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2008年5月

岡田監督の尽きぬ悩み

2008/05/29(木)

2008年5月28日:キリンカップの目的が月曜日のオマーン戦に向けた日本代表の準備にあったのだとすれば、その準備状況に対する岡田武史監督の懸念は1週間前より深まっているに違いない。彼がどのようなスタメン、フォーメーションで臨むのかは、ゴールキーパー(楢崎)と最終ラインの4人(駒野、中沢、闘莉王、長友)以外は定かではない。
もちろん、中村俊輔もスタメンに入るだろうから、確実なのはこれで6人。残りは確定したとは言いがたい状態だ。それに、日本は4−4−2と4−5−1のどちらを採用するのだろう?

今後数日間で岡田監督がどのような決断を下すのかはわからないが、1つだけ確かなことがある。日本は、開始から猛攻を仕掛け、早い時間にゴールを奪わなければならない。ゴールを奪えないまま試合が進めば進むほど、選手たち――そしてファンたちも――の苛立ちが募るようになるからだ。
オマーンは深く引いてくると見なければならない。引き分けで満足なのだから。つまり、日本はパラグアイ戦ではうまくできなかったが、動き回ってディフェンスの裏をとり、ゴール前にボールを入れてゴール至近距離でチャンスを作る必要があるのだ。選手たちがディフェンダーに勝負を挑み、積極的にシュートを打ち、全体的に速いテンポでプレーすることで、オマーンにプレッシャーをかけて欲しい。

パラグアイ戦では、ビルドアップするのに無駄に労力をかけすぎ、相手がさほど危険だと思っていないエリアでのパス・パス・パスが多すぎた。そうなればオマーンは喜んで深く引き、パス交換を見守ることだろう。反対に、試合開始から日本が積極的にサイドや中央から勝負を仕掛ければ、浮き足立つかもしれない。そのためには、大久保を起用して欲しい。大久保はポジティブな思考をする選手。俊輔にうってつけのゾーンでフリーキックを得るコツも知っている。
私なら、松井は左サイドに置く。フルバックを抜き去るための技術とスピードを持ち、正確なクロスを供給できるからだ。同じような理由で右サイドは山瀬。彼本来の位置ではないけれど。

私が見たいのは、スピード豊かでダイナミックなウィングでのプレー、それから中盤からの厚みのある攻撃だ。日本代表は、ボールを持つたびに中盤の複雑なパス回しにこだわりすぎ、チャンスを作ることもなく動きが瓦解してしまう傾向があったから。
鈴木と今野が中盤の中央でチームのバランスをとり、俊輔は大久保――ルーニーのようなワントップのスタイル――の後ろで自由に動き回らせるようにする。このチームには、スピード、確実さ、奥行き、経験、バランス、高さ、それからさらに言えばゴール――少なくとも2つ(しかも前半だけで)!――が備わっているのではないだろうか。

私が選んだ月曜日の先発メンバーは次の通りだ(4−4−1−1)
楢崎、駒野 – 中沢 – 闘莉王 - 長友、山瀬 – 鈴木 – 今野 – 松井、中村俊輔、大久保

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李の五輪代表入りは確定

2008/05/26(月)

2008年5月23日:李忠成がこれまで反町康治監督率いる18名のオリンピック代表候補に入っていなかったのなら、これで決まりだろう。
若手の有力選手が集まるトゥーロン国際大会。オランダを1−0で破った試合で日本の唯一のゴールを挙げた柏レイソルのストライカーは、勤勉さと勇気を見せた。実際のところ、日本のフォワード陣はかなり手薄な状態。反町監督にはあまり選択の余地がない。オーバーエイジ枠の有力候補に大久保嘉人が挙がっているくらいなのだ。

李は、オランダ戦後も代表の座を確保し得る良いプレーをしている。ターゲットマンとしてはかなり軽量ではあるが、スピードと鋭い左足を持っている。そして、テクニックとパワーでオランダのマーカーを打ち負かし、左足のアウトサイドでゴールを挙げたのだ。さらに言うと、私はピッチでの態度に見られる彼の人間性が好きだ。

