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2007年11月

“怖いものなし”の横浜FCの怖さ

2007/11/29(木)

11月27日:シーズン最終日になってもJリーグ王者が決まっていないという状況を、誰が想像しただろう? レッズが早い時期に決着をつけ、12月の第2週に予定されているFIFAクラブ・ワールドカップに備えるものと思われていた。しかし、シーズン最終週になってこの状況。2連覇を確実なものにするためには、レッズはもう1つ勝たなければならないのである。もちろん、世評ではレッズが土曜日の日産スタジアムで横浜FCを破ると見られている。
だがJリーグのシーズン最終日には――とりわけ、あのスタジアムでは――、何が起こっても不思議ではないということを、我々は知っている。それを最もよく知るのが、久保竜彦である!

横浜FC側から試合を見てみよう。彼らにとって今回の試合は、悲惨なシーズンを盛り上げて締めくくり、J2に戻る前の冬の数ヶ月を良い気分で過ごせる材料をファンに与えることができる、願ってもない機会だ。
失うものが何もない横浜FCに対し、レッズは優勝だけでなくプライドまで、すべてを失うことになる。結局のところ、アジア・チャンピオンズリーグで優勝したがために、レッズは全てのライバルにとって魅力的な標的になってしまった。これは余分なプレッシャーではあるが、今後のレッズはこのようなプレッシャーとうまく付き合う方法も学ばなければならない。

ワシントンが土曜日のアントラーズ戦で退場処分を受けていたら、レッズにとって事態はより厄介なことになっていたかもしれない。前半の新井場に対するレイト・チャージで警告処分を受けたあとも、後半には曽ヶ端とルーズボールを追いかけ、曽ヶ端に躓いたような格好で倒れた場面があった。

ワシントンがシミュレーション――はっきり言えば、ダイビング――により警告を受けるかどうかは微妙な場面だったが、レフェリーが彼にイエローカードを突きつけ、その後レッドカードを突きつけても、私はまったく驚かなかっただろう。ワシントンが躓いた演技をし、空中で体をひねったのは明らかだ。しかし、PKをアピールしなかったことが幸いしたのだろう。おそらくワシントンは倒れてから正気を取り戻し、立ち上がってプレーを続けようと決めたのだと思う。あまり欲張ると報いが来ることを理解したに違いない。

いずれにしろ、アントラーズの選手たちが怒り狂っている姿を見られたのは良かった。正直言って、相手選手がダイブをしてPKあるいはFKを得ようとしているのに対して怒り狂う選手を見るのが、私は大好きだ。日本ではまだこのような姿が充分に見られていない。私はそう思っている(ダイブする姿はうんざりするほど見ているが)。

相手選手がレフェリーを欺こうとする、誰かを警告あるいは退場にしようとしていると感じたときは、そのままを言ってやればいいのだ! お前はうそつきだ、と言ってやればいい。グラウンドにいる全員に、ヤツが嘘つきだと知らせてやればいいのだ。狼狽させ、恥ずかしい思いをさせてやればいい。そうすれば、その選手は二度とそんなことはしないだろう。まあ、少なくとも次の試合までは……。

レッズ対アントラーズ戦の総評を言えば、アントラーズの徹底的にプロフェッショナルな、かつてのようなパフォーマンスが見られた。野沢の見事なゴール。闘莉王のハンドに対するレフェリーの慧眼。最初は厳しすぎるように見えたが、判断を的確だった。しかし後半、アントラーズのゴール前にいた相馬は、どうして、どうして得意の左足でシュートを打たず、ワシントンにパスしようとしたのだろう?

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陰のヒーロー、青山敏弘

2007/11/26(月)

11月23日:成功しているチームには、スターの存在がつきもの。しかし、U−22(22歳以下)日本代表の場合はどうだろう?
「チーム自体がスターなのだ」。かのフィリップ・トルシエ元日本代表監督なら、誇らしげにそう言うに違いない。北京五輪の出場権獲得が最大の勝利であると位置づけられたこの年代の選手たちにとって、それは言い得ている。

しかしながら、スター選手がいないというのはそれほど悪いことなのだろうか? このチームには賞賛に値する陰のヒーローが何人もいる。
あえて一人を選ぶとすれば、私はサンフレッチェのMF青山敏弘を挙げたい。なかでも9月に行なわれたホームでのカタール戦(1−0)の勝利は、途中出場した青山敏の貢献が非常に大きい。彼は見事な使命感と読みでタックルあるいはインターセプトを繰り出し、カタールの攻撃を寸断した。派手さはないが、これぞ集中力と練習の成果だ。

