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吉原宏太待望論

2007/04/09(月)

4月7日:大宮アルディージャのロバート・ファーベーク監督にとって、順調な滑り出しとはいかなかった。
この原稿を書いている時点で、チームはJ1で4戦全敗。しかし、ナビスコカップでは3試合を戦い2勝1分け。その引き分けの1試合は、寒く雨模様の水曜日に柏スタジアムで行なわれたレイソル戦(0−0)だった。

試合後、私はファーベーク監督から興味深い話を聞いた。
J1経験も長く、才能もありながらいまだその才能を十分に開花させていない選手、吉原宏太(29)についてだ。
レイソル戦では、吉原は4−4−2システムの右MFでプレーし、チームの攻撃にペースと広がりを持たせる良いプレーをしていた。
またディフェンスでも、彼がカバーする自陣サイド深くまで戻りタックルを繰り返していた。
試合終了まで20分を切ると、彼は森田と共に前方へ上がり、ボールをコントロールし相手DFからボールを守りながらゴール方向へ身体を向ける技術を見せた。
ファーベーク監督も、ようやく真の宏太が見えはじめていると感じているようだ。もちろんここに来るまでは容易な道ではなかった。

「彼とはグァムのトレーニングキャンプで2度ほど話し合ってね。もっと練習しなければだめだ、そうでなければ、キミはもう終わりだと言ったんだ」と、ファーベーク監督。
「それから、去年までのDVDをチェックしたことを話した。『DVDを見る度に、キミは良いプレーをしているし、良いストライカーだと思う。けれど私が監督になってからは、まだ一度もそれを見せてもらっていない。私が見たい宏太はDVDの中の宏太。今のキミは別人だ』とね」。

水曜日の彼のプレーをファーベーク監督も認めており、どうやら監督のメッセージは吉原に届いたようだ。
「今までの宏太とは違う。彼はデンジャラスだ。ボールもキープできるしゴールも挙げられる。これまで色々あったけれど、ようやくここまできた。私もとてもうれしいし、彼を誇りに思うよ」。
吉原がエリア内でフィニッシュまでもっていく能力を、フィリップ・トルシエ元日本代表監督は“日本のロマリオ”だと評したことがある。そうファーベーク監督に話したところ、このドイツ人監督は次のように言った。
「彼には能力がある。しかし、今はまだ80%。もう2〜3週間もすれば90〜95%まで発揮できる。そうすれば彼はチームにとって大きな存在になるだろうね」。

監督の話は、大宮ファンにとって心強いに違いない。彼らもシャープで貪欲な吉原を求めている。
シーズンはすでにサバイバル戦の様相を見せており、吉原のゴールが必要なのだ。また吉原自身も、新監督の哲学に勇気付けられているはずだ。
今までの“待って待って”のプレースタイルから、監督の言葉を借りれば、より大胆な“攻撃的なサッカーにチャレンジ”へと変わり始めている。

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