日本代表でもう一人輝いていたのが、キャプテンの水本(テレビフィードでは右サイドバックの伊野波をキャプテンとしていた)と並んで4バックの真ん中でプレーした森重真人である。ただし、バックスのポジション争いは熾烈。青山、伊野波、水本、吉田、森重に加えて牧野がいる。彼らの誰をとっても代表として遜色はない。オリンピック代表のディフェンスの中央に闘莉王や中澤が必要だと言う人もいるが、私には理解できない。バックスは日本代表の強い部分でもあるのだ。とはいえ、若い選手の方が闘莉王や中澤より優れていると言いたいわけではない。

反町監督のフォーメーションは、李をトップに水野、谷口、そして本田圭佑が彼をサポートする4−2−3−1という興味深いもの。これは、この年代の選手にストライカーが不足している日本にとって理に叶った解決策だ。欧州チャンピオンズリーグでのルーニーやドログバのように、ローンレンジャー(1トップ)を置くのは近代サッカーの流行りでもある。
谷口は大宮NACK5スタジアムで行なわれた先の練習試合で2ゴールを挙げた。反町監督はエリア付近からのシュートを期待して、いつもフロンターレでプレーしている位置より前で使ったのだ。

最後に伊野波について一言。ファウルはとられていないが、伊野波は序盤、悪質なシャツプリング――シャツを引っ張る行為――をいくつか犯していた。反町監督がこれを注意していることを願う。
オリンピックで日本のゴールは、非常に貴重になるかもしれない。であるからして、こんな不必要なファウルでPKやエリア近くでのフリーキックを与えないよう、十分に注意する必要がある。そんな姑息でリスクの高い手を使わずとも、伊野波は相手ストライカーを負かすことができる選手のはずである。

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自発的行動でエスカレーションの回避を

2008/05/22(木)

2008年5月21日:土曜日の埼玉スタジアムは、不穏な雰囲気となった。2組に分かれたファンの間で物が飛び交い、ファンを分離していたフェンスが押し倒された。そして、スタジアムの外側で待ち構える1万人のホームチームのサポーターがようやく散開するまでの3時間半、800人のアウェーチームのファンが安全上の理由によりスタジアム内に足止めされたのだ。

私は80年代の古き悪き時代を思い出した。当時はこのような出来事が、イングランド内でのサッカーの試合そしてイングランド代表がプレーするあらゆる場所において、日常茶飯事だった。ただし、現時点では日本のフーリガン問題は議論すべきほど大規模なものにはなっていないし、当局も早急な処置をとれる態勢にはある。
さまざまな制裁が課せられる可能性があり、状況をうまくコントロールできなかった浦和に罰金が科せられるのは確実だろうが、ファンも重要な役割をしっかりと果たす必要がある。
たとえばイングランドのサポーターは、選手の人種を誹謗した人物を見つけた場合、警備員に知らせるよう求められている。スタジアム内での人種差別と戦うためである。こうしたことがJリーグでもできないものか。相手側のファンが投げつけた物体が子どもに当たれば、その子は試合を観に来なくなるだろうし、母親も来なくなるだろう。それはJリーグの評判や将来にとって大きな痛手となる。

日本のサッカーは、家族で楽しめるというのが自慢で、それはまったく素晴らしいことでもある。70〜80年代にイングランドのあちこちで危険にさらされながら観戦してきた私には、Jリーグの試合会場の雰囲気は今でも新鮮なものに思える。
だから、責任感のあるガンバファンは、無責任なガンバファンが水風船を投げているのを見かければ、彼(または彼女)を叱責して欲しい(「または彼女」と書いたのは、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズの首謀的人物が女性であったことがよく知られているからだ)。
トラブルメーカーには勇気を持って意見を言い、必要とあれば彼(または彼女!)を当局に突き出そう。何かしよう――このような自発的な行動が問題の予防に大いに役立つのだ。

Jリーグが公認サポーターグループの代表を招集し、たとえば鹿島ホームでのレッズ戦あるいはガンバホームでのレッズ戦といった舞台でのエスカレーションを避けるためにとるべき行動をアドバイスするのも悪くはない。埼玉でのあのシーンが日本でのフーリガン行為の始まりではなく、終わりとなるように願おう。もっとも、この問題が済んだことだとは、私にはどうも思えないのだが…。

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厳しい環境で成功を手にした松井

2008/05/19(月)

