ファンタジスタには早すぎる
近頃、関心を集めている話題の1つは、日本代表の試合のチケットがもはやプラチナ・チケットでなくなりつつあるということである。
言い方をかえると「一般大衆はチームにスーパースターのいない日本代表をどうしても観たいとは思っていないのではないか」ということだ。
私の答えは、「どうでもいいじゃないか、そんなことは関係ない」。おそらくオシムも、どうでもいいと思っていることだろう。俊輔が出ていないから代表を観たくないというファンが2、3千人いたとしても、それは“そんなファン”にとっての問題に過ぎない。オシムにはまったく関係のないことだし、JFAの問題でもない(ちなみに、JFAは「ジェフ・サッカー協会(JEF Football Association)」の略だ(笑))。
オシムが見ているのは、将来である。現在は、若い、新顔の、やる気に満ちた選手をテストして、ガーナのようなチームを相手にプレーするチャンスを与えているところだ。目下のところは、これが正しいやり方。「ファンタジスタ」や「欧州のスター」で構成されたチームは、ドイツで試し、散々な結果になってしまったのだから…。
もう1つの論点。
オシムの代表監督就任直後に行なわれた3つのホームゲームの観客動員は素晴らしかった。私の正直な感想である。トリニダード・トバゴ戦は国立に4万7,000人以上、イエメンとのアジアカップ予選は新潟に4万人以上、ガーナとの親善試合では日産スタジアムに5万2,000人以上を集めたのだ。
誰が見ても、これはすごい観客動員力である。たとえば、イングランドがトリニダード・トバゴとマンチェスターで親善試合をやるとしたら、いったいどれだけ入るか。まあ、3万人といったところか。ニューカッスルでイエメン戦? 2万人くらいかな?
私の意見を言わせてもらえば、もっとも大切なのはドイツで崩壊状態となった代表チームを新たに作り上げること。ジーコは素晴らしい選手を何人か引き継いだが、後任者には何も残しはしなかったという点は、誰にも忘れずにいてもらいたい。
オシムはこの仕事の適任者で、日本の真のサッカーファンは、彼のやろうとしていることを評価するようになるだろう。私は、俊輔や他のヨーロッパ組の選手の時代が終わったと言っているのではない。しかし、この過渡期には、日本国内の状況とJリーグでプレーしている選手たちに着目しなければならないのだ。
誰もが忍耐強くなり、新生オシム・ジャパンを支援する必要がある。それが日本サッカーの未来に繋がるからだ。ガーナとの親善試合に俊輔や高原、稲本、大黒を呼び戻すのは時間の無駄。大きな後退だ。たとえ、それで横浜に5万2,000人ではなく、6万5,000人を動員したとしても。
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