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2006年10月

ベッカムを獲れ!

2006/10/30(月)

東京発(10月28日):デビッド・ベッカムの去就が決まらない。
あのデビッド・ベッカムがベンチに座っている。
そして彼はスペインを離れたがっている。

ベッカム家――あるいは“ベッキンガム宮殿”(イングランドでは、女王の住居であるバッキンガム宮殿に倣ってこう呼ぶ)――の生活は、決して退屈ではない。
デビッドは彼のローラーコースターのようなサッカー人生の最後の挑戦として、おそらく移籍したいのではないだろうか。
となると、Jリーグのどこかのクラブが勇猛果敢なキング・デビッド獲得に動いたりはしないのだろうか。

いや、そうあってもらいたいと思っている。
彼が欲しいなら、今がそのタイミング。
ベッカムの契約がまとまっていない。
チームは新しい外国人選手が欲しい。
そして“ポッシュ・スパイス”(ビクトリア夫人)にとって日本のメディアからの注目は望むところ。
そう、すべてに納得がいくのだ。

だから日産よ、トヨタよ、いや三木谷さんでもいい。
マリノスとグランパスは戦力補強が必要だし、資金力に問題はない。
一方、神戸は単にJ1復帰だけでなく、満員のスタジアムを取り戻せるのだ。
獲得して悲惨な結果を味わった2002年ワールドカップのトルコ代表の補欠選手と違い、デビッド・ベッカムなら支払った以上のものをチームにもたらしてくれる。
何よりも、ベッカムはサッカーを愛している。そしてサッカーの親善大使でもある。
子どもにとってはお手本となり、ファンにとってはまさにアイドル。
スタジアムへ押し寄せる観客数はうなぎ昇り。世界中のサッカーファンの目が日本へ向かうことに疑いはない。

個人的には、イングランド代表のスティーブ・マクラレン新監督がベッカムをこんなにもあっさり代表チームから外してしまったのは大きな間違いだと考えている。
イングランドはともかく、ベッカムにとってはまずまずのワールドカップだったと思うし、彼はまだまだ代表チームに貢献できるはずだ。
何を言いだすのだと思う方もいるだろうが、日本のチームが真剣にベッカムの獲得を考えても良いのではないだろうか。
ベッカムがアメリカのメジャーリーグサッカーでキャリアを終えるかもしれないなどという報道さえあるのだ。
もし彼がそう考えているとすれば、当然、日本でプレーすることだって考えるはず。
ベッカム獲得には相当な費用がかかるだろう。
しかし、これまでにJリーグのクラブが3流のブラジル選手に支払ってきた金額を考えてみると良い。
Jリーグのクラブよ、ベッカムを獲れ!
決して夢なんかじゃない!

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味スタで見た夢

2006/10/26(木)

現在は火曜日の午後。私は、目の前にあるピンク色のサッカー専門紙をじっと眺めている。
紙面には「FC東京3−2ガンバ大阪」と書かれているが、いまだにまったく信じられない。おそらくミスプリントだろう。
味スタでの、あの劇的な試合から2日経っているというのに、私はいまだにぼんやりした状態だ。あれは現実だったのだろうか? それとも、夢を見ていただけ?
FC東京がリーグチャンピオンを相手に0−2から逆転したというだけでなく、立て続けに3得点を奪ってしまったのだ。
素晴らしいゴールの連続。その後の狂乱状態。なんとか家に帰り着いたときも、目のなかでは青と赤の残像ばかりがスローモーションで再生されていた。

読者の皆さんは、FC東京のゴールの記事はすでにお読みになっていると思うが、私のコメントもここで付け加えておきたい。
最初は、今野。今野はデビュー当時から私の好きな選手の1人で、ナビスコカップの試合後に行なわれるニューヒーロー賞の投票では、いつも今野に投票していたくらいだ。そう、FC東京の試合でないときも!
今野のゴールでいちばん気に入った点は、ボールに届くと彼が実際に信じていたことだ。0−2と2点のビハインドを負っているときの、頭上へのロングパス。あのような状況では、諦め、ボールがキーパーに流れるままにしている選手もいることだろう。だが、ライオンハート・今野は違う。決して諦めず、持ち前の俊敏さ、ボールタッチ、冷静なフィニッシュで反撃の口火を切った。

