファーポストに闘莉王を見つけてキックの角度を変更。驚異的なジャンプをした闘莉王には、ジャンプの途中で高原に気づいてボールを折り返す余裕があり、高原が流れるような動きでそのボールを見事にシュートした。素晴らしいゴール、みんながそう思った。スタジアムのスコアボードのオペレーターもそう思ってスコアを1−1にしたし、スタジアムのアナウンサーもゴールだと思った。しかし、その後に闘莉王のオフサイドが宣告されたのである。

ここで注目すべきは空中戦における闘莉王の勇敢さではなく、彼の試合勘であるのは言うまでもない。ホルガー・オジェック前監督は、闘莉王の両足を使ったパスレンジの広さを、ドイツを代表するフルバック、アンドレアス・ブレーメに例えていたくらいだ。エンゲルス監督は、闘莉王は現在の中盤のポジョションでもバックのときと同じように代表レベルのプレーができると確信している。だが代表レベルかどうかは私には関係ないことだ、とも語っていた。
それを判断するのは日本代表チームの岡田武史監督の仕事。緊張感に欠ける彼のチームにも、バーレーンでの失速から立ち直るための刺激が必要だ。闘莉王が日本代表の中盤の中央を務めるのか? 日本代表監督にとっては、キリンカップまでに考慮すべき価値のある選択肢であることは確かだろう。

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