2008年5月16日:キリンカップ、そしてワールドカップ予選までのあいだ、誰がニュースの主役になるか、なんてことは聞くまでもない。当然、それは中村俊輔だ。バーレーン戦では、彼の持つセットプレーと大舞台での経験がないことが日本代表に大きく響いた。
そして海外組のもう一人、メディアへの露出が増えるであろうと私が期待しているのが松井大輔だ。

フランスのルマンで大活躍している京都の“紫王子(パープル・プリンス)”は岡田ジャパンのキープレーヤーとなるかもしれない。私が感心するのはそのプレーだけではない。それ以上に、2004年にフランスへ渡って以来、いかに彼がフランスでの生活に馴染んだか、である。
正直なところ、フランスは住みやすい国ではない。他のヨーロッパの人間にとっても、言葉は難しいし、街も非常に異質、ときとして排他的だ。そんななか、ヨーロッパでイングランド、スペイン、イタリア、そしてドイツの4大リーグに続く5番目のフランスリーグで名声を得た松井は素晴らしい。

2000年の京都入団から彼を見てきた人たちのなかには、フランスでの成功に驚いている人もいるかもしれない。もちろん技術的にも優れているし、観衆を魅了する華やかさも持ち合わせている。しかし少々目立ちたがり屋で独りよがりなところもあった。
1998年当時、フィリップ・トルシエ監督が小野伸二について感じていたのと同じように、ピム・ファーベーク監督も京都で松井が受けていたスーパースター扱いにフラストレーションを感じていた。スピードがありフィジカルなアフリカ人プレーヤーの多いリーグで生き残るために、松井は自身のスタイルに鋼の身体と規律を加えなければならなかった。

岡田監督が4−4−2を採用する場合、後方に優れたディフェンダーを配置すれば、松井は左サイドMFとして最適だ。残念だが中田浩二に出番はこない。しかし、おそらく松井にとってベストのフォーメーションは3−4−2−1。センターフォワードの後ろに置いて守備的な役割を軽減してやれば、松井は2人のシャドウストライカーの1人になれるだろう。いずれのポジションでプレーするにしても、松井は日本代表の攻撃陣に必要とされるペースを与えてくれるに違いない。

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二兎を得るのは大変

2008/05/15(木)

2008年5月13日:数年前のシーズン中に、岡田武史氏がJリーグとアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の両方を同年に勝ちとることの難しさについて述べていた。「二兎を得ようとするようなものだ」と当時横浜F・マリノスを率いていた岡田元監督は表現した。それぞれの兎が別々の方向に逃げて行くため、それを追う者は二兎の動きを見ながら、どちらを狙ったらいいのかを選択しなければならないのである。

昨シーズン、浦和レッズは狙うべき兎をはっきりと定め、ACLという兎を得ることができたが、そのためJリーグに集中することが難しくなり、結果的に失速、僅差で優勝を逃すことを余儀なくされた。現在は、昨季の浦和の失速により恩恵を受けたチーム、鹿島アントラーズが同じような立場にある。
2007年にJリーグ優勝という兎を得たチームは、今季のリーグ戦では首位に8ポイント差をつけられているが、ACLではベスト8の座を確保するために奮闘している。ガンバ大阪がすでに1次リーグ突破を決め、シードされている浦和に続いてJリーグでは2つめの準々決勝進出チームとなった。アントラーズも1次リーグ突破はかなり有望だが、クリアしなければならないハードルがもう1つ残されている。つまり、ヴェトナムでの最終戦を勝ち、北京国安に引導を渡す必要があるのだ。

ホームでヴェトナムのナムディンを6−0で破っているのだから、勝点3を得られなければそれこそ大番狂わせということになる。だが、とにかくこの5月21日のアウェー戦をなんとかものにし、リーグ戦突破を確実なものにする必要がある。
NACK5で大宮アルディージャと引き分けたあと、オズワルド・オリヴェイラ監督は、「2つのチームを用意してこのような厳しいスケジュールに対処するのが理想的である」と語った。移動、環境とコンディションの違い、それから日本への帰国を手ぐすね引いて待ち構えている手強いJ1のチーム。2つの戦線で戦う際には、とりわけこの最後のファクターが重要である、とオズワルド監督は言う。他のJ1チームはJ1での戦いだけに焦点を絞り、十分に準備することができるからだ。

もっとも、オズワルド監督は言い訳をしているのではない。まったく違う。彼は、二兎を追うことの難しさを示した、岡田理論を詳述しただけである。もしアントラーズがガンバに続いてベスト8入りを決めれば――つまり、準々決勝に日本の3チームが進出し、同じ国のチームの対戦が避けられるように抽選されるため3チームがベスト4に入るチャンスが生まれるようになれば――少なくともチームを再編成する時間を持てるようになるだろう。
さて、そうなったとき。オズワルド監督はどちらの兎を追いかけ、捕まえようとするのだろう?

