« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »

2006年5月

イングランドこそ巻に理想的

2006/05/29(月)

巻についてもう少しだけ…。
今や彼は話題の中心、日本サッカー界の新しいスターとなっている。
先日のナビスコカップ、エスパルス戦で1−0の勝利を巻抜きで収め、ジェフファンは少なからずホッとしたことだろう。
もちろん、前線での彼の速さ、存在感がないのは、寂しいファンにとって限り。しかし、チームは予選リーグを勝ち抜いた。

試合後、私は巻のパートナー、“スーパーマリオ”ハースに意見を聞く機会を得た。
オーストリア出身の彼は、巻の急成長に非常に感心している。
「彼は試合をするたびに良くなっているよ。ジーコ監督がワールドカップ代表に選んだのは当然だね」彼は言う。
巻の成長に伴い、ヨーロッパへの移籍が取り沙汰されるのは時間の問題だろう。そしてハースは、巻の活躍の舞台となる、とあるリーグが彼を待っていると考えているようだ。
「巻のスタイルには、イングランドのサッカーが合っているんじゃないかな」。
「巻の長所はヘッドが強いこと、それからよく走ることだ。イングランドではロングボールとクロスを多用するからね」。

チェルシーのジョン・テリーのようなDFに巻は苦戦するのではと尋ねてみると、「そうだね。接戦では苦戦するかもしれないね」と答えた。
「だけど巻がボールを持って走れば、あのスピードには彼らもお手上げだよ」。Jリーグで華麗な技を見せているハースからの絶賛の言葉だ。
彼と巻のコンビはリーグチャンピオンを狙ううえでの弾頭になるだけに、ジェフファンはハースがこの先ケガをしないことを祈るのみだ。

ワールドカップ代表チームは既にドイツ入りした。
ミッドフィールドはグループリーグのライバル達に一泡吹かせられるほど強烈でパワフルに見える。
しかし、やはりディフェンスが少し弱いように思える。できれば松田、そしてジーコがチャンスを与えていれば闘莉王が見たかった。
4−4−2ではディフェンスの欠如が露呈し、ミッドフィールドでのパワー不足が目立つ。ジーコは3−5−2を選択するようだ。

宮本がリベロとして走り、そして中澤の高さと坪井のスピードで、ディフェンスは4−4−2の時ほど脆くは見えない。
しかし、福西と中田英寿の守備的MFのコンビは、DF陣を守るために激しいタックルを繰り返さなくてはならないだろうし、加地とアレックスは両サイドを確保するためにマラソンランナーのように走り続けなければならないだろう。

固定リンク | | コメント (0)


平塚での午後

2006/05/25(木)

J1もナビスコカップもなかったので、5月20日の土曜日はJ2観戦にうってつけの日となった。
だから、「美しい海」と言う意味のベルマーレがプレーする、神奈川の海岸で1日を過ごすのも悪くはない。
湘南はホームに水戸ホーリーホックを迎え、最終的にはアウェーチームが3−1で勝利を収めた。

この週末、私はテレビのスポーツニュース番組を土曜日に1つ、日曜日に1つ、計2つ観たが、どちらの番組でもこの試合のゴールシーンは流れず、とても残念だった――もちろん、あなたがベルマーレファンなら話は別だが。
その試合の最初のゴールは、水戸のMF小椋が決めたもの。そんなものがあればの話だが、「シーズン最優秀ゴール」の候補となるような1発だった。
小椋が右足で力いっぱいボールを蹴った地点はゴールから35mは離れていたはず。美しい海からの強い風を追い風に、ボールは小林が大慌てで守るホームチームのゴール上隅に届いた。あんな距離からのシュートを決められた小林を責めるのは酷というもの。あの状況では、川口と楢崎と土肥が全員でゴールを守っていたとしても、電撃的なシュートは阻止できなかっただろう。そう、それほどすごかったのである。
水戸の2点目も見事なもので、このときは金がもう少し前からシュートを決めた。また、3点目は、フラストレーションのたまったベルマーレのディフェンスにペナルティエリア内で倒されたアンダーソンが自ら決めたPKだった。

