岡田監督――JFAの安全で理に叶った選択
2007年11月30日:“安全で理に叶った”というのが、実践主義者、岡田武史氏のコーチング哲学を表す二つのキーワード。そして彼がJFA(日本サッカー協会)にとっての“安全で理に叶った選択”だった。これが、岡田氏をイビチャ・オシム監督の後任として指名したというニュースを聞いて受けた印象だ。
もちろん岡田氏には1998年フランスワールドカップ(W杯)で日本代表を率いた経験がある。第一線(トップレベルの監督)から長く離れ、来年2月に始まる2010年南アフリカW杯予選にむけて十分リフレッシュし、準備は万端だろう。
97年、加茂周監督のアシスタントコーチを務めていた岡田氏はアジア最終予選、アウェーでの2連戦で更迭された加茂監督の後を受け監督に昇格した。彼はチームを生き返らせ、韓国で大きな勝利を挙げ、ジョホールバルでの忘れえぬ一夜、イランとのプレーオフで日本代表を勝利に導いたのだ。今回もまた、彼は途中から大役を受け継ぐことになる。しかも脳梗塞で倒れたオシム監督の後という衝撃的な状況下。倒れる以前のオシム監督は、新たなスタイルを確立しチームを順調に立て直しているところだった。岡田氏の仕事は、チームのムードを保ちつつ、彼なりのタッチをチームに加えることだ。
横浜F・マリノス監督時代の経験から、岡田氏はJリーグの選手達、そしてヨーロッパ組の選手について熟知している。そう、彼はまさに安全で理に叶った選択なのだ。JFAは今さら外国へ目を向ける必要はない。他にも西野監督やオジェック監督といった適任者がいる。後者のオジェック監督には、日本語の話せるエンゲルス・コーチがピッチでもミーティングルームでもサポートしてくれる。
世界のサッカー界同様ショックを受けたJFAにとって岡田氏はまさに適役だったのだろう。最後にもう一度言おう。彼はJFAにとって“安全で理に叶った”人選だったのだ。
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