次は、規朗(鈴木)の番だ。このゴールを、なんと表現すればよいのだろう? ミサイルのような轟音を立てながらゴール上隅に突き刺さったシュート。私の席から良く見えた。ガンバのキーパーがボールを止めに入っていたなら、体ごと持っていかれ、ボールと一緒にゴールネットに突き刺さっていたことだろう。そう、信じられないようなゴールだった。ロベルト・カルロスの電撃シュートも、比べものにならない。

そして、決勝ゴールを挙げたのは“Fly High”ナオ(石川)。左サイドでまたも今野が仕事をし、密集地帯でボールを捌く。鈴木のクロスに、石川はうっとりするようなボールタッチでスペースを作り出し、それから、柔らかな、カーブのかかったロナウド・スタイルのゴール。いとおしむように蹴りだしたボールが、ゴールの隅に転がった。
そのゴールが決まったとき、スタジアムが爆発した。私自身も、正直言って、まあ、かなり感情的になっていた。すさまじい逆転劇だったし、残念なシーズンを過ごしてきた偉大な東京ファンだけに許された、格好の贈り物だ。

ガンバの選手もファンも、大きなショックを受けたようだ。もう少しで勝点3を挙げ、浦和が手の届くところに近づくはずだったのに、あっという間に残り6試合で勝点6差になってしまった。この不幸な運命のいたずらに意気消沈してしまう可能性もある。
そう、あれは飛田給での驚くべき午後。それとも、あれは夢に過ぎなかったのだろうか?

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グラスゴーで俊輔が得た多大な利益

2006/10/23(月)

東京発(10月21日):セルティックに残留した中村俊輔の決断は、正しかったようだ。
昨季終了後の俊輔の目標はスペインでプレーすることで、彼はセルティックをその踏み台として考えているだけ。そんな報道がイギリスで流れた。
しかし、スコットランドリーグは俊輔にとって申し分ないし、また、さらに彼はセルティックに大きく貢献してきている。

リーグのレベルは俊輔にちょうど良い。小さなリーグで強者としてプレーすることで、その技術を如何なく発揮できるのだ。
よりテンポの速いイギリス・サッカーの中で、レッジーナにいた頃よりも速いペースでプレーしている。
左足でクールにトップコーナーに決めハットトリックを達成したダンディ・ユナイテッド戦、そして3−0でベンフィカを粉砕した欧州チャンピオンズリーグの90分間。
俊輔はチームにすっかり定着し、楽しんでプレーしている。
スペインに行き一からやり直すより、スコットランドでプレーすることを選んだのはまさに正解だったようだ。

そしてこれは、“おそらく”日本にとっても喜ばしいことだ。
オシム監督が就任した日本代表で、俊輔が引き続きプレーするつもりなら、彼自身もステップアップしなくてはならない。
フリーキックのスペシャリストとしてだけでなく、もっと走り、オープンプレーで貢献することが必要になる。
もちろん今もそうしているし、だからこそニュースにも彼の名が挙がるのだ。
しかしそれでもオシム監督が俊輔を招集せずJリーグの選手をテストしているのは、正しいことだと思う。

代表チームの門は俊輔に閉じられてしまったわけではない。
来年になり新生日本代表に貫禄と新たな次元を加える必要が出たとき、オシム監督は俊輔を招集するかもしれない。
啓太と阿部、もしくは今野を守備的MFに、そして巻と播戸もしくは達也の後方に俊輔が控える。そんな布陣を思い浮かべてみてほしい。
オシム監督にとってそれはまだ将来のオプション。
そう、来年夏のアジアカップ決勝に向けての…。

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北斗と中西――バロンの2人のチームメート

2006/10/19(木)

