日本対メキシコ、よみがえる銅メダルの思い出
これからの数週間、日本にとって大きな意味を持つゲームがいくつか控えている。と言っても、北京オリンピックの出場権獲得を目指している22歳以下代表の話でも、あるいは3月24日に今年初戦にペルー戦が予定されている日本代表の話でもない。
私が言っているのは、女子代表の話。9月に中国で行なわれるワールドカップの出場権を賭けて、もうすぐ日本の女子代表がメキシコとホーム&アウェーのプレーオフを戦うのである。
ホームでの第1戦は3月10日に東京の国立競技場で、アウェーの第2戦はその1週間後にメキシコで行なわれる。
残念ながら、ホームでの試合は一連のJリーグの試合とスケジュールが重なるが、国立にはたくさんの観客が集まり、「ガールズ・イン・ブルー」がCONCACAF(北中米カリブ海サッカー連盟)の代表と競い合うのを観ることだろう。
正直なところ、アテネオリンピックで私にとって最高の瞬間の1つは、日本女子チームが1次リーグの初戦でスウェーデンを1−0で破ったときである。
その試合は大会の正式な開会式の数日前に、辺鄙と言えなくもない場所で行なわれたのだが、沢穂希とその仲間たちが、ヨーロッパの強チームを封じるためのお手本のようなプレーを見せた。試合終了のホイッスルが吹かれたとき、あちこちで感動的なシーンが見られ、なかでも、特別観覧席で観戦していたJFA(日本サッカー協会)会長・川淵三郎の喜びようは格段だった。
あの試合は日本サッカーにとって大きな意味を持ち、日本での女子サッカーの普及を後押しするものとなった。
現在、大橋浩司監督が指揮を執る日本チームがワールドカップ出場を勝ちとるまでに残された障害は2つだけ。2つ目の障害はメキシコで乗り越えなければならない。
選手たちがモチベーションあるいは刺激が欲しいのであれば、前JFA会長の岡野俊一郎に話を聞けばよい。彼なら、1968年のメキシコ・オリンピックでの男子チームの活躍ぶりを今でも生き生きと描写してくれるだろう。
あの年、日本代表は有名なアステカ・スタジアムの10万人の観客の目前でメキシコを破り、銅メダルを獲得した。試合の後、選手たちの消耗はすさまじく、スタッフの助けを借りなければ水分も摂れないほどだった。
彼らは厳しい環境のなか、チームのため、国のためにすべてを捧げ、伝説のストライカー釜本の2ゴールにより開催国メキシコとの試合で銅メダルを勝ち取ったのである。
「なでしこジャパン」がその再現を見せてくれ、1991年の女子ワールドカップ創設以来全大会出場という誇るべき記録を継続してくれるように願おうではないか。
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