ついに、小笠原満男の活躍の場が日本からイタリアに変わることになった。
ここ数シーズン、この中盤のプレーメーカーにはずっと移籍のうわさが出ていたが、月曜日、小笠原は日本から1年間のレンタル移籍をするメッシーナに旅立った。
彼が海外を目指すのは、わかる――それに、急いで日本を出たがることも。
結局のところ、彼に残された選択肢はそれほど多くはなかった。確かに、鹿島に残り、日本代表に招集されるのを待つというテも、あるにはあった。
しかし、すでに直近2回のワールドカップでプレーしており、オシムから声がかからない現状では、小笠原は自身の代表選手としてのキャリアは終わったと感じているにちがいない。チャンスがあるのにイタリアに渡らないテはない。おそらく、最後のチャンスに。
今の状況での移籍は完璧なタイミング。日本代表に残るためにクラブに好印象を与えなければならないというプレッシャーもなく、小笠原が新たな環境で成功する条件は整っているのである。
代表チームについて言えば、オシムのポリシーにより多くの選手たちが将来についてより慎重に考えるようになり、選手たちはヨーロッパのクラブからのオファーにも簡単に飛びつかなくなると思う。
オシムがJリーグの選手の能力に信頼を寄せているのは明らか。彼は、日本でプレーすることはヨーロッパでプレーすることに比べて不利にはならないと事あるごとに立証している。
若手選手たちは、オファーが来た場合にはこのオシムの姿勢も慎重に考慮しなければならないが、小笠原はこの分類には入らない。
彼はすでに代表チームで一定の評価を受けており、いまさらアピールするものもないし、失うものもない。
小笠原はイタリアでリラックスし、プレーを楽しめばよいし、小さな子どもを含めた家族たちとの新しい生活に慣れ親しむことだけを考えればよい。そして、日本代表としての遠征や苦労については、考えないようにしてもいいだろう。