ダービー敗戦に気落ちするマリノス社長
何が憂鬱かって、横浜ダービーの終わった今、左伴繁雄氏ほど憂鬱な気分の人はいないだろう。
3月10日、三ツ沢球技場で、自分のチームがJ1に昇格したばかりの横浜FCに敗れるのを見た左伴社長は、当然ながら大きく落胆した。しかし、その後、彼の落胆はさらに大きなものとなった。
アウェーチーム(マリノス)のファンたちはダービーマッチの雰囲気を盛り上げていたが、試合終了のホイッスルが吹かれたその時、チームに対する拒否感をあらわにした。
新シーズンが開幕してまだ2試合だが、この敗戦はマリノスファンを大きく傷つけ、何より左伴氏を大きく傷つけるものとなった。
「2003年、2004年と連覇したチームとは違うということを、自覚しなければならないんです」。
試合後、彼はメインスタジアム下の通路で私にそうつぶやいた。
「我々はニューカッスル・ユナイテッドというよりサンダーランドですね」。
左伴社長は熱烈なニューカッスル・ユナイテッドサポーター。現在は下部リーグにいるものの、かつては北西イングランドでニューカッスルと熾烈なライバル争いをしていたサンダーランドを引き合いにしたそのコメントは、非常に辛いものだっただろう。
マリノスの財政が逼迫しているのは明らか。左伴社長はニューカッスルとサンダーランドを比較したコメントで、これを認めている。
2003年、2004年と連続1位、そして2005年、2006年は連続9位。
その成績がすべてを物語っている。
同じ“Magpie仲間”(Magpieはカササギの意。ニューカッスルのニック愛称)として私は彼を励まそうと思い、松田、栗原、鈴木隆行ら横浜ダービーには出られなかった選手の名前を挙げたが、彼らの不在を言い訳にしなかったのは社長の偉いところだ。
山瀬功治がシーズン開幕から非常に好調なことさえ、彼にとってはおそらく慰めにはならないだろう。
開幕戦で素晴らしいゴールを挙げた山瀬は、三ツ沢でも絶好調だった。
日本代表のイビチャ・オシム監督が愛する日本人選手の長所を惜しみなく見せつけ、ブロックされようがインターセプトされようが、何度となく横浜FCの中盤を自由自在に動き回った。
手足の長いレフトバックの20歳の田中裕介、途中交代出場するや否やその存在感を発揮した野洲高校出身の18歳の乾貴士も、とても良かった。
マリノスは経験豊富で、チームの要もしっかりしており、若い才能だって揃っている。ただし、外国人選手の質をみると、J2を渡り歩いたマルクス、そしてケガの多いマルケスと、どちらもサッカー選手としては高齢。何とかしたいところである。
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