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播戸、憲剛そして犬 〜 インド戦ハイライト 〜

2006/10/16(月)

東京(10月14日)発:弱いチームと対戦する場合の問題点は、いかに優れたチームでも自身のレベルを落としてしまうということだ。
バンガロールの荒れたピッチに加え、照明が消えたり犬が走り回りプレーが中断する状況下での3−0の勝利だったが、日本はもっとうまく戦えたはずだ。

アジアカップ予選で、新生オシムジャパンが世界サッカーの舞台に名乗りを上げた。
遠征、ロードでの生活環境、ピッチ内外での様々なコンディション、そして対戦相手の能力…。日本の選手たちはこれらを学んでいく。
この先、厳しい条件下に置かれ、プレッシャーがかかった時に、こうした経験が活かされるのだ。
オシム監督もまた、選手たちのことを、彼らの能力だけでなく姿勢や精神的な面も含めて学んでいく。

ガーナ戦後のコラムで私は、試合終了直前、同点に追いつくチャンスにシュートを外した播戸のリアクションをオシム監督は喜んだだろうと書いた。
もちろん播戸がシュート決めてくれていればもっと良かったのだろうが、チャンスを逃しながらも示した情熱と激しさ。これが彼にインド戦で先発の座を勝ち取らせたのだ。
この試合で播戸は2得点を挙げたのだが、ゴールを挙げるチャンスはほかにもあった。
そして、日本代表としての地位を得た。
播戸にかかっているのだ。他の誰でもなく播戸に…。
彼はどのくらいこの地位をキープできるのだろうか。

中村憲剛のゴール、そしてゴール後のアピールも素晴らしかった。
彼の右足から繰り出された強烈なシュート。
そして得点後、ユニフォームのJFAロゴにキスをしたその姿は、彼のプライドと人間性を垣間見る瞬間だった。
彼もまた代表としてこれからも注目されることだろう。

先週の土曜日、ガーナ戦後のインタビューで憲剛が安っぽく甘ったるい“シュンスケ扱い”を受けているのを見た。
新しい“ファンタジスタ”、新しい“シュンスケ”として売り出したいメディアの意図が丸見え。
しかし、サッカーでは地味な役割の選手も等しく重要であることを忘れてはいけない。

インド対日本戦のハイライト…?
いやいや違いますよ。
日本のマークをことごとく外し、ピッチ上に広大なスペースを作り出し、あの試合で一番恐るべき選手とも言うべきあの“犬”じゃない。
それは、播戸のダイビングヘッドを呼んだアレックスのクロス。
照明が一基消えていてスタジアムが暗かったが、あれは本当にアレックスの“右足”だったのだろうか?
左ではなく右のハーフボレーでドンピシャのクロス?
左足だけでなく両足を使えるアレックスはどれだけ凄くなるのだろうか。これからももっと彼のそんなプレーが見たいものだ。

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