俊輔はセルティックに残るべきだ
東京発(4月28日)05−06シーズン、ヨーロッパで満足のいく時間を送れたといえる日本人選手はそう多くない。
中村俊輔は、その数少ない選手の中で最も満足できるシーズンを送った一人だ。それだけに、彼が来シーズンはセルティックに残留せず、スペイン移籍を希望していると頻繁に耳にするのが私には不思議でたまらない。
スペインでプレーするのが俊輔の夢だということは、よく知っている。しかし私は、サポーターも多い今の強豪チームに残留すべきだと思っている。
現実を直視しよう。イタリア、レッジーナでの3年間、俊輔は成功しなかった。そして昨年の夏、真偽は定かではないが、スペインのチームが彼に興味を示していたものの、彼はスコットランド移籍を決意した。
俊輔と彼のプレースタイルはスコットランド移籍でパーフェクトに作用した。小さなリーグの強豪チームで、俊輔はプレイメーカーとして開花したのだ。
ミッドフィールドでレノンやキーンといった選手と共にプレーすることで、これまで彼の弱点とされてきたディフェンス面での負担が大きく軽減できた。
さらに、彼を取り巻く選手たちの個人的力量はセルティックのライバルチームよりずっと優れている。つまり、俊輔はスペースと時間を思いのままに使って相手DFを分断するパスを自在に繰り出せるのだ。彼は自分のゲームを思う存分することができるし、周囲からも、とても良いプレーしているように見える。
セルティックは堂々のリーグ優勝を遂げ、来季の欧州チャンピオンズリーグ出場を決めた。これは俊輔にとって大きなチャレンジのはずだ。荷物をまとめ、スペインという新しい環境で一から始める必要がどこにあるのだろうか?
スペインの強豪の中で生き残りをかけて争わなくてはならない中位のチームに移籍したとしたら、どうなるのだろう?
また、イタリアでの二の舞になりかねない。彼の華やかではあるが脆くもある技術は、時として万能の熟練MFに取って代わられてしまい、コンスタントに出場することができなくなってしまう。
俊輔よ、キミはスコットランドに残るべきだ。
ハギス(スコットランドへ行こうと思っている日本人のみなさんには、この風味のよい伝統料理がオススメだ。日本語で言う「美味しい」というのとは違うかもしれないが…)とその雰囲気、そしてレンジャースとのオールドファーム・ダービーを、さらにはプレーすること、チームの勝利を楽しむことだ。
セルティックは初めてヨーロピアンカップを制したイギリスのチーム(1967年、あの有名な“リスボン・ライオンズ”として決勝でインテルを2−1で破った)でもある。
グラスゴーに残り、心を落ち着かせ、ワールドカップを迎えるべきだ。そしてドイツでどんなことが起きようともセルティックに戻り、来季の欧州チャンピオンズリーグを味わう…そう、もちろんハギスもね。
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