そして水曜の夜、サウジアラビアの決定的チャンスをゴールラインでブロックし、日本代表を救った。あの早い時間帯に得点を許そうものなら、結果はまったく違ったものになっていただろう。そうなればサウジアラビアはリードを守ることに努め、スポーツマンシップやサッカーのプレーは欠如し、茶番劇と化していたと思う。5分毎に担架が運び込まれ、GKも、CKやFKがサウジのゴールエリアに蹴りこまれる度に倒れこんだことだろう。日本にとって、先制点を奪われることは許されなかった。
そう、青山敏の貢献は日本チームだけでなく、試合そのものを救ったのだ。このほか細貝も、彼と並んで中盤でチームに堅固さ、経験、そして活力を与え、良いプレーをしていた。今シーズン、レッズの好調で大きな自信を得たようだ。

北京五輪の出場権獲得は大きな成功と言えるが、チームとしての完成にはまだ遠い。反町監督はそれを誰よりもよく理解している。だが反町監督にはまとまりのあるチーム、努力を惜しまないチーム、そして予選を通して大きく成長しタフになったチームがある。だからこそ、たとえスターがいなくとも十分なのである。

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すぐそこ、でもまだはるか彼方

2007/11/22(木)

11月20日:北京オリンピックまで、あとたったの1勝――あるいは1引き分け――。水曜夜に国立競技場で行なわれるサウジアラビア戦を前にした、日本代表の状況だ。そう、オリンピックは手が届きそうなほど近くにあるが、サウジアラビアも勝てば出場権を手にできるため、出場決定までの道のりは長い。
水曜日の試合を、張り詰めた魅力的なものにするお膳立てはすべて整った。数ヶ月にわたる予選が、カップ戦の決勝のような形――勝者がすべてを手にする試合、今回の日本は引き分けでもすべてを手にできる――に凝縮されるのである。

カタールでの敗戦後、日本はベトナム戦で見事に立ち直り、実力と経験の違いを見せつけ、そしてゴールを量産して鮮やかに勝利した。
反町監督は、4ゴールを挙げた攻撃陣を賞賛した。4ゴールのうち2本はレイソルの元気溢れる李が、1本はペナルティ・スポットから本田が、もう1本は細貝が見事なヘディングで決めた。

この試合、反町監督は守備的MFを青山(広島)1人にするというリスクを負い、攻撃が好きな広島のチームメート柏木と組ませた。右の水野と左の本田が中盤にバランスと深みを与え、李と走力のある岡崎が攻撃を引っ張った。
最初のゴールはセットプレーからディフェンスのミスによってもたらされたものだったが、2点目は本田の巧みな素晴らしいクロスを李がしっかりと合わせたもの。彼にとってはこの夜2つめのゴールだった。
李はピッチ内外で特色と個性を発揮しており、Jリーグでの私のお気に入りの1人であるフランサをお手本に、自身の特長をアピールする方法をしっかりと学んでいるようである。

もちろん、水曜日の「決勝戦」に向けて日本は有利な立場にある。しかし守備を固めて、引き分けを狙ったプレーをするのは自殺行為だ。日本はまずそうしたプレーはしないと確信している。そう、先制点がおそろしく重要な意味をもつからだ。
日本は非常にクレバーで成熟したプレーで試合を支配し、勝利を焦って攻めすぎてはいけない。ときにはカウンターの機会をじっと待つというな、メリハリのきいた試合をしなければならない。

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“レッズ対ロッソネーリ”有意義な一戦となるか?

2007/11/19(月)

11月16日:水曜夜の埼玉スタジアムでは全てがうまくいき、浦和レッズはアジアチャンピオンに輝いた。そして来月行なわれるFIFAクラブワールドカップ(W杯)ですべてがうまく運ぶと、この国のサッカー史上最も魅力ある試合を戦えることになる。
12月13日木曜日、レッズは横浜の日産スタジアムでACミランとクラブW杯の準決勝で対戦するかもしれないのだ。まさに、この国にとって期待の一戦だろう。

世界のトップチームと日本のチームの公式戦。それも練習試合や親善試合でなく優勝を競う一戦、世界が注目する一戦、日本のサッカーにスポットライトが当たる戦いなのだ。もちろん、レッズとロッソ・ネーリ(イタリア語で「赤と黒」。ミランの愛称「ロッソ・ネロ」の複数形)の対戦はまだ決まっていない。彼らはまず、ニュージーランドのワイタケレ・ユナイテッドとイランのセパハン(皆さんの記憶にもまだ新しいはず)によるプレーオフの勝者に勝たなければならない。

アジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝以前から、セパハンのクラブW杯出場は決定していた。レッズは、ACLで勝てばアジアチャンピオンとして、負ければ同一サッカー協会から二つのチームが出場することを禁じたFIFA(国際サッカー連盟)のルールに従い開催国としてプレーオフに出場するというわけだ。

2−2で引き分けた後、アウェー・ルールによりフィジーのバを破ってオセアニアチャンピオンになったキウィズに、セパハンは間違いなく勝つだろう。しかし、ACL決勝でセパハンを下したレッズが、再び彼らに勝てるというわけでもない。準決勝でミランと戦うのは、どのチームにとっても魅力的なのだ。
12月10日の月曜日、豊田スタジアムでセパハンあるいはワイタケレと戦うレッズは、なんとしても勝たねばならない。おそらく、何千というレッズファンが名古屋へ向かうことだろう。彼らのACL制覇を受け、レッズという“ブランド”は国内に広がったに違いない。つまり、レッズは強力なサポートが得られるのだ。
すでに11月も半ば。しかし、今シーズンの終わりはまだ遠い。

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J2マラソンの先頭走者コンサドーレ

2007/11/15(木)

10月13日:超重要な試合が目白押しの今日この頃、このコラムの書き出しをどうするのかも悩むところである。というわけで、今回は上位の話題から始めることにしよう。J2の上位の話題から。

前大宮監督である三浦俊也監督の指揮の下、コンサドーレ札幌は長い長い昇格レースのゴールに近づきつつある。48試合のうちの46試合を終え、コンサドーレの勝点は87。2位のヴェルディとは2ポイントの差がある。3位は、45試合消化で勝点81の京都サンガF.C.で、その下にベガルタ仙台(45試合消化で勝ち点80)とセレッソ大阪(45試合消化で勝ち点78)が続いている。
規定では、上位2チームが自動昇格し、3位がJ1で16位のチームと入替え戦を行なうことになっている。日曜日には札幌ドームで、首位コンサドーレと3位京都の上位対決が行なわれる。

先日、絵に描いたような美しさのコンサドーレ宮の沢練習グラウンドで“青年トシ”を取材した。グラウンドの一方の側にはチューダー様式の家と、何かと話題のスポンサー・石屋製菓が所有するピンクのチョコレート工場があり、その向こうには山々と風車。まったくうっとりする環境だ。とりわけ、北海道の早い冬に明るい陽光が差し込んでいる景色は申し分がない。

開幕直後にリードを奪って大差をつけたのだが、後続の集団がじわじわと迫る。チームは現在、必死に逃げ切ろうとしているマラソン・ランナーのような状況に置かれているのに、監督はリラックスしているようだった。
「ここでの暮らしが気に入っています。ストレスがないですからね」。練習を終え、グラウンド内を1日8〜10キロ走る日課に入る前に、そう話してくれた。「岡田さんも気に入っていたようですよ」。
「岡田さん」とは、もちろん1998年の狂乱のあとに札幌に避難した岡田武史のことである。

シーズン開幕前、正直言って私はヴェルディや京都、仙台、セレッソ、ベルマーレ、アビスパといったチームが揃うリーグで、コンサドーレに昇格のチャンスが巡ってくるとは思いもしなかった。
「私も。驚きましたよ」とトシは言う。「1年目のシーズンは3位か4位で上出来。来シーズンに昇格を狙える位置にいたいと思っていました。しかし5月からずっと首位に立っていて、選手たちはそうした状況にもうまく対処しています。毎日、一生懸命やっている」。

札幌の選手たちは、あともう少し一生懸命のプレーを続けなければならないだろう。日曜日の京都戦後、コンサドーレはシーズン最終日まで試合がない。最終日の12月1日、コンサドーレはまたもホームで、最下位にいる水戸ホーリーホックと対戦する。

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また一つ、ガンバの賢明な策

2007/11/12(月)

11月9日:ガンバ大阪は、よほどツボを心得ていると見える。そしてそれは、外国人選手の獲得法に現れている。シジクレイ、マグノ・アウベス、そしてバレー、ガンバはすでに日本のチームで結果を出し信頼も勝ち得ている選手を獲得する。リスクはない。

