澤の活躍、さわやかな勝利
3−0なら申し分なかったのだが、土曜日に国立競技場で行なわれた女子ワールドカップ(W杯)予選で、日本がメキシコを2−0で破ったことを不満に思う人はいないだろう。
90分終了時点でのバランスを見たうえで、さらにメキシコが時おり極めて危険に見えたという点を考慮すれば、日本は第1戦を素晴らしい結果で切り抜けたと言える。
このホーム&アウェーのプレーオフはまだまだ終わったわけではなく、日本がW杯に出場するためには、土曜日のトルカで、東京以上の内容とは言わないけれど、同じくらい良いプレーをしなければならないだろう。
そう。危うくメキシコに先制点を許すところだった、宮本の中盤での不注意なミスや、ボールをきちんとクリアできなかったときのように、ディフェンスがパニックに襲われることを、なくせば良いのである。
メキシコにも、何度かゴールを奪うチャンスがあった。しかし、日本のGK福元が好調だったのに対し、メキシコはキャプテンのドミンゲスにまったくツキがなく、ゴールかと思われた長距離のロブも、ボールはクロスバーの上部に当たってしまった。
結果的には、2−0の勝利は日本にとっては期待を十分に持てるものだが、第2戦を消化試合とみられるほどではない。
日本の2つのゴールは、その過程もフィニッシュも素晴らしいもので、澤が1点目を決めたほか、宮間の2点目もアシストした。
最初のゴールは印象的だった。左サイドをオーバーラップした宇津木が完璧なクロスを中央に供給。ペナルティ・スポット付近にいた澤がジャンプの最高点でボールをミートし、ヘディング・シュートをゴールのファー・コーナーへと見事に運んだ。
2点目のゴールでは、澤が左サイドですべての仕事をこなした。マーク――女性だけど「マーク」――をサイドで抜いて、走りこんできた宮間に絶妙のクロス。宮間は強烈なヘディングでボールをネットに突き刺した。クラウチや平山でなくても、空中戦で強くなれるのだということを、澤(164cm)と宮間(157cm)が堂々と立証してくれたのである。
全体的には、両チームのゴール前での場面が多く、また中断も少なく、観ていて楽しいゲームだった。前半はロスタイムが全くなく、後半も終盤の87分にレフェリーがトレーナーのピッチ入りを初めて認めた分の2分だけ。それも、トレーナーがピッチに入ったのは、2点をリードする日本選手が時間稼ぎのために「ケガ」をしたせいではなく、左足首をひねったメキシコ選手のもとに駆けつけるためだ。
モダンサッカーの最高レベルにおいても、フェアプレーは今も健在なのだ。少なくとも女子サッカーにおいては。
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