0−3とされたベルマーレは、かつてのレイソルの人気者、加藤が渦巻く風を利用してボールにカーブをかけ、左サイドから直接ファーポストに決め、終了間際に1点を返すのが精一杯だった。加藤も分かっていたと思うが、散々やられてきたホームチームがあのような時間帯にゴールしても、大勢には影響しない。

試合後、ベルマーレの上田監督はがっくりと落ち込んでいた。彼はどうしても勝って順位を少しでも上げたいと考えていたのだが、敗れたため5位に留まることとなった。
上田監督によれば、J2では13チームのうちの6〜7チームに昇格のチャンスがあるそうなのだが、レイソル独走という、恐れていた事態になりそうな気配もある。ベルマーレが3,504人のファンの前でプレーしていたのに対して、元の所属選手として有名な中田英寿は日本代表チームの一員としてJヴィレッジで約1万3,000人のファンに見守られながら練習をしていた。
もちろん、中田は一介のサッカー選手ではなくなっており、そんな状態がもう何年も続いている。中田はいまや数百万ドル規模の産業。平塚における彼の名残は、「nakata.net」の広告ボードと、かつてのプレーメーカーを指していると思われる「Pride Gate 7」と書かれた大きなバナー(現在のキャプテンである佐藤に捧げたものだったら、ごめんなさい!)に今も見られる。

1994年、インドネシア・ジャカルタのアジアユース選手権でU−19日本代表の一員としてプレーする中田を初めて見たときのことを思い出すと、サッカー人生というものはどのように転ぶかわからないものだなと思う。当時、中田はサイドでプレーしており、伊藤卓が日本代表のキャプテンで、プレーメーカーだった。
伊藤はすでにJリーグでのキャリアを終えており、彼は今、ある大学でコーチを務めている。一方の中田は、世界で活躍するスーパースターだ。

電車が平塚駅を離れると、短い雷雨から一転。空は見事に晴れ渡り、きれいな青空に虹が見えた。虹のかなたに行けば夢がかなうという言い伝えは、本当かもしれない――だって、中田英寿はそれを実現したのだから!

固定リンク | | コメント (0)


ドイツW杯、中田浩二はまだチームに貢献できる

2006/05/22(月)

東京発(5月20日):ジーコの代表メンバー発表は、将来の日本人選手たちへの警告となるだろう。海外移籍は、選手として成功するために必ずしも必要なことではないと…。
選手たちはそうしたチャンスが来た時、自身のキャリアに大きな影響を与えることを理解したうえで、どの国のどんなクラブへ行くのか慎重に選ばなければならない。

理由は様々だが、松井大輔、大久保嘉人、そして鈴木隆行はワールドカップ・ドイツ大会の日本代表メンバー23人から漏れた。彼らが日本でレギュラーとしてプレーし、ジーコが実際に彼らのプレーを見ることができていたら、選ばれるチャンスはもっと大きかったのではないだろうか。
私は、彼らの海外移籍が間違っていたと言いたいわけではない。ただ、あっけなく視界から消えてしまうこともありえるということだ。

メンバー発表の会見に集まった日本人スポーツライターと話をした時、ヨーロッパへ移籍したもう一人のJリーグスターが話題に上がった。
マルセイユで散々な時を過ごし、バーゼルで何とか自身のキャリアの軌道を修正しようとしている中田浩二を、ジーコは果たして選出するのだろうか?
ありがたいことに、ジーコは中田浩二を招集した。ジーコが彼を先発起用してくれるだろうと期待している。