そして今度は、西野朗監督との契約を2009年のシーズン終了まで、2年間延長した。それも、1年ではなく2年の延長というところが賢明だ。万が一、日本サッカー協会(JFA)が西野監督を代表監督として指名した場合、ガンバはそれなりの補償を要求することができる。これはもちろん、オシムジャパンがうまくいかなかった場合だ。
とはいえ、私はオシムジャパンがうまくいかないと言っているのではない。オシム監督の下、日本代表はうまく軌道にのっていると思う。しかし、この世界では何が起こるかわからない。かのジョゼ・モウリーニョ氏も、言うだろう。

西野監督は間違いなく、JFAの次期監督候補リストの筆頭にいる。
2005年のリーグ制覇、そして今度はナビスコカップを制し、ガンバはリーグのトップチームとしての地位を確立した。ユースチームにも確固たるポリシーがあり、チームに貢献できない選手には決してお金をかけない。

FC東京の守備の要・今野が、この冬に吹田へ行くのではないかという噂が流れている。FC東京ファンにとっては受け入れがたい話だが、ガンバにとってはこの上なく素晴らしいものだ。
今野は明神のように頑強で頼り甲斐があり、自身の持つ全てをチームに捧げ、前へ前へと引っ張っていくタイプの選手だ。この、柏レイソルのかつてのスター・明神について、フィリップ・トルシエ元監督は以前、「自分のパーフェクトチームには、8人の明神と他の3人の選手がいれば良い」と最大の賛辞を述べている。
明神は毎試合、10点満点中7点の活躍をしてくれる。決して6点ではない。トルシエはそう言った。

今野も同じくらい、いや、彼はそれ以上だ。実際、今野には10.5点をつけても良いと思うことがある。シーズン開幕当初の私の優勝予想は、ガンバだった。
残り4試合。彼らのチャンスは遠のいたように見えが、しかしこれはガンバが落ちたというより浦和の意志の強さと層の厚さによるところが大きい。ガンバも、それはよく理解している。だからこそ、西野監督と新契約を結んだのである。

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ガンバのニューヒーロー、安田

2007/11/08(木)

安田理大にとっては、この上ない週末だ!
実際には、この上ないシーズン。19歳のこのレフトバック/ウィングバックは、クラブで、そして(少なくとも年齢別の)代表で、まさに頭角を現したのである。イビチャ・オシム監督が彼をフル代表に昇格させるのも、間違いなく時間の問題だろう。
代表チームには、生まれつきの左利きの選手が必要なポジションが空いている。現在、オシム監督には加地と駒野という堅実なライトバックが2人いるが、駒野はそのポジションでの秀でた候補者が不足しているために、左サイドでのプレーを余儀なくされている。

私は今もマリノスの小宮山が好きで、彼は注目に値する選手であると考えている。だが、安田がガンバで台頭し、日本代表にも登用され、今年のカナダではU−20代表(20歳以下)でプレー。現在は、北京を目指すU−22代表(22歳以下)にも入るようになった。
安田はスピードがあり、前線に駆け上がるのを好む。これは多くのレフトバックに見られる傾向。ロベルト・カルロスやアシュリー・コールが頭に浮かぶが、安田のプレーを見て私がいつも思い出すのは、元イングランド代表のレフトバック、グレアム・ル・ソーである――左サイドを貪欲に動き回る「せわしなさ」がそっくり。

話を、数週間前に東京で開催された日本対カタールのオリンピック予選に戻そう。
私は、あの試合は安田を後半に起用する絶好の舞台だと思っていた。ただし、左バックの伊野波と交代するのではなく、伊野波の前で彼を助け、チームにバランスを与えることで、カタールの右サイドを下がらせるのだ。あの試合ではカタールの選手が伊野波を取り囲んでいた。ただし、10人の日本が1−0で勝利したから、最終的には反町監督の選択が正しかったことが証明されたのだが――。

ハノイで勝点3が必要となった状況で、反町監督は好調の安田を先発起用するかもしれない。ともかく、現在の安田はJリーグ・ナビスコカップのニューヒーロー賞を受賞し、さらに決勝戦では決勝ゴールを挙げMVPにも選ばれたのだ。いまは自信満々に違いない。

ナビスコカップの決勝では、安田は左サイドで堅実にプレーし、やる気に満ちているときには相手選手にとっておそろしく危険な存在となりえる――そうでないときには味方選手にとって危険な存在となりえる――フロンターレの変わり者・森と対峙していた。ゴールを挙げたとき、安田は一気に駆け上がり、適切なときに適切な位置――つまり森の前――にて、バレーの右サイドからの低いクロスに反応した。