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ジェフ・メモ 〜ミラー監督就任〜

2008/05/12(月)

2008年5月10日:2008年、埼玉スタジアム2002はJリーグの監督たちの墓場と化しつつある。
埼玉での試合に負けた翌日にクビになった監督は今のところまだ2人。そう言うのは少々大げさかもしれない。しかし監督たちを包むムードは不気味なほど似ている。
1人目は新シーズンが始まってわずか2試合、ホームでグランパスに敗れた後にクビとなったホルガー・オジェック監督。そして今週、ヨジップ・クゼ監督が2人目となった。クゼ監督は勝点を2しか挙げることができず、就任からわずか11試合で去ることとなった。

その翌日の木曜日、ジェフはその後任としてアレックス・ミラー監督の就任を発表した。彼はジェフをJ2降格から救うためにアンフィールドを後にしたのだ。ミラー監督にはもちろん自身の考えがあるだろうが、オジェック監督の後を継いでレッズの監督に就任し、チームをリーグ首位に導いているゲルト・エンゲルス監督の言に注意深く耳を傾けると良いかもしれない。

正直なところ、エンゲルス監督には良い選手、より大きく、より経験のある選手が揃っている。しかしながら、彼の観察力によるものも大きい。エンゲルス監督の最初の仕事は、選手たちが楽しく練習し、試合を楽しみにできるよう、チームのムードを変えることだった。そう彼は語っている。さらに、よりダイレクトでストレートに、ピッチを右往左往しないプレーをチームに心がけさせた。

ミラー監督がまずはじめに気づき、間違いなくウンザリするのは、日本人選手が危険なエリア、例えば自身のペナルティエリア付近でもショートパスを多用することだろう。これがうまくゆき、チームが危機を脱することができれば、観ていても楽しい。ただチームが自信喪失状態にある時には自殺行為に近い。ミラー監督は最初に、チームに安全なプレーをするようにと言うはずだ。つまり、エリア内でボールを繋ぐより、ボールを外へ蹴り出し逃げろということである。これは非常にイギリス的に見えるかもしれない。しかし同時に、そうした追い詰められた状況では非常に現実的かつリスクが少ないのだ。

もう1つ、エンゲルス監督のポイントを上げるとすれば、それは固定されたフォーメーションを作ったこと。それにより選手たちはそれぞれ自分の役割を理解し、交代が必要な時でも途中出場の選手がプレーしやすい。なんだか、トルシエ監督の声が聞こえてきそうだな…。
クゼ監督は、シーズン開始から4−5−1を使おうとしていた。しかし故障者の多さと戦略的崩壊で、システムどころかチームを固定することができなかった。自信を喪失し、故障者の多いチームを率いてスタートするミラー監督も、同じ悩みを抱えることになるだろう。とはいえ、ミラー監督には多少時間がある。13節を終え夏の中断期間に入るまで残りホームで2試合。他のチームから遅れること4ヶ月。ジェフのシーズンが一から始まるようなものだ。

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フクアリの呪いを打ち破れ

2008/05/08(木)

※ジェフ千葉は7日にヨジップ・クゼ監督の解任を発表していますが、本コラムは同日早朝に書かれたものです。あらかじめご了承ください。

2008年5月7日:現在のジェフユナイテッドの惨状をいかに表現すべきか。勝点の満点が33なのに対し、実際に得た勝点は2。マスコミではすでに監督の去就が大きく取りざたされ、舞台裏では新選手をテストし獲得しようとする必死ながらも実りのない努力が進行している。