アビスパ福岡が、今季J1に残留できるかどうかはわからないが、このチームに日本屈指の若手選手がいるのは確かである。
そう、またも中村。今回は、北斗のほうだ。北斗はまだ21歳で、前途には素晴らしい未来が待ち受けているように思える。
残念ながら、駒場での日曜日のレッズ戦、北斗は出場停止。試合は戦力に劣るアビスパがまったく予想通り1−2で敗れた。

福岡は、Jリーグを放浪するストライカー、マルセロ・バロンの現代の滞在先だ。イングランドでは、「バロンがプレーしたクラブはジャック・ニクラス――参考までに言うが、伝説的ゴルファーのこと――より多い」とでも言うところか。しかしここは日本なので、「バロンがプレーしたクラブはジャンボ尾崎より多い」というのがより適切かと思われる。
言い換えれば、バロンは日本での10年間であちこち移籍し、過去、現在、未来のJリーグのスターについて多少なりとも見聞を広げてきたわけだ。
私が中村北斗について尋ねると、バロンからは、身体能力については本当に感心しているという答えが返ってきた。
「過去の選手のなかでは、誰に似ているかな?」。バロンに尋ねた。
2、3秒おいてバロンはこう答えた。「僕がジェフにいた頃は、中西永輔が右サイドにいた。北斗を見ると、あの頃の中西を思い出すよ。ただし、もっと俊敏だけどね」。

アビスパにとって苦しいシーズンが続くなか、北斗は複数のポジションでプレーをしている。何ヶ月も前に千葉で見たときは、45分をライトバックとして、残り45分を右のミッドフィルダーとしてプレーしていた。それ以降は中盤の中央に移り、エンジンルームの役割を果たしている。
バロンが確信する、北斗のベスト・ポジションは、たとえばFC東京の“Fly High”石川直宏のような高い位置でのウイングではなく、右のバックのようだ。その位置なら右足でボールを持てるし、ほとんどの時間、前を向いてプレーできる。

アビスパが来シーズンも北斗を保有できるかどうかに、興味がわく。他のビッグクラブが彼を欲しがるのは想像できるし、アビスパ側では、J1に残るにしても、J2に落ちるにしても、チーム強化のためには巨額の移籍金を手に入れる必要があると考えるかもしれないからだ。
ただし、現時点では、アビスパはまだ降格が確定していない。セレッソ、アビスパ、それから京都が三つ巴で16位の座を争っており、16位になると、12月にJ2の3位チームとホーム&アウェーのプレーオフを戦うことになる。

32歳のブラジル人バロンについて言えば、彼は自分自身で好調だと感じており、試合終了間際に途中出場する以上の貢献も、できると考えているようだ。今週の試合で、バロンそしてアビスパを待ち受けている間近の未来がどのようなものであったのかが明らかになるように、中村北斗を待ち受けている遠い未来も、やがて明らかになるのだろう。

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播戸、憲剛そして犬 〜 インド戦ハイライト 〜

2006/10/16(月)

東京(10月14日)発:弱いチームと対戦する場合の問題点は、いかに優れたチームでも自身のレベルを落としてしまうということだ。
バンガロールの荒れたピッチに加え、照明が消えたり犬が走り回りプレーが中断する状況下での3−0の勝利だったが、日本はもっとうまく戦えたはずだ。

アジアカップ予選で、新生オシムジャパンが世界サッカーの舞台に名乗りを上げた。
遠征、ロードでの生活環境、ピッチ内外での様々なコンディション、そして対戦相手の能力…。日本の選手たちはこれらを学んでいく。
この先、厳しい条件下に置かれ、プレッシャーがかかった時に、こうした経験が活かされるのだ。
オシム監督もまた、選手たちのことを、彼らの能力だけでなく姿勢や精神的な面も含めて学んでいく。

ガーナ戦後のコラムで私は、試合終了直前、同点に追いつくチャンスにシュートを外した播戸のリアクションをオシム監督は喜んだだろうと書いた。
もちろん播戸がシュート決めてくれていればもっと良かったのだろうが、チャンスを逃しながらも示した情熱と激しさ。これが彼にインド戦で先発の座を勝ち取らせたのだ。
この試合で播戸は2得点を挙げたのだが、ゴールを挙げるチャンスはほかにもあった。
そして、日本代表としての地位を得た。
播戸にかかっているのだ。他の誰でもなく播戸に…。
彼はどのくらいこの地位をキープできるのだろうか。

中村憲剛のゴール、そしてゴール後のアピールも素晴らしかった。
彼の右足から繰り出された強烈なシュート。
そして得点後、ユニフォームのJFAロゴにキスをしたその姿は、彼のプライドと人間性を垣間見る瞬間だった。
彼もまた代表としてこれからも注目されることだろう。

先週の土曜日、ガーナ戦後のインタビューで憲剛が安っぽく甘ったるい“シュンスケ扱い”を受けているのを見た。
新しい“ファンタジスタ”、新しい“シュンスケ”として売り出したいメディアの意図が丸見え。
しかし、サッカーでは地味な役割の選手も等しく重要であることを忘れてはいけない。

インド対日本戦のハイライト…?
いやいや違いますよ。
日本のマークをことごとく外し、ピッチ上に広大なスペースを作り出し、あの試合で一番恐るべき選手とも言うべきあの“犬”じゃない。
それは、播戸のダイビングヘッドを呼んだアレックスのクロス。
照明が一基消えていてスタジアムが暗かったが、あれは本当にアレックスの“右足”だったのだろうか?
左ではなく右のハーフボレーでドンピシャのクロス?
左足だけでなく両足を使えるアレックスはどれだけ凄くなるのだろうか。これからももっと彼のそんなプレーが見たいものだ。

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ファンタジスタには早すぎる

2006/10/12(木)

近頃、関心を集めている話題の1つは、日本代表の試合のチケットがもはやプラチナ・チケットでなくなりつつあるということである。
言い方をかえると「一般大衆はチームにスーパースターのいない日本代表をどうしても観たいとは思っていないのではないか」ということだ。
私の答えは、「どうでもいいじゃないか、そんなことは関係ない」。おそらくオシムも、どうでもいいと思っていることだろう。俊輔が出ていないから代表を観たくないというファンが2、3千人いたとしても、それは“そんなファン”にとっての問題に過ぎない。オシムにはまったく関係のないことだし、JFAの問題でもない(ちなみに、JFAは「ジェフ・サッカー協会(JEF Football Association)」の略だ(笑))。
オシムが見ているのは、将来である。現在は、若い、新顔の、やる気に満ちた選手をテストして、ガーナのようなチームを相手にプレーするチャンスを与えているところだ。目下のところは、これが正しいやり方。「ファンタジスタ」や「欧州のスター」で構成されたチームは、ドイツで試し、散々な結果になってしまったのだから…。

もう1つの論点。
オシムの代表監督就任直後に行なわれた3つのホームゲームの観客動員は素晴らしかった。私の正直な感想である。トリニダード・トバゴ戦は国立に4万7,000人以上、イエメンとのアジアカップ予選は新潟に4万人以上、ガーナとの親善試合では日産スタジアムに5万2,000人以上を集めたのだ。
誰が見ても、これはすごい観客動員力である。たとえば、イングランドがトリニダード・トバゴとマンチェスターで親善試合をやるとしたら、いったいどれだけ入るか。まあ、3万人といったところか。ニューカッスルでイエメン戦? 2万人くらいかな?

私の意見を言わせてもらえば、もっとも大切なのはドイツで崩壊状態となった代表チームを新たに作り上げること。ジーコは素晴らしい選手を何人か引き継いだが、後任者には何も残しはしなかったという点は、誰にも忘れずにいてもらいたい。
オシムはこの仕事の適任者で、日本の真のサッカーファンは、彼のやろうとしていることを評価するようになるだろう。私は、俊輔や他のヨーロッパ組の選手の時代が終わったと言っているのではない。しかし、この過渡期には、日本国内の状況とJリーグでプレーしている選手たちに着目しなければならないのだ。
誰もが忍耐強くなり、新生オシム・ジャパンを支援する必要がある。それが日本サッカーの未来に繋がるからだ。ガーナとの親善試合に俊輔や高原、稲本、大黒を呼び戻すのは時間の無駄。大きな後退だ。たとえ、それで横浜に5万2,000人ではなく、6万5,000人を動員したとしても。

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日本に未来像を垣間見せてくれたガーナ

2006/10/10(火)

東京(10月7日)発:イビチャ・オシム監督は、まだ若い彼の日本代表チームに厳しい試練を課したかった。
そして、ガーナ戦はまさに彼の望むとおりのものだった。
キックオフの瞬間から、私はブラックスターズ(ガーナ代表の愛称)のスピード、パワー、チームワーク、そして彼らの自信に感心させられた。
さらに、試合が進むにつれ彼らはますます強くなり、後半早々に試合を完璧に支配してしまった。

ガーナにとってこの試合は当然の結果。誰もが勝利を当たりまえこととして受け止めるだろう。
まばたきをするヒマもない間に決まったゴールは、両チームの違いを如実に表していた。
日本はこのレベルでのプレーをまだ学んでいる状態。一方のガーナは「試合経験」として語るなら、日本の数段階上を走っている。
こういう状況では、試合が引き分けに終わっても日本にとっては十分な結果だろうと思っていた。

結局、日本代表は0−1で敗れたわけだが、新生日本代表の印象は悲観するには程遠いものだった。
特に、水本、山岸はこの試合が代表デビュー戦だったし、阿部や今野らが違うポジションについていたことを考えると、概して日本はこの厳しい試験によく立ち向かっていたと思う。
とは言え、この試合で明らかになったことがある。相手を圧倒しようとするなら、日本はこぼれ球を拾わなければならない。これは絶対条件だ。
日本の選手がタックルを受け、もしくは相手選手がタックルを受けボールがこぼれた時には、他の日本人選手が正しいポジショニングでボールをキープしなくてはならない。

こうした並々ならぬペースで試合が進む場合、適切なファーストタッチ、自分の周りで何が起こっているのか的確に把握することが必要とされる。それらがあって初めて、ピッチ上でのリズムと弾みが生まれるのだ。
代表チームはまだこのレベルには達していないが、これはオシム監督が起用した選手の数から考えても仕方の無いことだろう。
しかし、新監督の下でベストメンバーが固定され彼らの動きがもっと自然にそしてシステム化されてくれば、自然とそうなっていくだろう。

ガーナ戦、後半のある時点ではまるで大人対少年の試合を見ているようだった。
そう、青いユニフォームを着た少年たちだ!
しかし決して日本がまったくレベル的に劣っているということではない。
彼らは肉弾戦にも十分準備してきたことを見せつけたし、ペースを読み、判断しながら前線への押し上げを見せた。
試合終了間際になり播戸が同点に追いつくチャンスを得たが、右足を的確にボールに当てることができず、シュートはサイドへ外れた。
ただ、シュートを外した彼の怒りのこもったリアクションを見たオシム監督は、必ず彼にまたチャンスを与えてくれるはずだ。

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シンガポールでの話題は、日本人選手より韓国人選手

2006/10/05(木)

イングランド・サッカー中毒になりたいのなら、アジアではシンガポールに勝る地はない。
日本もなかなか良いが、時差がシンガポールより1時間早いため、東南アジアで観るほうががイングランドの試合開始時間に合わせやすい。また、シンガポールの英字新聞には、イングランド・プレミアリーグ(現地では「EPL」と呼ばれている)の記事やニュースが満載。私としては、悪いけれど「プレミアリーグ」という名称にこだわりたいと思う。「EPL」というのはあまりにもブランドっぽくて、サッカーファンではなく、マーケティング人種が使う用語のように聞こえるからだ。