ジーコは、いわゆる“鹿島チルドレン”を特別扱いすると言われているが、中田浩二については当てはまらない。
事実、ジーコ時代の鹿島では、中田浩二はいつも過小評価され、うまく活用されていなかった。彼は代表チームで、より貢献できるはずだと思っている。
4−4−2と3−5−2。ジーコがどんなシステムを取るかに関わらず、チームをまとめるためには中央に二人のMFが必要だ。
少なくともそのうちの一人、できれば二人とも天性の守備的選手が良い。現時点では福西が有力だが、中田浩二も彼より明らかに優れているとは言えないまでも、同じくらい適していると思う。
鹿島では、彼はいつも中央でチームをコントロールしていたし、経験もある。そして何より、日本代表の中で同じことができるだけの頭脳を持っている。

ジーコの戦術に常に含まれているわけではないが、中田浩二が不用意に攻撃を急がないという戦術を維持し、後方でどっしり構えることでミッドフィールドにバランスを保つことができる。
さらに、中田浩二と福西を並べて起用すれば、高くて弾力のある壁をピッチ中央に作ることだってできる。ただし、ジーコは基本的に創造的で攻撃的な選手を好む傾向があるので、その可能性は低いだろう。
とは言え、中田浩二を選んだことでジーコ監督はミッドフィールドにより多くのオプションを持った。中田浩二は4バックではアレックスに代わって左のサイドバックを務めることもできるのだ(アレックスがダイビングと馬鹿げたファウルで2枚のイエローを食らって出場停止になった時にはね)。

中田浩二が今どんな状態なのかは、はっきりとはわからない。しかし、ワールドカップまでは3週間のトレーニング期間と、2試合のテストマッチがある。
ドイツワールドカップでは、中田浩二はチームに大きく貢献できるだろう。

固定リンク | | コメント (0)


巻のサクセス・ストーリー

2006/05/18(木)

ワールドカップの日本代表に巻誠一郎が選出されたことは、巻個人だけでなく、Jリーグ全体にとっての勝利だった。
もし巻が選ばれていなかったなら、本人だけでなく、サッカーに携わる多くの人々が失望し、やる気をなくしていただろう。
しかし、ジーコの大胆な決断――まあ、これまでの慎重な姿勢から見れば大胆と言っても良いだろう――により、全国の若き選手たちが、努力を続け、希望を捨てずにいればトップ・レベルでも報いられるのだという希望を持てるようになったのだ。

今シーズン、私はジェフのイビチャ・オシム監督と巻を話題に二度ほどじっくり話し合ったのだが、オシムは、自らのチームのやる気に満ちたセンターフォワードをいくら褒めても褒めたりないといった様子だった。
「彼はすべての日本人選手のお手本」というのが、コメントの1つ。「まったく無名の存在から、代表チームにまで駆け上ったんだ」。
またオシムは、「どのチームにも巻のような選手が不可欠だ」とも語った。つまり、試合の後半、おそらく残り30分くらいから途中出場し、疲れを知らずに走り回って局面を打開する選手として、巻を表現しているのである。

「テクニックはさほど大したものじゃないが、ハートはとても、とても強い」とオシムは言う。
シーズンが進むにつれ、巻に対する支援が大いに高まり、日本国内の英字メディアからの支援も見られた。

巻の爆発力と価値を如実に示す試合を選ぶとすれば、それはジェフがホームで浦和に2−0で勝った試合だろう。
その試合、巻は強烈なドライブのかかった見事なシュートをサイドネットに決めただけでなく、ジェフの前線に立ち、闘莉王のパワーと坪井のスピードを相手に厳しく消耗の激しい戦いを繰り広げていた。

その後のキリンカップの2試合では、巻は現状での試合勘と調子の良さを改めてアピール。その姿は、さまざまな故障に苦しみ、かつてのような、力強く、予想不能の独特なスタイルを見せられなかった久保とは対照的だった。
ジーコはみんなをさんざん待たせ、最後に巻を発表しようとしたのだろう。普通の状態での論理的帰結と言える久保か、それとも巻か?
ジーコは後者を選んだ。そして、サッカーに携わる多くの人々に笑顔をもたらし、明るい気分にさせた。