それでも変わらないのは、千葉の忠誠心溢れる人々からのサポートである。
火曜日の埼玉スタジアム2002には、このような人々が数千人集まった。アウェーチームのスタンドを埋め尽くした黄色のサポーターの数は、初期の頃に市原臨海競技場に集まっていたその総数より多いくらい。
オーストラリア出身のセンターバック、エディ・ボスナーは言う。「僕がこれまでプレーしたクラブのなかでも、最高のサポーターだ」。
「ディナモザクレブでこんな成績なら、外で食事することもできないだろうね。絶対に無理。でも、このクラブには…素晴らしいサポーターがいる」
だが、もっとも気の毒なのがジェフのサポーターであることも確かだ。寄る辺となっていたオシム・ワールドが崩壊し、廃墟のなかに取り残されてしまったのだから。

私の見通しはごく少数派のものではあったが、正直言って、シーズンはじめにはこれほど事態が悪化するとは思っていなかった。
もちろん、レギュラーとして確固たる地位を築いていた水本、水野、佐藤、羽生、山岸の5人を失ったのは痛かったが、斉藤−下村−巻のバックボーンは残っていたし、それらの選手をサポートすべきオシム時代のベテラン、ハングリーな新獲得選手、そして右サイドバックの松本、中盤の米倉に代表される印象的な若手、さらに外国人選手も揃っていた。
また、等々力で快勝したナビスコカップの初戦も観ていたので、私は、ジェフはそこそこやれそうだと思った。

ただしリーグ戦では、フクダ電子アリーナの呪いがまたも襲い掛かった。シーズンの流れを決めたのは、ホームでのヴィッセル神戸戦だったと思う。この試合、ジェフは1−0とリードしたままロスタイムに入ろうとしていたが、鈴木規郎の1発のロケット弾によってすべてが台無しに。1−1の引き分けに終わったのだ。
ジェフがその試合をなんとか凌ぎきり、リーグ戦で4位の座と勝点3を死守していたなら、以降は順調に波に乗り、さらに成長することができていただろう。心からそう感じている。
いまは、シーズン当初のようなきびきびした動きが見られなくなっている。レッズに0−3で敗れたあとのキャプテンの下村は、まるで打ちひしがれた人だった。
自信を失っている、というのが下村の言葉。昨シーズンと比較すると攻撃時のボールを持った選手へのサポートが少ないので、ジェフはまるで10人でプレーしているようだった。また、レッズがボールを持ったときにも、ジェフは10人でプレーしているように見えた。横浜F・マリノスに敗れた(0−3)後には、選手同士の口論があり、キャプテンの自分が割って入ったとも下村は言っていた。

問題は山積しているが、私は今でも、ジェフにはこの状況から脱出してJ1に残留するだけの力があると思っている。夏の長い中断期間に入る前に、ジェフには2つのホームゲーム――相手は京都と大分――を控えている。そこで勝点6をあげれば、ジェフは息を吹き返すだろう。
そして、もしフクアリでまたも(これまでのように)躓くようならば、ジェフに必要なのは新監督ではなく、祈祷師(エクソシスト)かと思われる。

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朴智星、縁の下の力持ち

2008/05/05(月)

2008年5月2日:アレックス・ファーガソン卿は言う。5月21日に行なわれる欧州チャンピオンズリーグ決勝、チェルシー戦のメンバー表のトップにはポール・スコールズが来るだろうと。では京都パープルサンガで頭角を現し、今やオールドトラフォードでも人気を誇るMF朴智星はどうなのだろう。
バルセロナを破った準決勝での活躍で、朴はおそらくモスクワでの決勝ではスターティングメンバーに入ってくるだろう。
もう一度言おう。圧倒的な運動量で攻撃でも守備でもバルサを翻弄し続けた朴は、マンUの縁の下の力持ち。チームの公式サイトで、彼が“勤勉”とか“肺が破裂する程の活躍”と言われる所以だ。彼こそアジアサッカー界の誇り。韓国にとって、Jリーグにとって、そして京都パープルサンガにとって。

彼はプロ意識を持ちつづけ、常にベストのプレーを忘れない。飾りもトリックもない、ただ堅実にプレーする。精神力も強く、正しいプレーを選択する能力に長けている。
プレーだけでなく、それは彼のキャリアについても同じことがいえる。朴はKリーグでプレーせず、2000年6月に京都パープルサンガに入団。良き師フース・ヒディンクを追って2003年1月にPSVアイントホーフェンに移籍した。そこで欧州CL準決勝のミラン戦での活躍するなど地位を確立した後、2005年7月にファーガソンに請われてマンUに移った。以来、深刻なひざの故障と戦いながらも成長を続け、いま再び桧舞台を迎えようとしている。

