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完璧な世界大使・アンリ

2007/02/08(木)

ティエリ・アンリと一緒に時間を過ごしたことのある人なら誰でも、先日彼がジレットの「グローバル・アンバサダー(世界大使)」に選ばれたのはまったく当然だと考えるだろう。
アンリは、「ジレット・チャンピオンズ」というプログラムでアンバサダーに任命された3人のスポーツマンのうち1人。他2人はタイガー・ウッズとロジャー・フェデラーだった。
これ以上ないと思えるほどの評価のされ方で、ピッチ内外でのアンリの姿勢と業績にふさわしい称号だ。

私は、ティエリに独占インタビューをする幸運に恵まれたことがある。場所は、ハートフォードシャー州の田園地帯、セント・オーバンスのロンドンコーニーにある、アーセナルの豪華なトレーニングセンター。時期はそう、2001年の今頃で、突然の依頼にもかかわらずインタビューのアレンジをしてくれたのは、誰あろう、アーセン・ベンゲル!
その当時、日本を発つ前に会うという約束をベンゲルから取り付けており、このガナーズ(アーセナルの愛称)の監督と長時間のおしゃべりをしたあと、私は、カリスマ的な人気を博しているアンリにインタビューできないものか尋ねてみたのだ。ベンゲルの後押しにより、アーセナルの広報担当者が約1週間後にアンリにインタビューするアポを入れてくれ…そういうことになった。

カメラマンと、カメラマンのアシスタントとともに、我々はインタビュー開始の2時間ほど前にロンドンコーニーを再訪問。緊張して待機していた。そしてついに、その人物に出会えたのだ。アンリは、練習場のピッチからそのままファッション・カタログのページに飛び込んだのではないかと思えるくらい、カジュアルで、スキのない服装。
インタビューは20分間の予定だったのだが、アンリが広報担当者に「もう少し続けてもいいよ」という合図を送ってから1時間経っても、私たちはまだ話をしていた。それから、カメラマンが手際よくこしらえた「スタジオ」で、追加の写真撮影が行なわれた。
この時点でアンリはすでに1998年のワールドカップ(W杯)そして2000年のヨーロッパ選手権で優勝を経験していたのだが、98年W杯におけるブラジルとの決勝戦でプレーしていないのは意外なこと。聞けば、彼はベンチスタートで途中出場する予定だったが、68分にドゥサイイーが退場処分を受け、エメ・ジャケ監督が当初の計画を変更せざるをえなくなってしまったという。

インタビューでアンリは、フランス代表のW杯での躍進により政治では成し遂げられないような形でフランス国民が結束したこと、ユーロ2000ではフランスのファンがその2年前の自国におけるW杯のときよりはるかに騒々しく、情熱的になっていたことを話した。
また、ユベントスから救い出し、オーソドックスなウィングからセンターフォワードに変身させてくれたベンゲルには生涯かけても返せないほどの恩義を感じている、とも話していた。
アンリは親しみやすく愉快で、そして真面目で誠実――そう、まさに完璧なグローバル・アンバサダーだった。

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