“インドネシア祭”にスパイスを加えたワシントン
先日のさいたまスタジアムでも、ワシントンは絶好調だった。
得点の話ではない。もちろん皆さんご存知だと思うけれど、アジアチャンピオンズリーグでのペルシク・ケディリ戦(3−0)では、ワシントンはネットを揺らすことができなかった。そう、ゴールではなく、交代させられた(イングランド風に言うと“引きずり出された”)ときのリアクションのことだ。
後半の半ば、2−0とリードしていたレッズ。しかしいまひとつピリッとせず、ペースを変えるには“野人”の投入が必要なことは明らかだった。
ただ、誰と交代するのか?
ワシントンは、まさか自分が交代させられるとは思ってなかったようで、21番のボードが示されるとベンチに確認していた。
「え?オレ?」
「イヤだよボス。もうすぐゴールを挙げるよ」
おそらくワシントンの平均得点数から言っても、ここまでチャンスを逃し続けていた彼がそろそろゴールを決める頃だっただろう。
しかし彼は交代させられ、グローブとユニフォームを投げ捨てた。
通路付近にいた人の話によると、彼はポルトガル語で思いつく限りの悪態をつきながらロッカールームへ消えていったそうだ。
「ワシントンはどこにいますか? ロッカールーム?」
試合後、レッズのゲルト・エンゲルス・コーチに尋ねると、
「いや、もう彼はいないよ」
エンゲルスは顔をしかめてそう答えた。
「もうチームバスに乗ったのですか?」
「だと、良いんだけどね」
エンゲルスは心配そうだったが、チラッと笑いながらそう答えた。
試合後の記者会見、ホルガー・オジェック監督には、まるでアーセン・ベンゲルのような印象を受けた。
ベンゲルが彼のチームに有利な微妙な判定をすべて見ているわけでないように、オジェック監督はワシントンがピッチを出た時何が起こっていたのかわからなかったと語り、すぐ話題を岡野に切り替えた。
FIFA外交の経験が非常に役に立ったようだ。
とは言え、これは重要な問題。ワシントンは自身の言動について罰を受けなければならない。
埼玉県の全ての若い選手たちが彼を真似て、交代させられるとグローブやユニフォームを投げ捨てるなんてことはあってはならないのだ。
ファンだって、浦和美園駅の運賃精算機に並ばされ、着ているワシントンのレプリカユニフォームを投げ捨て始めるかもしれない。
さて、この一方的な試合についても一言いわせてもらおう。
ペルシク・ケディリ(インドネシア)のイワン・ボーディアント監督は、レッズの3得点全てをGK(Wahyudi)の責任だと言った。
たしかに、最初の2点はそうだ。しかし3点目もそうだろうか?
小野伸二が決めたペナルティエリア手前からの左足のシュート。これまでキーパーのせいにするのはかなり酷だろう。
小野にしてみれば寝ていても打てるシュートかもしれないが、技ありの1本。
ワシントンとは大違いだ。
ところで…ワシントンのグローブがほしい人はいらっしゃいませんか?
いや、68分しか使ってないものですけどね。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント