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伊野波招集…代表の今、そして未来のために

2006/09/04(月)

9月2日発:驚くほど短い間に、イビチャ・オシム監督率いる日本代表チームの改革が進んでいる。
先ごろ新たに代表に招集されたニューフェイスの中には、U−21代表から瞬く間にA代表入りを叶えた伊野波雅彦がいる。
オシム監督は、才能ある若手選手、可能性を秘めた選手を国際舞台に引き上げることをためらわない。
フィリップ・トルシエ元日本代表監督もよくこうした代表選抜を行なっていたが、日本代表チームの将来にとって、これは非常にエキサイティングなことだ。

伊野波をおだてるつもりはないが、彼は、私の10年間にわたる日本での生活の中で見た選手の中で最も成熟したオールラウンドプレーヤーの一人だ。
初めて彼に注目したのは、昨秋マカオで開催された東アジア選手権でFC東京のチームメイト・徳永とともに日本代表としてプレーしていた時だ。
伊野波はボランチとして出場していたのだが、まるでベテラン選手のようにボールを回し、プレーをつなげていた。その様子は、まさに彼はボランチとなるべく生まれてきたかのようだった。

そして今季はじめ、FC東京のガーロ監督は伊野波を古臭いマンマーカー、現代版・控えめなクラウディオ・ジェンティーレとして起用した。
私は、駒場でレッズのポンテを、そして等々力ではフロンターレのジュニーニョを徹底的に潰していたのを見た。
ただ、等々力ではガーロ監督は終了間際に伊野波のポジションを変更し、ジュニーニョをフリーにしてしまうという致命的なミスを犯した。
最後に私がFC東京の試合を見た時には、ガーロ監督はすでにギャロー(絞首台)に送られていたが、伊野波はベンチスタート。左サイドのMFとしてプレーした後、中央に移った。
それは確か国立競技場で行なわれたアビスパ戦。彼はJリーグ初ゴールを稲妻のようなヘディングで決めた。

一言で言えば、伊野波はピッチ上のどのポジションでもこなせる。しかし特に右サイドバック、リベロ、そしてボランチが良いようだ。
オシム監督が彼を中東遠征の2試合で使うかどうか。それは現時点では重要ではない。
ただ、今回の代表に伊野波が選ばれたことは、オシム監督が年齢や所属チームに関係なく日本らしいサッカーのできる選手を選ぶという意思があらわれている。以前にも言ったが、ひょっとするとサウジアラビアやイエメンを相手に悲惨な結果を招くこともあるかもしれない。
しかしそれは、チームをゼロから立て直す上で払わなければならない代償。
トルシエ監督も同じ道を通った。そしてJFA(日本サッカー協会)から厳しいプレッシャーを受けたわけだが、結果としてそれに見合うだけの価値あるチームを作り上げたのだ。
失意のドイツ・ワールドカップ後、日本のファンたちにとって今は辛抱の時期。
伊野波のような選手たちが、きっと明るい未来をもたらしてくれるだろう。

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