巻ほど、この栄誉にふさわしい選手はいない。オシムが言うように、無名の存在(駒澤大学出身地)から代表チームに駆け上がり、たった3シーズンでワールドカップの代表にまでなってしまったのだ。
まさに、全国の若い選手を励ますようなサクセス・ストーリーである。

固定リンク | | コメント (0)


パーフェクトタイミング

2006/05/15(月)

東京発(5月12日):ここ数日好調な小野伸二を見て、安心したレッズファンも多いことだろう。
先週日曜日の埼玉スタジアム2002で、小野は素晴らしい2ゴールで鹿島アントラーズを粉砕した。
そしてその2日後に大阪で行なわれたブルガリア戦では、途中出場ながらかつての自信と信頼感を感じさせてくれた。

実は私も他の多くの人と同じように、今年の小野については大変心配していた。
(チームに)フィットしているように見えなかったし、シャープさもない。そして何より試合中に全く存在感がなかった。
実際、その存在感のなさに、私は時として小野は途中交代してしまったかのような錯覚をおぼえた。
まったく“小野らしく”なかったのだ。

しかしチーム内では、ポンテと長谷部、そして彼らの後方で鈴木啓太がサポートしていることにより小野は時間をかけて体調をベストに調整していく余裕を得られた。
小野は正真正銘のプロフェッショナルだ。
彼のこれまでの悲運なケガの数々を考えると、そうしたことさえ起こらなければ最も良いコンディションでワールドカップを迎えられるだろう。

アントラーズ戦での2ゴールは別として、私が最も感心したのは相手MF中後に倒された後、無傷で立ち上がったことだった。
小野が倒れたのを見たベンチのギド・ブッフバルト監督、ゲルト・エンゲルスコーチ、そしてスタジアムの5万人のレッズファンは「またか!」「最近続出している中足骨骨折か?」と、最悪の事態を想像したに違いない。
しかし小野はそのままプレーを続行、そして残り4分となったところでレッズファンの大歓声のなかベンチに下がった。

さて、小野は6月12日、オーストラリア戦に先発出場するだろうか?
もちろん、これからまだ何が起こるかわからないので、今それを言うのは早い。
では、どのポジションが良いだろうか?
これは以前にも言ったことなのだが、経験を活かして流れを読み、ゲームをコントロールできる守備的MFが一番適しているのではないだろうか。
そしておそらく、中田英寿ではなく守備的な福西とコンビを組むだろう。
中田も小野も攻撃的な選手だ。小笠原、中田、小野、そして中村という4人のMFの組み合わせは才には溢れている。しかし、オーストラリアやクロアチアに対しては中盤の抑えが足りない。
ジーコ監督も、現時点でそうした細かな心配をする必要はない。
今は小野が戻ってきたことを、ただ喜んでいるだろう。

固定リンク | | コメント (0)


松田のいない日本代表

2006/05/11(木)

ジーコがワールドカップ(W杯)の代表メンバーを発表する5月15日が刻一刻と近づいているが、Jリーグ最高峰とも言える、この選手が招集されることはなさそうである。
ただし、彼は故障しているわけではない。
体調は問題なし。クラブの情報筋によると、W杯に行けそうもないので落ち込んでいるそうだ。
話題の主は、横浜F・マリノスのキャプテン、松田直樹である。

この29歳のセンターバックが、日本でトップクラスのオールラウンドプレーヤーであるのは確かだ。彼がその気になれば、このレベルでならどんなことだってやってのけるほどの能力があるし、私は2年前、松田はJリーグのレベルを超えており、さらに成長するためにはヨーロッパに渡る必要があると書いたと記憶している。
松田は頑強で身体能力の優れたディフェンダーで、3バックならどのポジションでも任せられるし、4バックならストッパーもリベロもこなせる。技術もあり視野も広いので、ディフェンスの前に置けば素晴らしい「ボランチ」になるかもしれない。