私は、シンガポールでの長いウィークエンドから戻ったばかり。シンガポールでの会話の中心は、「イングランドではなぜ韓国人選手のほうが日本人選手より成功しているのか?」ということだった。
良い質問だし、議論のための格好の話題だ。以下は私の対応。
総じて言えば、韓国人選手の方がフィジカルが強く、当たりの激しいプレーをするので、速いテンポの試合にも日本人より長時間対応できる。
韓国人選手の方が技術的に優れているとは思わないが、イングランドのプレースタイルに適しているのは確かである。韓国人選手は一心不乱にプレーし、ひたすら走り続けるが、ヨーロッパに渡った日本人選手はどちらかというとファンタジスタタイプ。イタリアのような技術的で、展開の遅いリーグのほうが生き残れる可能性が高い。
これが、マンチェスター・ユナイテッド、レディングそしてトットナムにおける、ここ数週間/数ヶ月のパク・チソン、ソル・ギヒョン、イ・ヨンピョらを見たうえでの私の評価だ。

一方、アン・ジョンファンの例も考えてみよう。上記の3人と比較しても、明らかに彼のほうが天分に恵まれているし、華やかさもあるのだが、ヨーロッパでは悲惨な結果となっている。
アンは、ビッグクラブとは言えないペルージャでも活躍することができなかった。言うまでもなく、ペルージャは中田英寿がズバ抜けた活躍をし、巨額の金が動いたローマ移籍への基礎を築いたクラブである。ペルージャ以降も、アンはフランスそしてドイツで苦戦。彼が成功した唯一の外国は、日本である。彼のプレースタイルは、技術的なプレーが多い、この国のスタイルに合っているのだろう。

私は今でも、日本人選手はイングランドで成功できると考えている。たとえば、加地のような選手なら成功するかもしれない。
もっとも、しばらくの間、シンガポールのサッカーファンの話題の中心は日本人選手ではなく韓国人選手ということになるのだろう。それはそれで、仕方のないことではある。

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W杯決勝、解決策は再試合?

2006/10/02(月)

9月30日発:ワールドカップ(W杯)決勝の決着をPK戦でつけるのは間違いなのだろうか。
確かにこれは大きな課題だが、代わりにどんな方式を採用するべきかは、さらに難しい問題だ。

FIFAのゼップ・ブラッター会長は2010年W杯では新方式を採用すると語り、再試合や両チームの選手を減らしての延長戦、もしくはゴールデンゴール方式での延長戦を行なうなど、再びこの話題が持ち上がっている。
イングランドで生まれ、FAカップを見て育った私は、再試合が良いのではないかと思っている。ぬかるんだピッチに投光器、また中立地(リーズのエランドロードで行なわれたウェスト・ハム対エバートン、ニューカッスル対ボルトン戦が良い例)での再試合、さらには再々試合など思い出深いものが多い。
当時は、チームは決着がつくまで戦ったものだ。ゴールデンゴールやPK戦などもちろん無い。全身全霊を尽くして戦い、ドラマが繰り広げられた。

ただ、W杯の決勝となれば、何度も再試合を繰り返すわけにはいかない。
今回のW杯では、決勝戦のあと2日間は再試合を開催することができた。しかしそれでも同点のまま終わることだってある。それでは同じ問題の繰り返しだ。
選手の人数を減らしての延長戦に至っては、問題外。
サッカーとは11対11でプレーするものであって8対8で行なわれるものではない。こんな案は早急に葬ってもらいたい。

私は90分の試合の後、最長30分のゴールデンゴール方式による延長戦を行なうことに賛成だ。
すなわち、延長戦でどちらかのチームがゴールをした時点で、試合は終了する。
ゴールデンゴール方式がアンフェアだという人もいる。
しかしなぜ?
チームはすでに90分間という時間を与えられていたのだ。
最初にゴールしたチームが勝つとわかっていれば、必死で攻撃するはずだ。

30分の延長戦でも決着がつかなければ、再試合でなくPK戦で決着をつければ良い。心技を込めた試合の決着としては満足のいく方法ではないかもしれない。
しかし他にどうしろと言うのだろう。
他に良い方法があると?
他の人の意見も、ぜひ聞いてみたいものだ。

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