AFCが4月22日に発表した候補者リスト21名の中には、朴の名はなかった。アジアサッカー連盟にはいま一度、2008年の年間優秀選手の候補者リストに彼を入れる事を望む。そもそも、11月発表の賞の候補者を4月に発表しなくてはならないのか。理解に苦しむところだ。
AFCのメインの大会、アジアチャンピオンズリーグだって、ようやく盛り上がり始めたところ。最優秀選手など、誰にも予想できないだろう。

だが、私にアジア最優秀選手の話はさせないで欲しい。今年のこれまでの活躍を見る限り、朴は私のリストの中に入っている。そう、たった一人のリストにね。

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レッズを生き返らせたのは、やっぱり闘莉王

2008/05/01(木)

2008年4月30日:ゲルト・エンゲルス率いる浦和レッズが劇的な復活を果たしているが、その最大の要因の1つは、ディフェンダーからミッドフィルダーに転向した田中マルクス闘莉王の活躍である。闘莉王を前に配置するのは当初、彼のエネルギーと積極性でチームに刺激を与えようとする、応急的な処置のように思えた。
しかしこの策が成功しているため、闘莉王はまだしばらく中盤の中央でプレーする可能性が高い。ご難続きの鈴木啓太がウィルスと数キロの体重減と戦っている現状では、なおさらである。

レッズはシーズンの早い時期に立ち直りのきっかけを必要としていたが、闘莉王がそのリーダーシップ、他の選手の良い部分を引き出す能力、そしてピッチにおける空中戦の強さによりチームを立ち直らせた。
火曜日の埼玉スタジアム2002でのコンサドーレ札幌戦、4−2という慌しい展開の試合をモノにしたチームのなかでも、闘莉王の働きは際立っていた。レッズでは、闘莉王は高原やエジミウソン以上に危険な選手。レッズを止めたいのなら彼を自由にプレーさせてはならない。コンサドーレの三浦俊也監督はそう認識していた。

「フリーキックのときにどのディフェンダーがマンツーマンでマークしても、闘莉王にはまったくかないませんでした」と三浦監督。
「これが、J2とJ1の大きな違いですね。J1では、コーナーキックやフリーキックの精度が高く、どのチームにも空中戦が得意な選手がいます。新潟の矢野とか、鹿島の田代、それから浦和の闘莉王…」。

コンサドーレ戦で、闘莉王は今季リーグ戦5ゴール目を記録した。アウェーチームのディフェンス陣をなぎ倒しながら、梅崎の左サイドからのコーナーキックをヘディングでファーポストに決めたのだが、コンサドーレにはなす術がまったくなかった。

しかし試合終了後も長く議論の対象になったのは、無効となったゴール、つまり0−1で追いかけていたレッズの前半19分における幻のゴールの方だった。そのときもやはり、梅崎から完璧なパスがきた。梅崎はフリーキックでシュートを狙っていたが、ファーポストに闘莉王を見つけてキックの角度を変更。驚異的なジャンプをした闘莉王には、ジャンプの途中で高原に気づいてボールを折り返す余裕があり、高原が流れるような動きでそのボールを見事にシュートした。素晴らしいゴール、みんながそう思った。スタジアムのスコアボードのオペレーターもそう思ってスコアを1−1にしたし、スタジアムのアナウンサーもゴールだと思った。しかし、その後に闘莉王のオフサイドが宣告されたのである。

ここで注目すべきは空中戦における闘莉王の勇敢さではなく、彼の試合勘であるのは言うまでもない。ホルガー・オジェック前監督は、闘莉王の両足を使ったパスレンジの広さを、ドイツを代表するフルバック、アンドレアス・ブレーメに例えていたくらいだ。エンゲルス監督は、闘莉王は現在の中盤のポジョションでもバックのときと同じように代表レベルのプレーができると確信している。だが代表レベルかどうかは私には関係ないことだ、とも語っていた。
それを判断するのは日本代表チームの岡田武史監督の仕事。緊張感に欠ける彼のチームにも、バーレーンでの失速から立ち直るための刺激が必要だ。闘莉王が日本代表の中盤の中央を務めるのか? 日本代表監督にとっては、キリンカップまでに考慮すべき価値のある選択肢であることは確かだろう。

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