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柏でのずぶ濡れの午後

2007/11/01(木)

10月30日:PK戦はくじ引きのようなもの。なんて言ったのは誰だ? その人は土曜日の午後、レイソルがホームにヴィッセル神戸を迎えた、日立スタジアムにいなかったのだろう。あの試合こそ、くじ引きと呼ぶべきものだった!
あれはサッカーじゃない。間違いなく。どちらかと言えば、プレー不可能なピッチでの水球だ。
私は午後12時30分、キックオフの90分前にスタジアムに到着したのだが、根性の据わったイエロー・モンキーズはすでにゴール裏の場所に集まり、即席の青いカバーの下で雨を避けていた。用意周到。豪雨の影響をなくそうと大型のローラーが勝ち目のない戦いに臨み、キックオフに備えて投光照明が厚い雲の下で光り、どしゃぶりの雨は…さらにひどくなっていた。

試合を順延する国も多くあるのだろうけれど、私自身は、「やればいいじゃん」という考え。どちらのチームも条件は同じだし、グラウンドには9,000人ほどのファンがいた。テレビ中継も待機していた。放映予定となっている試合の延期の手配など、考えられない。

実際、試合が始まってみると、それはなかなかの見ものだった。良いパスがひどいパスに変わり、ひどいパスが良いパスになった。選手たちは頭を使って環境に順応し、技術を修正しなければならなかった――溺れる危険があるにはあったが。
結果的には、ヴィッセルの方がより順応力があった。水のなかでの動きをよく心得ているヴィッセルは、ヴェッセル(vissel:「船舶」の意味)と改称してはどうだろう。

とりわけ巧かったのがレアンドロ。このブラジル出身のフォワードは、パスしたボールが自分の目の前で止まってしまうような状況に素早く対処した。ボールが泥んこのなかで止まり、ディフェンダーが対処できなくなることを見越し、ボールをよく追いかけていた。
レアンドロの最初のゴールは、古賀誠史――神戸の松田浩監督が望んだ彼の獲得は大成功だった。左サイドのバランスがとれ、大久保が中盤を縦横に動けるようになった――からの見事なクロスに合わせた、きれいなヘディングシュート。2ゴール目は、環境をよく考えた素晴らしいもので、小さな振りで南の背後にボールを運んだチップシュートだった。

ただし、レイソルのブラジル人FWフランサには、同情を申し上げる。この芸術家は、台風が残したずぶ濡れのカンバスにも傑作を描こうとしていた。

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