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J1――上位に入るか下位に甘んじるか

2007/11/05(月)

11月1日:シーズン終盤に入り、優勝や昇格、降格とは無縁の中で多くのチームが戦っている。そうしたチームの1つが、ヴィッセル神戸。しかし松田浩監督には、今シーズンまだ達成したいゴールがある。
「我々の目標はトップ9位に入ることです」。柏に3−1の勝利を収め、目標達成に向け大いに意気の上がる監督はそう語った。
「Jリーグは上位9チームと下位9チームの2つに分かれます。シーズン当初の目標は、上位9チームに入ることでした。そして今、我々はその目標達成まであと一息のところにいる」。
確かに、ヴィッセルは30試合を終え勝点41で10位。4試合を残し、9位の横浜F・マリノスとのポイント差ははわずか2だ。

ヴィッセルは常に積極補強を行なってきた。柏戦にも、左サイドのMF古賀誠史や守備的MFのディビッドソン純マーカスといった途中移籍組が出場している。以前、本コラムで述べたように、古賀の獲得はチームにとって大きかった。彼は左サイドにバランスをもたらし、おかげでキャプテンの大久保はもっと前方でプレーできる。
大久保は本来、純粋のゴールゲッター。ディフェンスの間を走りまわりシュートを放つのが彼の役目で、左MFというポジションは合わないのだ。

松田監督は以前、アビスパの古賀はお気に入りの選手の一人で、彼とセンターハーフの千代反田をシーズン当初獲得しようと考えていたと語っている。また古賀について「彼はチーム一の天然の左利き」と評した。
ディビッドソンは大宮在籍時、昨季終了間際に三浦俊也前監督の信頼を失うまでは良いプレーをしていた。しかしアルビレックス移籍は功を奏さず、プレー機会も全くなかった。
柏戦では後半から、ミッドフィールドのアンカーとして――悪天候の中アンカーという言葉はピッタリだ――投入された。長期的な将来はまだ不透明だが、少なくとも彼は今、プレーできる環境にいる。

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柏でのずぶ濡れの午後

2007/11/01(木)

10月30日:PK戦はくじ引きのようなもの。なんて言ったのは誰だ? その人は土曜日の午後、レイソルがホームにヴィッセル神戸を迎えた、日立スタジアムにいなかったのだろう。あの試合こそ、くじ引きと呼ぶべきものだった!
あれはサッカーじゃない。間違いなく。どちらかと言えば、プレー不可能なピッチでの水球だ。
私は午後12時30分、キックオフの90分前にスタジアムに到着したのだが、根性の据わったイエロー・モンキーズはすでにゴール裏の場所に集まり、即席の青いカバーの下で雨を避けていた。用意周到。豪雨の影響をなくそうと大型のローラーが勝ち目のない戦いに臨み、キックオフに備えて投光照明が厚い雲の下で光り、どしゃぶりの雨は…さらにひどくなっていた。

試合を順延する国も多くあるのだろうけれど、私自身は、「やればいいじゃん」という考え。どちらのチームも条件は同じだし、グラウンドには9,000人ほどのファンがいた。テレビ中継も待機していた。放映予定となっている試合の延期の手配など、考えられない。

実際、試合が始まってみると、それはなかなかの見ものだった。良いパスがひどいパスに変わり、ひどいパスが良いパスになった。選手たちは頭を使って環境に順応し、技術を修正しなければならなかった――溺れる危険があるにはあったが。
結果的には、ヴィッセルの方がより順応力があった。水のなかでの動きをよく心得ているヴィッセルは、ヴェッセル(vissel:「船舶」の意味)と改称してはどうだろう。

とりわけ巧かったのがレアンドロ。このブラジル出身のフォワードは、パスしたボールが自分の目の前で止まってしまうような状況に素早く対処した。ボールが泥んこのなかで止まり、ディフェンダーが対処できなくなることを見越し、ボールをよく追いかけていた。
レアンドロの最初のゴールは、古賀誠史――神戸の松田浩監督が望んだ彼の獲得は大成功だった。左サイドのバランスがとれ、大久保が中盤を縦横に動けるようになった――からの見事なクロスに合わせた、きれいなヘディングシュート。2ゴール目は、環境をよく考えた素晴らしいもので、小さな振りで南の背後にボールを運んだチップシュートだった。

ただし、レイソルのブラジル人FWフランサには、同情を申し上げる。この芸術家は、台風が残したずぶ濡れのカンバスにも傑作を描こうとしていた。

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