さらに言えば、先日味の素スタジアムで行なわれたナビスコカップのFC東京戦、松田は中盤からボールをキープして前線に攻め込み、絶妙のチップシュートを決めているのだが、これは今シーズンのこれまでで最高のゴールの1つだった。それはまるで、エリック・カントナを髣髴させるような素晴らしいゴール。同じようなことができる日本人選手はそれほど多くないだろう。

しかし、それなのに、松田は日本代表の23人には選ばれそうにない――理由は自分自身にあることを、彼もわかっているだろう。
「8人組」による鹿島での悪名高き無断外出のあと、ジーコは規律違反に対しは厳しい姿勢を貫いている。昨年の代表合宿で先発メンバーに選ばれなかったことに不満を抱き、合宿を無断で離れた松田はまさに高い代償を支払わされたのだ。
ジーコが忠誠心をなにより重視していることはことあるごとに立証されており、松田が代表に復帰する道は閉ざされたまま。
ただし、私は自分の意見を曲げようとしないジーコを批判しているのではない。ただ、松田の起こした短気が、彼自身にとっても、日本代表チームにとっても、高いものとなったと言っているのである。
松田―宮本―中澤のバックラインは、ジーコがドイツで起用するどのようなディフェンスラインよりも強力になるのではないだろうか? 松田がいれば、3バックの中心、あるいは4バックの中央についてジーコはより柔軟な選手起用ができるようになるのではないだろうか?

ヨーロッパ組の選手を全員揃えても、松田以上の選手はそういない。
松田は時間を1年戻し、自尊心を抑えて代表合宿に留まっていれば…と後悔しているのではないだろうか。
ああ、しかし、ジーコにとっても、松田にとっても、もう遅いのだ。

固定リンク | | コメント (0)


熱狂と冷静のあいだで

2006/05/08(月)

東京発(5月6日):もし浦和レッズが存在しなかったら、Jリーグは一体どうなるのだろう?
ホーム/アウェーに関わらず、浦和レッズはJリーグを毎試合盛り上げてくれる。来シーズン、彼らがアジアチャンピオンズリーグに参戦すれば、このアジアトップチームによる大会への関心が日本で高まるだろう。

例えば、先日のさいたまダービー。レッズ側スタンドで陽の光をいっぱい浴びた赤・黒、・白のフラッグが振られる様は本当に素晴らしい光景だった。
そしてフクダ電子アリーナでのアウェー戦、ジェフ千葉戦ではアウェースタンドからの声援の壁がチームを鼓舞していた。
それがホームであれアウェーであれ、レッズファンの老若男女は動くJリーグ広告塔だ。彼らはチームがJ2へ転落した時でさえチームへの忠誠心を示していたし、それはこれからもずっと続くだろう。

だからこそ、千葉で試合終了のホイッスルが吹かれた時のレッズファンのリアクションには少なからず驚いた。チームが0−2で敗れたとはいえ、まるでチャンピオンシップで優勝したかのように彼らのヒーローを祝福するジェフサポーターに向かって、レッズサポーター達はブーイングと野次を繰り広げていた。これは少々行き過ぎではないだろうか。
以前にも言ったが、チームがやる気のないプレーで試合に負けた時には、ファンは何としてもチームに彼らの意思を伝えるべきだ。お金を払っているのはファンなのだから。
しかし、チームが一生懸命プレーしたうえでより良いチームに敗れたのなら、選手たちの健闘をたたえるか、そうでなければ静かにスタジアムを去れば良い。

千葉での一戦はまさにこれだったと思う。レッズは精一杯頑張ったが、この日は対戦相手の方がずっとデキが良かった。事実、最高のプレーをしたDFストヤノフ、ミッドフィールドで奮闘した阿部、そして最前線に巻を揃えたジェフのエネルギーと意欲の結集は、レッズを団結力もリズムもない単なるスターの寄せ集めのように見せた。
ポンテは、一体何度不用意なヒールパスで相手にボールを献上しただろう。ジェフはレッズに落ち着く暇を与えることなく攻め続け、その日のピッチにはポンテのチームメイトがいないようにさえ思えた。
レッズファンの皆さん、ここはジェフを褒めようではないか。彼らは素晴らしいプレーをした。勝って当然だったのだ。

