敦ゴールをもう一度
鹿島アントラーズが前進しようとしはじめた正にそのとき、そして、柳沢敦が前進しようとしはじめた正にそのときに、またもすべてが停止状態になってしまった。
左足の骨折のため、アントラーズのキャプテンは今後3ヶ月離脱する。ファンはもちろん、チームにとってもまったく残念な結果だ。
その選手生活を通じて、柳沢はクラブのため、そして代表チームのためにファンタスティックなゴールをいくつか決めており、彼を崇拝する者も多い。今も私の記憶に焼きついているゴールの1つは、柏の葉公園総合競技場のレイソル戦で決めた、目を見張るような独走ゴールだ。柳沢は持ち前の素晴らしい加速力を活かしてホームチームのディフェンスをすり抜け、素敵で、渋いゴールを決めた。
今シーズン、彼がプレーしているのを見たのは3−3で引き分けた千葉戦の一度だけ。アントラーズのオズワルド・オリベイラ監督はその試合の後、柳沢がピークの状態に近づいていると話していた。
柳沢は横浜FCとのアウェー戦での美しい決勝ゴール、そして日曜日に清水エスパルスに2−1で勝利した試合の2ゴールで、オズワルド監督の発言が正しかったことを証明した。
清水戦での柳沢の最初のゴールは、故障から復帰した、聡明で豊かな技量を持つゲームメイカー・野沢との見事なコンビネーションから生まれたもの。2点目はファーポストでの、美しく正確なヘディングシュート。
2点目は柳沢のおなじみのスタイルで、トップクラスのストライカーには不可欠の捕食本能が余すところなく発揮されたものだった。
故障のため、残念ながら柳沢はしばらく試合に出られなくなる。順位表を上り始めたチームの勢いがそがれるのは、避けられそうにない。
今週末の仮定の話になるが、アントラーズに絶好調の柳沢がいれば浦和にとっては大きな脅威になっていたはずだ。ただし、埼玉県から大挙して押し寄せるファンとホームチームの復調のおかげで、たとえ柳沢がいなくとも、大観衆の前で激しい戦いが繰り広げられることになるだろう。
今回の戦線離脱により、7月に行なわれるアジアカップでの代表復帰の希望も消えてしまった。
柳沢本人はそんなことを考えようとしないもしれないが、私は、彼がブルーのユニフォームに袖をとおし、0−0で引き分けたクロアチア戦でひどいシュートミスを犯したドイツの悪夢を葬るチャンスがもう一度あると秘かに確信しているのだ。
評論家の多くは彼のあのミスだけを心に刻もうとするだろうけれど、柳沢はこれまでに数多くの素晴らしいゴールを決めており、代表失格の烙印を押すのは正当な評価とは言い難い。
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