あまりにも狂信的な応援と過剰な期待は、レッズの選手たちが自らをコントロールしにくくするという負の一面を持っている。例えばホームでの対大宮戦の鈴木啓太、そして千葉戦でのワシントンがそうだ。
鈴木の場合、彼が前半、桜井に対して犯した手荒なファウルで一発退場にならなかったのはラッキーだったろう。大宮側が珍しくプレッシャーをかけ続けた際に自陣ペナルティエリアでFKを与えられなかったことに対し、彼は明らかに怒っていた。そしてそのイライラを桜井にぶつけたのだ。
一方、千葉でのワシントンは完全に我を失っていた。巻と闘莉王が競り合った時にファウルを取られなかった時にはレフリーに向かって叫んでいた。
ワシントンはゴールを量産しているが、彼がそのエネルギーを文句を言うことではなくプレーにもっと注げば、さらに多くのゴールを挙げることができるだろう。
レッズには素晴らしいファンがついている。しかしそれは選手たちが常にゲームをコントロールできるということを意味するのではない。それはレフリーの仕事なのだ。

固定リンク | | コメント (0)


柳沢には時間が味方

2006/05/04(木)

「柳沢問題」は、ルーニーの場合のような大話題とはなっていないが、柳沢本人とジーコにとってはやはり重要な問題である。
火曜日にジーコが発表したキリンカップ日本代表には柳沢の名前がなかったが、彼が故障からの回復途上にあることを考えれば、まったく当然のことだ。
なんといっても、ジーコがドイツ行きの「最後の」23人を選ぶ期限、5月15日までにはまだ2週間あるわけだし、そのあとでも選手が故障し、正当な診断書の提出があった場合にはメンバーの入れかえができる。
つまり、時(とき)は柳沢に味方しており、柳沢に限らず誰も今からパニックに陥る必要はない。

もちろん、ルーニーの故障が4年前のベッカムのように大々的なニュースとなっているイングランドとは、事情が異なる。
イングランドのズベン・ゴラン・エリクソン監督は、マンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督の希望に反し、ルーニーの代表招集を決めたようだ。ワールドカップ本大会のセカンドラウンドに間に合ってくれれば良いというのがエリクソンの考えなのだろう。イングランドは、パラグアイ、トリニダード・トバゴ、スウェーデンと同組のグループリーグは楽に突破できるだけの戦力があるし、ドイツでは、セカンドラウンドは6月24日――ルーニーの負傷から8週間後――にならないと始まらないのだ。

ジーコの場合、柳沢に対してそれほど悠長に構えてはいられない。日本は6月12日のオーストラリア戦の試合開始からトッププレーヤーを揃えて臨まなければならない。
オーストラリア戦は日本にとってきわめて重要な一戦。オーストラリアからはできれば勝点3を、最低でも勝点1をとらなければならないのだ。より厳しい相手であるクロアチアとブラジルがあとに控えているからだ。
ジーコのコメントから判断するに、今後順調に回復し、再び同じ箇所を負傷することがなければ、柳沢がワールドカップ行きの23人の枠に入るのは明らかだ。
ジーコが高原と久保を好んでいるのも周知の事実。ドイツにフォワードを4人しか連れて行かないつもりなら、残りの席は1つだけ。
高原、久保、柳沢と一緒に行く選手は、必然的に彼らとは異なったタイプの選手ということになり、最後の切符は大黒のところに行くのが確実なようだ。ジーコはガンバに所属していたこのストライカーには特別な才能があると認識しており、実際、大黒はワールドカップ予選やコンフェデレーションズカップで日本代表にいくつか貴重なゴールをもたらしている。
だから、つまり…(鈴木)隆行は脱落、玉田、巻も、佐藤も脱落で、大久保(みなさん、まだ彼を覚えていますか?)も脱落ということになる。
私なら、このように選ぶと言っているのではない。なぜなら、もし私が選ぶのであれば、現在の体調と調子を考慮して巻を選ぶ。しかし、現実は前述のようになりつつあるということだ。

いろんな選手の骨折が世界中で問題を巻き起こしているのは確かだが、土曜日の夜、チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドのテレビ中継で聞いた、ロビー・アール――元ウィンブルドンのミッドフィールダー――のコメントが面白かった。彼が言うには、選手たちがより軽く、よりソフトなシューズを好むようになったため、足の保護がおざなりになり、その結果、「中足骨(英語では、“metatarsal”)」の骨折が増えるようになった。
少し前までは、ほとんどのサッカーファンが、中足骨とはなんなのか、あるいは体のどの部位にあるのか(ヒジかい、それとも鼻?)を知っているなんてありえないことだったが、今では中足骨は、ポッシュ・スパイスやブルックリン、ロメオとともに、ベッカムの歴史の大きな部分を占めるようになっているのである。

固定リンク | | コメント (0)


俊輔はセルティックに残るべきだ

2006/05/01(月)

東京発(4月28日)05−06シーズン、ヨーロッパで満足のいく時間を送れたといえる日本人選手はそう多くない。
中村俊輔は、その数少ない選手の中で最も満足できるシーズンを送った一人だ。それだけに、彼が来シーズンはセルティックに残留せず、スペイン移籍を希望していると頻繁に耳にするのが私には不思議でたまらない。
スペインでプレーするのが俊輔の夢だということは、よく知っている。しかし私は、サポーターも多い今の強豪チームに残留すべきだと思っている。

現実を直視しよう。イタリア、レッジーナでの3年間、俊輔は成功しなかった。そして昨年の夏、真偽は定かではないが、スペインのチームが彼に興味を示していたものの、彼はスコットランド移籍を決意した。
俊輔と彼のプレースタイルはスコットランド移籍でパーフェクトに作用した。小さなリーグの強豪チームで、俊輔はプレイメーカーとして開花したのだ。
ミッドフィールドでレノンやキーンといった選手と共にプレーすることで、これまで彼の弱点とされてきたディフェンス面での負担が大きく軽減できた。
さらに、彼を取り巻く選手たちの個人的力量はセルティックのライバルチームよりずっと優れている。つまり、俊輔はスペースと時間を思いのままに使って相手DFを分断するパスを自在に繰り出せるのだ。彼は自分のゲームを思う存分することができるし、周囲からも、とても良いプレーしているように見える。

セルティックは堂々のリーグ優勝を遂げ、来季の欧州チャンピオンズリーグ出場を決めた。これは俊輔にとって大きなチャレンジのはずだ。荷物をまとめ、スペインという新しい環境で一から始める必要がどこにあるのだろうか?
スペインの強豪の中で生き残りをかけて争わなくてはならない中位のチームに移籍したとしたら、どうなるのだろう?
また、イタリアでの二の舞になりかねない。彼の華やかではあるが脆くもある技術は、時として万能の熟練MFに取って代わられてしまい、コンスタントに出場することができなくなってしまう。

俊輔よ、キミはスコットランドに残るべきだ。
ハギス(スコットランドへ行こうと思っている日本人のみなさんには、この風味のよい伝統料理がオススメだ。日本語で言う「美味しい」というのとは違うかもしれないが…)とその雰囲気、そしてレンジャースとのオールドファーム・ダービーを、さらにはプレーすること、チームの勝利を楽しむことだ。
セルティックは初めてヨーロピアンカップを制したイギリスのチーム(1967年、あの有名な“リスボン・ライオンズ”として決勝でインテルを2−1で破った)でもある。
グラスゴーに残り、心を落ち着かせ、ワールドカップを迎えるべきだ。そしてドイツでどんなことが起きようともセルティックに戻り、来季の欧州チャンピオンズリーグを味わう…そう、もちろんハギスもね。

固定リンク | | コメント (0)


« 2006年4月 | トップページ | 2006年6月 »